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ストーリー「豪雨の予感」

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水害被害ストーリー「豪雨の予感」の連載を始めました。実際の水害被害インタビューを通して分かってきた教訓やエピソードを織り交ぜた物語です。できるだけ実在する名称を使用して、水害被害…
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2023年7月の記事一覧

「豪雨の予感」第12話(豪雨稲光と震災被災の記憶)

「豪雨の予感」第12話(豪雨稲光と震災被災の記憶)

豪雨は“バリバリ”と音をたてながら地面に大粒の雨を打ちつけていた。その弾ける雨粒は小さいしぶきになって宙に跳ね返り、あたりの風景を白くしていく。みおが外を眺めている窓ガラスにも容赦なく雨粒が打ちつけ、まるでガラスが割れるのではないかと思うような衝撃音をたてている。真っ白になった景色のなか稲光が光りほぼ同時に雷鳴が轟く。その時間差からするとみおの自宅からそう遠くはないはずだ。みおはその光景に吸い込ま

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「豪雨の予感」第11話(大雨洪水警報と警戒レベル2の発令)

「豪雨の予感」第11話(大雨洪水警報と警戒レベル2の発令)

線状降水帯の豪雨はおさまる気配はない。朝にもかかわらず外は薄暗く、上空では時折稲妻が光っている。雨のしぶきで視界が霞み30mほど先の浄水場でさえかすかにしか見えないほどである。

健斗が出かけてから15分ほど経ったのだろうか、時計は8時半になろうとしている。

“ツーン”
お天気アプリのポップアップ通知が鳴った。

『大阪市城東区で発令されている警報や注意報』
大雨・洪水警報・氾濫注意情報
寝屋川

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