ワークライフバランスセミナーを受講して
ワークライフバランスセミナー受講のまとめ
【なぜこのセミナーを受講したのか】
働き方改革が大事というのは何となく分かるけど、まだまだ「総論賛成・各論反対」の人が少なからずいる今日この頃。
こんな疑問を投げかける人に対して、自分はきちんと納得させる話ができるか自信がなかったため。
■女性の役員を増やすなんて数合わせしても周りも本人も不幸なだけでは?
■多様性を尊重するなら、長時間労働やりがいの人も尊重すべきでは?
■納期や品質を守るために長時間労働も必要な人・時があるのでは?
また、「言うは易し・行うは難し」。働き方改革を進めるためのコツ・ヒントを得られればと申し込んでみた。
【セミナーで印象に残ったこと】
働き方改革、たいていの会社は管理部門の部長クラスが「働き方推進PJリーダー」とかに任命されるが、リーダーが直面する悩みは主にこの2つ
① 経営陣(役員クラス)がそもそも働き方改革の必要性を腹落ちしていない
② 活動が職場になかなか浸透しない
① 経営陣がそもそも働き方改革の必要性を腹落ちしていない
まぁ社長とか人事担当役員とかはさすがに必要性を分かってくれてると思われるが、営業や製造など現場に近い所管役員とかは明言はしないものの冷ややかな反応を示す人もまだまだ多いと感じる。そもそも昭和世代で自分自身がモーレツサラリーマン(&専業主婦の妻)で成功してきたという価値観や自負がある人から見たら、「残業時間を減らしましょう」「女性の活躍支援を進めましょう」なんて、従業員を甘やかすようだし、女性が自分たち以上に戦力になるとは思えないのに無理やりゲタ履かせたところでどうなの?って思いがあるのでは。
そういう方々に働き方改革・女性活躍支援について理解し協力してもらうには、そもそもの価値観を変えるのは難しいので、「環境の変化に対応できる企業が生き残る」というダーウィン論法で攻めるしかない。
・日本の人口構造の変化
戦後から2000年までの高度経済発展&生産年齢人口が多かった時期の『勝てる働き方ルール』は「男性ばかり・長時間労働・均一な人材」であることだったが、今は生産年齢人口が少なく経済発展も大量生産・大量消費ではなく戦い方に工夫が必要な時期。そのための働き方ルールは「男女フル活用・短時間で生産性高く・多様な人材から多様なアイデアを」。つまり、「働き方改革」は「企業の存続・発展」のために必要な戦略だということ
・女性活躍が優先される理由
世界の男女平等ランキングにおける日本の順位は125位と先進国では最下位グループ。しかも、日本の順位前後の国はミャンマーやヨルダン、インドアフガニスタンなど女性の教育と健康が未だ保証されていないようなレベルの国々。一方日本は「世界で最も教育されて健康な女性」であるにもかかわらず、その女性を経済・政治面で全然活用できていないということ。つまり、日本には、優良な資源が足元の大地に埋まっているにも関わらずそれを掘ろうとしていない状態。先んじてやれば勝てる競争分野であるということ。
・女性は管理職になりたがらないのはなぜ
女性は出世欲がないわけではなく、「今、目の前にいる管理職のようにはなりたくない」だけ。専業主婦が家にいて家事育児をまかせっきりにしている男性や、子供を犠牲にして(いるように見える)がむしゃらに働いている女性のような働き方は自分はしたくないと思っている。30代以下の女性が思う「管理職になりたいと思えるために必要なこと」のトップは「労働時間が1日6時間程度」&「適切な評価」。拘束時間の長さが解決すれば管理職と私生活との両立は難しくないということ。
・長時間労働も多様性の一つとして尊重すべき?
そもそも人間の集中力には限界がある。朝目覚めてから13時間が限度で、それ以降は酒酔い運転と同じくらいの集中力しか保てない。また、中高年の睡眠時間が6時間以下だと脳の怒りの発生源を活性化させるなどパワハラ・セクハラなどのモラル崩壊の引き金や認知症・うつ病リスクの増大にもなる。
つまり、長時間残業をさせるということは、従業員の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、低い生産性に対して割増残業代を支払う業績悪化、パワハラ・セクハラなどの企業風土の悪化につながってしまう。また、長時間残業ができる人が評価されることで、できない人たち(育児や介護中、非正規、そもそも長時間残業をしたくない人達)のモチベーションを下げることになる。それでもあなたは「長時間労働」をさせますか?
・そうはいっても納期・品質を保つために必要な人・時間があるのでは?
岸田政権が掲げる勤務間インターバル(勤務と勤務の間を11時間あける制度)だと、理論上は月100時間は残業できるレベル感。そこまでに上限を設定することで、今まで一人が長時間残業で仕事を抱えてなんとか乗り切っていたのができなくなり、情報や仕事の見える化・共有化が進む⇒時間勤務者でも仕事がしやすくなり幅広い層の採用・活用・評価が可能⇒時間内で生産性高くするには人海戦術の限界が来るので個人も企業もデジタル投資が進む⇒残業代が一定内に収まることが読めるようになるので、ベースアップが怖くなくなるというメリットが盛りだくさん。
また、懸念点である緊急時の対応については、先行導入のEUでは柔軟な適用除外規定もある。非常時や災害時などには柔軟な対応策を入れながら、まずは平時の仕組みをしっかり作ることが大事。
先の疑問点への説明も含め色々な観点でのレクチャーがあったが、要は「働き方改革」は環境とかDXとか同様、いやいやそれ以上に優先すべき経営戦略であるということ。
上記に挙げたメリット以外にも、「企業の働き方改革に向けた開示」がどんどん拡充され、男性の育休取得率や残業時間削減の目標設定が公表されるようになる。これが企業イメージや就職時の企業選定ポイントにもつながり、優秀な人材を採用するためにも重要なPRになっていくのだ。「わが社はモーレツ企業です」では若い人たちは集まらない時代になっていることを、役員の人達に危機感を持ってもらわないといけない。
② 活動が現場になかなか浸透しない
これは、セミナーでも導入事例紹介として2社の担当の方からの話があった。
ポイントは5つ
✓「女性のための活動」ではなく「(男女関係なく)全社としての経営課題への対応」であること
✓トップダウンではなくボトムアップで自分事として考える活動であること(自主性や主体性が大事)
✓自主性を持ってもらうには、「心理的安全性」(何を言っても怒られない・馬鹿にされない・尊重されるという雰囲気)を確保することが重要。そのためには活動のリーダー・管理者がちゃんとその必要性を理解し場の醸成方法を学ぶ機会を先に設けること
・トップのコミットメントが重要。トップが本気かどうか従業員は機微に察知する。折に触れてトップのコメントやオブザーバーとしての参加を求めること。
・大きな成果をいきなり目指さない。小さな輪を共有しながら徐々に大きな輪にしていく。まずは小さくても成功体験(やってよかった)を積み、それを共有することで「じゃあうちもやってみよう」と思ってもらえる活動に。
これについては、私も社内で女性ネットワークの活動をやっていたので実感としてその重要性と難しさを感じるところ。自主性や主体性をもって関わってもらえるような場をどうやって作っていくか、小さい輪で始めるのはたやすいけど、それをどうやって継続的に大きな輪に広げていくかなど、実際は難しいことも多いけれど、働く人たちを幸せに・健康にする活動だと思えばやるっきゃないってなるよね。
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