本当は柱の陰で泣いていたんだ
昔働いた職場に、顔に痣のある女性の上司がいました。
その人は、社内では、キツくて強かったので、
他の人達からは、良く思われていませんでした。
私はその人と同じ部署になりました。
上司は、何故だか、私にはとっても優しい方でした。
だから、私はその人のことが大好きでした。
ある時、話してくれたことがありました。
小さい時、友達に顔の事で嫌なことを言われたことがあったそうです。
その時、外に出たくなくなって、家から出ない日があったそうです。
でも、お母さんは、外に放り出したそうです。
負けずに言い返してきなさいとばかりに、外に出し、
家の中にしばらく入れてもらえなかったと聞きました。
でも、上司が言ったんです。
実はお母さん、私を外に出したあと、柱の陰で泣いていたのよねって。
娘を強い子にする為に、本当はしたくなかったけれど、お母さんは、その時、心を鬼にしました。
こんなことしてごめんねと心の中で謝りながら。
そして、一人、柱の陰で泣いていました。
私はすごいお母さんだなと思いました。
だって、愛情が無かったら、出来ないことです。
可愛い娘に本当はそんなことしたくなかったはずです。
でも、心を鬼にして、お母さんは、強くなってねと願いを込めながら、娘を突き放しました。
その時のお母さんの気持ちを考えたら、
心が削られる思いだったんたろうなと思いました。
母は、強し。
といいますが、強いだけじゃない。
悲しみも辛さも全部受け入れながら、
自分をすり減らしたとしても、
子供の幸せを一番に願い、
時に心を鬼にする。
本当に強いひとは、
最高に優しいひとでした。
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