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総務DXに電子決裁の導入が必要な理由とおすすめツール7選


電子決裁システムとは?

電子決裁システムとは、従来のような紙の申請書を用いる代わりに、電子文書を用いて決裁処理をおこなうことです。

電子決裁システムを導入することで、経費精算や休暇申請、稟議などの書類の申請・承認・決裁・保管までをすべてオンライン上で行える為、総務経理のDX化ではまず取り組みやすいと思います。

パソコンやスマートフォンから決裁ができるようになるため、コストの削減につながる他、総務を中心に場所や時間に囚われない働き方も実現できます。

また電子決裁は、決裁のスピードアップにも貢献します。大企業では、決裁を通すまでに1ヶ月かかるなんてこともざらにあるでしょう。理由としては、書類での申請では書類そのものの管理や場合によっては紛失も起きる可能性もあります。

しかし、電子決裁なら、オンライン上で決裁状況が一目で見えるため、これらの心配がほぼありません。

電子決裁システムへの移行がすすむ背景

近年、電子決裁が普及している理由の一つに政府が推進する「電子決裁移行加速化方針」があります。

電子決裁移行加速化方針とは、従来の紙書類での決裁を電子化するように「デジタル・ガバメント閣僚会議」と呼ばれる閣僚会議において、政府が策定した方針のことです。

この方針では、電子決裁に移行することで逆に業務が複雑・非効率になるものや、災害時などの緊急事態を除いて、電子化できるものは速やかに電子決裁へ移行するように定められました。

この方針が示されたことで政府・地方自治体における決裁処理の電子化が急速に進んでいます。

このように行政機関や官庁で電子化が進んでいくと、当局への提出物などを電子化するハードルも下がるため、民間企業での電子化が進んでいくと考えられます。そうなると民間へのより早い電子化への対応が求められることになると思います。

電子決裁システムが紙の決裁と違う部分は?

電子決裁システムが注目されている理由は、新型コロナウイルスの感染拡大防止によるテレワークの急増が一因にあります。

テレワーク中でも紙の稟議書であれば、「稟議書に押印して次に回す」という方法を取らねばならず、そのためだけに出社せざるを得ないことになり非効率極まりないです。

また、自粛要請の最中であれば、社員の感染リスクも高まります。そのため、手段を検討した結果、遠隔での運用を可能にした電子決裁システムを導入する企業の利用が増加してきています。

電子決裁システムであれば、印鑑による決裁印や書類の手渡しが不要になりますし、回覧されたデータが決裁後にデータベースに自動で保管されるため、書類の保管作業から解放されます。

さらには検索機能で膨大なデータの中から該当の書類も探せるなどの便利な面も出てきます。

電子決裁システムのメリット

・ペーパーレス化の実現

電子化での大きなメリットの一つは、ペーパーレス化の実現です。ペーパーレス化が実現すると、コスト削減や作業効率の向上などが見込めます。

コストに関して言えば、紙代や印刷代がカットできますし、さらに電子化が進めば、書類を保管するためのスペースも不要となるため、オフィスの縮小などが実現でき家賃の圧縮にも繋がります。

さらに、ペーパーレス化によって、過去の書類も探しやすくなり、書類整理の手間も減り他の業務に時間を費やすこともできます。また、申請や承認を時間・場所に囚われず行えることも大きなメリットです。

パソコンとスマートフォンさえあれば、出張が多い上司でも移動中に申請書を確認できますし、テレワークを実施する際も決済のために出社する必要がなくなります。

・記入ミス・不正防止

紙の書類による決裁の場合、ミスや不備があると、修正するのに時間もかかり、承認されるのが遅くなります。

しかし、電子決裁システムの場合は、システム上で決められた手順、項目に沿って決裁をあげられるため、そもそも記入ミスをしないよう防止できます。

また、万が一記入ミスがあったとしても、電子決裁システムならすぐに修正が可能です。加えてオンライン上で処理を行うとその記録が残るため、結果として不正防止や改ざん防止につながります。閲覧にも制限をかけることも可能なため、コンプライアンスの向上にも期待できます。

・内部統制の強化

電子決裁システムのメリットとして、内部統制強化もあげることができます。電子決裁システムを導入する際は、決裁ルールを明確にする必要があります。

特に社内で共有の決裁手順や入力項目を定めて運用するような場合、細かく決裁書類の内容やルールを定める必要があります。そのため、社員が守るべきルールが明確になり、内部統制の強化につながります。

さらに電子決裁システムなら決裁書類を探すのが容易なため、内部監査や外部監査の際の書類提出もスムーズになります。

電子決裁システムの選び方

・電子決裁システムの種類

・オンプレミス型
オンプレ型とも呼ばれ、車内にサーバーや通信回線、システムを構築して利用する形態を指します。

基本的に自社で運用するため、自社の風土や文化、利用目的に応じ、機能をきめ細かくカスタマイズできる自由度の高さが最大の魅力です。社内のパソコンで利用することが前提のため、社外からのアクセスには別途設定が必要になります。

また、導入にあたっては自社でサーバーを調達する必要があるため初期費用がかかること、サーバーおよびクライアント用のソフトウエアを自社で運用管理し続ける作業負荷が大きいなどがデメリットとして挙げられます。

・クラウド型
クラウド型は、オンライン上のサーバーで提供されているシステムや、インターネットを介してサービスを利用する形態を指します。

クラウド型の製品は多くがサブスクリプション(月額制)の利用形態であり、アカウント登録が完了すればすぐに利用開始できます。

オンプレ型と異なり、サーバーなどインフラを自社で調達する必要がないため、初期費用が安く、サービスのアップデートやメンテナンスなども利用者側ですることはないので、自社で運用する手間がかかりません。機能に制限はありますが、現在はオンプレ型に大きく劣るわけではありません。

また、インターネットに接続できる環境があれば社外でも利用可能なため、時間や場所を選ばない電子決裁システムと親和性が高いです。

近年のトレンドであるテレワーク環境下での業務形態もあり、現在はクラウド型がシステムの主流となってます。

・承認設定の自由度

企業における決裁のフローは様々です。また、同じ企業内でも承認フローやルートは業務によって異なります。

複数部門にまたがる承認や合議、入力された項目の数値などによって承認ルートを使い分ける必要があるなど、条件分岐や複雑なフローでも柔軟な設定ができるかどうかが非常に重要なポイントとなります。

また、一定の金額以上であrば承認者を追加する、特定の分類に該当する申請は承認者を変更するなど、流動的な承認ルートにも対応できるかどうかもあわせて確認する必要があります。

・操作性や利便性の確認

まず、電子決裁システムを導入しても利用者にとって使いにくければ活用は進みません。IT部門の担当者だけでなく、現場の社員も直感的に操作できるシステムを選ぶようにしましょう。

専門知識を持たない担当者でも簡単にワークフローを構築できるよう、ノーコード・ローコードで使える仕組みであることも必要条件です。

また、企業規模の変化や組織変更に伴い、業務プロセスや申請書類は変化していきます。人事異動により承認者が変わることもあります。

複雑なフローをデジタル化できたとしても、変化に素早く対応することができなければ、逆に業務効率は下がります。メンテナンスが容易にできるかどうかは、システムを使い続ける上で、重視すべき要素の一つと言えます。

利便性の面では、サポートが充実しているかどうかも重要な点です。

システムを使うかなで困ったことがあった際、限られた時間の中で自力で解決策を探ることは簡単ではなく、必要なときにサポートを依頼できる体制であるか、Q&Aや他社事例などで自社での活用ヒントが多く公開されているかなどもシステム選定の参考にするといいと思います。

・機能の充実度

電子決裁システムにどの程度機能が充実しているのかによってシステム活用の度合いに差がでます。

大きくは
・テンプレートが充実しているのか?
・モバイル利用に対応しているのか?
・他のシステムと連携できるか?
・権限制御を細かく設定することが可能か?
などを基本的なチェックポイントにするといいでしょう。

どんなに高スペックでも自社の要件に合わないようではいけません。自社の要件(無意識的な場合が多いが)を理解した上で、実現したいことにフィットした機能があるのか確認してください。

おすすめシステム7選

・汎用型電子決裁システム

●ジョブカンワークフロー
低価格ながら直感的に入力できるインターフェースが人気です。クラウド型で、移動中のスマートフォンから手軽に申請や承認作業が可能で、少人数から大人数まで幅広く対応できるため、豊富な導入実績があります。

・申請画面がシンプルなため、画面の小さなモバイル機器からでも簡単に操作ができる
・運用開始の初期設定が簡単であらゆる申請書のフォーマットが自由にカスタマイズ可能
・初期費用やサポート費用無料でトライアルから始められる

●Create!Webフロー
紙の書類そのままのイメージにこだわって作り上げた電子決裁システムです。既存の書式をそのまま使えるため、違和感なく誰でもすぐに使いこなせ、操作も簡単で様々な業務全体に対応できる点も魅力です。

・紙の書類そっくりの画面イメージで、迷いなく直感的に操作が可能
・承認プロセスの一覧がアニメーションアイコンで表示されるため、進捗状況が把握しやすい
・決裁済みの申請書は自動でPDFファイルに書き出して保管されるため、紛失の心配がない

●コラボフロー
使い慣れたExcelでのフォーム作成が可能な電子決裁システムです。従来の運用を変更することなく簡単に本格的な電子決裁システムを構築することができます。APIや外部サービスとの連携により、データを効率的に活用でき業務が効率化され、ペーパーレス によるコストカットも可能です。

・専門知識が不要で操作が簡単なため、導入から本格的な運用までがスムーズ
・入力やデータのコピー&ペーストなどの手作業を、できる限り自動化しミスと労力が軽減
・部門横断の複雑な業務にも柔軟に対応、簡単ながら高機能を活かした運用ができる

●X-point Cloud
現在使用している紙の帳票フォーマットを変えずに運用できるので移行や切り替えの負担を軽減できます。現状の承認申請状況を簡単に把握できるので、承認スピードの向上が期待できます。また、回覧中の書類紛失を防げる上検索性もあがります。

・紙のような直感的な入力フォームだから手書きと同じ感覚で使用可能
・ワンクリックで承認可能で決裁の進行状況も一目で確認可能
・SSL証明書やIP制限などセキュリティ対策が充実

・大企業向け電子決裁システム

●SmartDB
大企業向け業務デジタル化クラウドサービス。電子決裁機能はもちろんのこと、提案書や問合せ管理、商品FAQなどの業務フローも簡単にデジタル化できます。複雑な部署が絡んだワークフローにも対応可能で、多くの部門の業務を幅広くカバーし全社的なスピードアップが望めます。

・各部門を横断して社内全体のワークフローがSmartDBだけで完結
・専門知識がなくても、直感的な操作でWebデータベースを効率よく活用
・閲覧や入力制限を個人、役職、部署などで設定が可能なためセキュリティも安心

●楽々WorkflowⅡ
英語や中国語だけでなく、言語の追加機能によりドイツ語やフランス語など多言語に対応できる点です。グローバルにワークフローを展開する企業でも、グループ会社間で承認申請から決裁、回覧、保管なども短時間で完結できます。他システムとの連携によるデータ共有もスムーズです。

・Excel文書の流用だけでなく、ブラウザでマウス操作によるレイアウト編集が思いのまま
・専門的なプログラミング知識がなくても簡単スピーディーに運用できる
・細やかな決裁ルートを設定でき汎用性が高いため長期的な大規模運用が可能

・EXCELフォーム型電子決裁システム

●WorkflowEX
Excelシートで作った書類のフォーマットや稟議書をそのまま取り込んで使える利便性の良さが人気です。承認時の捺印や差し戻しなどもワンクリックでリレーできます。改ざん防止機能はもちろん、申請、承認、決裁までの履歴も記録することも可能で、オンプレミス版であれば他の業務システムとの連携もできます。

・Excelで作成した文書をそのまま流用できるため、導入のハードルが低い
・金額による承認ルートの分岐など組織ごとに多彩な決裁ルートの設定が可能
・インターネットにつながっていなくても書類のオフライン編集ができる

・その他電子決裁系システム関連

以上のように大分類別におすすめのシステムに関しては上記の通りですが、そのほかにも多数のツールがあります。

上記分類内でも、GoogleWorkspaceと連携した「rakumoワークフロー」のようなシステムもあれば、大企業向けでも「kickflow」のように大企業にありがちな複雑な組織構成や承認フローにも柔軟に対応できるようなシステム、「AgileWorks」のように人事発令前に組織改編の実行前から設定作業ができる先付メンテナンス機能を備えたような物もあります。

その他にも特定業務と一体化したシステムもあり、請求書業務と一体化した「バクラク申請」などもその代表例の一つです。請求書をアップロードすると、AI-OCRが読み取って自動でデータ化されます。

申請内容は請求書AIクラウド「バクラク請求書」に自動連携されるため、請求業務にありがちな月末の請求書催促や付き合わせなどの確認作業も必要なくなります。仕訳も自動で行われるため経理業務も効率化されます。

一方でメール・社内SNS・カレンダー・掲示板機能などを有したグループウエアシステムの中の一つの機能として電子決裁システム的に運用することも一つの手ではあります。

専用システムに比べて機能は豊富ではありませんが、申請書や承認経路が複雑でない場合はある程度汎用的に活用することも可能です。

「サイボウズOffice」では申請フォームの作成や複数の承認経路の設定が行える他、スマホでの承認にも対応してます。

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