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筋肉が全部おぼえている

2週間前、急に脇腹が痛くなり、けっこう焦りました。
ずっとズキズキと痛むのです。
翌日には、歩くだけで痛い。ちょっと皮膚も赤くなってきたのでは…。
「これは、もしや内臓系の病気かな?」と心配になり、近所の内科に慌てて駆け込みました。
診断と検査結果は、とくに異常なし。
お医者さんから「運動不足による筋力低下ですね」と言われて、こけそうになりました。(診察にいくことを言っていた知人もこけそうになっていた。心配かけてすいません!)
毎年、健康診断でも「少し運動不足ですね」と言われていました。
「少し」だから大したことがないと思っていて、とくに気をつけませんでした。
でもなるべく歩くことは心がけていて、スマホの万歩計数字は日頃からチェックしていたのですが、ここ最近の猛暑で長距離のウォーキングはとても無理。
それが運動不足に拍車をかけて、いろいろな不調を招いてしまったように思います。
中年になって、体力、身体機能の低下もいろいろと感じる場面が増えていて切ない今日この頃。
「これ以上、この生活をしていたらあかん!」
一念発起して猛暑でもできる運動をしようと、近所の市営プールに行って泳いできました。

自分は幼稚園からスイミングスクールに通っていて、クロールも背泳ぎも平泳もバタフライも四泳法すべての泳ぎができます。
小さいころはスクールに通うのが面倒で、コーチも怖いし、一緒に通っていた友達も辞めていくので、何度か親に「辞めたい」と申し出たのですが、「だめ!」と強く言われて、しぶしぶ通っていました。
しぶしぶ通っていたものの、水の中で泳いでいると一種の瞑想状態になるのか大好きではないけど、スイミングは落ち着くものという認識を当時からしていたのかもしれない。一人でスクールに通い続けていました。

水の中に潜ると雑音が消えて、無重力の宇宙にいるような感覚になる。
自分の息継ぎと水をかく音だけがずっと繰り返し聞こえてくる。
スクールは、週に2回。一時間ひたすら泳ぎます。
コーチに言われた練習メニューをこなす。たびたび水面に入れる指先の角度、キックの力加減を指導される。できるだけ水に抵抗しない動きを、ただ黙々泳ぎながら自然に習得しました。

昨日は数年ぶりに泳いだので、もちろん当時みたいなスピードで泳げないのですが(贅肉もしっかりついているので)、筋肉は泳ぎを全然忘れていません。
背泳ぎは肩からまっすぐ腕を上げられて、顔はしっかり天井を向いている。
クロールは息継ぎのタイミングと、腕の回転数のタイミングがしっかり合っている。
平泳ぎは、両手、両足で水を掴むようにして全身をのばしながら効率的に進める。
バタフライは体をうねって大きくキックし、息継ぎは抵抗力がないよう顔を出し過ぎず一瞬で息を吸う。
スクールに一緒にいっていた幼馴染がいなくなっても、ずっとコツコツと一人で通っていてよかった。小学校卒業までずっと進級テストを受け続け、進級ワッペンをもらってはスイミングキャップにそれを縫って集めつづけていた当時の自分に言いたい。
「えらい!よくやってたね!」
通い続けた時間の尊さが、しみじみと中年になってわかりました。

いつも面倒臭い気持ちで通っていたから気づかなかったけど、水泳は好きだったんだね。
中学には水泳部がなくて、ソフトテニス部に入ったので、すっかり泳がなくなっちゃったけど、あのとき水泳部があったら、けっこういい線までの選手になっていたかも。
タイムマシーンに乗って、辞めさせなかった親と辞めなかった自分にお礼を伝えに行きたくなりました。

すいすい気持ちよく泳ぐ、サンシャイン水族館のペンギン

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