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12農業収入を増やしたいけど?

上記画像は、長年使っていた潅水用のディーゼルエンジンポンプである。
圃場で稼働させたまま昼飯に帰宅している間に盗まれてしまった。
ヤンマーエースNT65K(1962年~先祖代々使用していた)である。独特の排気音で低速で回り続けて燃料は軽油。圃場一面を夕方のナスの畝間潅水に重宝していた。移動に重たく(ポンプを含めて70kg超)難儀するが、揚水性能も抜群で故障もせず耐久性とエンストの心配が無いので重宝していた。新しく代替えしなくても、不便を感じながらも使える機械は使う事が余分な経費を使わなくて済むという事が私の主義である。現在は、ホンダ製4サイクルガソリンエンジンポンプを使用している。軽量で燃費が良くて揚水性能に満足している。が、コンパクトすぎて何となく頼りが無い(笑)。

《利益とは?の考え方》
そもそも収入を増やすには、増加させる売上計上が必要である。増加させた売上を必要とする為には増加した経費がかかっている。その収入を得る為の利益と経費の最適な関係性を知る事が重要である。
昔から、負けず嫌いなくせに、ずぼらな私は楽する事ばかりを考える事が多い。【ずぼらで樂】を得る事には知恵を使う。絶えず早く楽に安く確実に仕事を完結する為に考えて実行する事が、結果、最速で解決策を生むからである。慣行農法が計画と実行の主体に置いて行われている現在の当たり前の農業を打破して、自身オリジナル古いが新規を構築する私の農業は、【ずぼらで楽】の発想からスタートするのが日常である。年間300万円の売り上げを計上する為に毎月10万円の固定維持経費や運転経費がかかるようでは、自身の労力を差し引けば、全く面白くない。
漬物業界では千枚漬を例にすると、聖護院かぶら1個から500円で小売り販売ができる一袋120g入り千枚漬が6袋製品化する事ができる。単純に聖護院かぶら1個200円とするなら、千枚漬に加工すれば3000円となる。15倍だ。その中に必要な原材料価格を引いてもマイナス分は僅かである。そういう世界に身を置いて浸っていた私は、真面目で勤勉な農業者の感覚では無い。又、施設栽培を行ったり、高価な省力機械を所有する事は憧れつつも、注目や関心は寄せる事は無い。そもそも、私が考える営農スタイルに合わない。では、どうすれば良いのか?
この項では、近頃の営農スタイルを俯瞰した意見を昔から我が先祖の苦労を見てきて育った感覚を加えて、記していきたく思う。

絶えず圃場の周りに山水が流れる用水が有る小さな圃場を借りて、2月の雪が降る日に気が狂っていると後ろ指さされているのを感じながら圃場に水を張り代掻きをして水芹試作の圃場を整備して試作をしてみた時期が有る。画像で右側に定植したタネセリが成長しているのが分ると思う。
このタネセリの伸長部をちぎって空いている場所にばらまいて水芹を育てて
鍋物料理が恋しくなる季節に合わせて、試作品として束にして販売してみた。
私のタネセリは秋田県の漬物事業指導先から取り寄せた優秀な東北美人である。

《水芹に着目した時期》
秋田県で漬物事業を構築する為に6次産業化プランナーとして派遣依頼を受けて、2年間に渡り指導をさせていただいた。その時の先方の事業構築担当者に水芹の栽培圃場に連れて行ってもらった。秋田県の中山間部で、付近に実写版映画【釣りきち三平】の実家の民屋が有り公開されているような地域であった。元々、秋田県では郷土料理のきりたんぽに芹を加える。香り良く歯切れも良い絶品である。何となくだが、私が営農する地域の中山間地と似た雰囲気が有った。直感的にこの水芹は我が地域でも栽培ができるのではないであろうか?と発想を持った。京都府下の場合、有名産地は桂川の流域周辺の南区吉祥院と久世地域・右京区西京極での数軒が地下水を利用して行っているだけであった。そこに我が地域生産の新しい高品質の水芹が入り込む事は出来ないであろうかと、チャレンジを計画し実行した。試作初年度という事で営農方法に付いては手探りの状態で、観察と対応に追われる営農作業であったが、充分すぎる程に知識と収益を得る事ができた。しかし、冷水の中での栽培管理は辛いものである。水芹の試作期間中は特に2月の厳冬期から3月の雪解け水の冷たさの中での作業は風邪をひけば長引いてなかなか治癒しないような状態であった。水芹の栽培管理は健康上宜しくない(笑)。
伸長部を育てるタネセリを田植えの要領で水田に定植するのであるが定植後寒さに耐えられず、一度全部枯れるのが特性のようで有るが、根は地中に残っていて、気温と水温の上昇に伴って生育を再開しぐんぐんと育ってくる。所詮はその生育性質は雑草の類の丈夫さである。育成は簡単。伸長部を摘み取りして栽培するのであるが、その途中で独特の管理方法と収穫時期を遅らせる為の技法が有り、その対応を行使する必要が有るだけで、薬剤使用もほとんどしなくて良い。植物そのものが発するアレロパシー効果であろうか?害虫が付かないのである。そして何より、小面積で栽培するのであるが、単価が高く、出荷の為の調整とパッケージ作業が簡単で、収益性が高い。←【ずぼら楽】最大の魅力。

定植田植え後のタネセリ。除部に有る塩ビパイプから四六時中絶え間なく山水を入水させている。

《栽培を開始する前に重要な販路予測とアバウトな栽培計画立案》
上記した水芹の生産に付いてもそうだが、すべて私が生産する農産物は行き先(売り場所)を決めてから栽培を開始する。水芹に関しては、京都市卸売市場では既存の生産者さんが細々と少量出荷を行って相場維持をしているので、私が加わり相場低落の妨害を避ける為に京都市卸売市場に持ち込まず、既納品先の飲食店と量販店(電鉄系資本の京浜地区の限定店舗)に販売先を限定して20束入り/1発泡ケースで卸売販売を行った。
本来、水芹は雑草の素質を持つので生育旺盛になり整理を怠るともつれる状態になるのも確認ができて、もったいないと思いつつも、技術習得に手ごたえを感じ、目標した総販売金額に達した時点で、目的は達成できたと判断して、この水芹を盗んで栽培しようと言う農業者が現われる前に、圃場から水を抜きトラクターで圃場にすき込んで潰した。しかし、品質は劣るが水芹が当分の間、次々と出てきたのには閉口した。
私は、他の生産する野菜も水芹と同様に販売先を見つけてから、その販売先の意見を良く聞いて、売り場の要望に合致する農産物を生産するようにしている。当然、量目も販売する時の包装形態も従っている。
くわえて、売り先の無い作物は作らないというのが農業経営の基本姿勢である。そこに必要需要が有って収穫数量が重要に正確に合致する販売相手や販売場所を見つけてからその先の顧客に適した作物を作る。
無駄が無く余分を作らないのが、利益を生むという考え方が根本に存在する。大量に安定的に生産し販売するのも営農業態の常として疑問は残らないのであろうか?と、新しい農業として、国や行政の謳う日本の未来的農業スタイルに沿う他の生産者を見ていてどうもあのスタイルに、私は、なじむ事が出来ない。
生産物の評価や改善が聞こえてくる現場の意見に沿う主義で、このままスタイルを変える必要はないと決意している。←最重要にして、大切にしている揺るがない私の営農スプリットである。

《栽培を開始する前に重要な販路構築と栽培計画立案》
私は、需要が有り販売相手や販売場所を見つけてから、そこ向けに適した作物を作る。即ち、販売できる環境を作ってから栽培を開始する。
最初、商談に使用する適量サンプルを栽培し、数日後に、販売する期間の総量を数日ずらして栽培を開始する。当然、ずらした数日が2~4回に及び、その各々の栽培回に於いて天候によって生育スピードは変化し、収穫作業に隙間が生まれる事もあるが、その時には、欠品を平然と起こしている。
しかし、販売先には次納品日を適確に報告はする。
そして、私は、年間の栽培スケジュールをタイトで作成しない。「本年作は、こんな感じかなぁ~。」で、アバウトに作成している。これは、発注に応じる隙を作れるようにするからだ。小かぶや水菜・壬生菜や小松菜等の栽培期間の短い野菜を割り込ませる事が多々ある事もその要因である。

販売先の要望に応じて、収穫時の丈(長さ)をそろえて収穫し、販売先のコンテナで定重量出荷する事もある。指示よって、販売先の出荷形態に即時対応できるのも販売面で、
優位に働くように感じる時が有る。

私のように小規模で独自販路で営農活動を行う農業者は、その地域のJAが出荷する品目を栽培して、総量の中の生産者で居る事も一つの営農の懈怠であろうかとは思うが、自身の思いを届ける事が出来ようか?
少量生産でも利益を得るには顧客の意向へ耳を傾け、営農行動との同調を図れるフレキシブルな態度を継続的にできる納品農業者として、販売先と商流が太いパイプで繋がる事が大切だ。即ち、顧客に愛される商品を生産している自覚を持ち、その先に有る消費者の満足を考えてみたら良い。
自ずから、どのような品質の農産物と出荷価格を設定して生産すれば良いかが理解できよう。買ってみたくなる演出と安心を提供する事も大切。
私は、栽培履歴を出荷の都度、伝票に添付している。

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