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BILL FRISELL  ビル・フリゼール  ORCHESTRAS

フリーゼル・ミュージックのオーケストレーション

ビル・フリーゼルとマイケル・ギブスが組んだ、最新作。
クラシカルなオーケストラの共演、そして
ビックバンドオーケストラとの共演という二つのディスクで
構成される意欲作である。

フリーゼルの音楽こそ、
オーケストレーションにふさわしいと痛感。
緻密に譜面化されたオーケストレーション自体が、
マイケル・ギブスの力量で、
フリーゼルの感性を体現しており、
その中で、自由に彷徨するフリーゼルのギターが
光彩を放っている。

いつも思うことなのだが、
ビル・フリーゼルの面白いところは、
ギターのプレイスタイルは頑固なほど変わらないが、
アルバム制作のアプローチの仕方がいつも冒険的で
チャレンジングであるところ。
いつも変わらず、安心して、
フリーゼル節を堪能できるとともに、
彼と一緒に、いろんな世界への旅に
連れ出されていくような気分にさせられる。

そして、何より、
トーマス・モルガン、ルディ・ロイストンによる
鉄壁サポートが、この壮大なチャレンジの
土台を支えているところが評価できる。

つまり、
今最もフリーゼルの音楽を自由かつしなやかに
繰り広げ、昇華できる、
このレギラーユニットを基礎に据えているところが、
このアルバムの成功の要となっている気がする。

これが、フリーゼルのギター一本と
オーケストラとの共演という構成であれば、
このなんとも言えない、落ち着いたしっくりする雰囲気を
創り出せなかったような気さえする。

久々に、ゆったりした気持ちで、
揺蕩う音楽の贅沢さに身を委ねることができる
作品に出会った気がする

Disc1:
Bill Frisell(g) Thomas Morgan(b) Rudy Royston(ds) Brussels Philharmonic(orch) Alexander Hanson(cond)

Disc2:
Bill Frisell(g) Thomas Morgan(b) Rudy Royston(ds) Umbria Jazz Orchestra(orch) Manuele Morbidini(direction)

【Disc 1】
1. Nocturne Vulgaire
2. Lush Life
3. Doom
4. Rag
5. Throughout
6. Electricity
7. Sweet Rain
8. Richter 858, No.7
9. Beautiful Dreamer

【Disc 2】
1. Lookout for Hope
2. Levees
3. Strange Meeting
4. Doom
5. Electricity
6. Monica Jane
7. We Shall Overcome






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