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『からかい上手の高木さん』実写化発表 ファンをからかうのも大概にしろ!

2023年11月27日、山本崇一朗氏の漫画『からかい上手の高木さん』が、実写映画化するとのニュースが発表されました。

『からかい上手の高木さん』は、山本崇一朗氏による漫画で、中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディです。高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められています。

原作において高木さんと西片は中学2年生で、席が隣どおしです。明確に「女子」を意識し始める多感な時期に、少し大人びているけど子どもっぽい隣の席の女子にからかわれる。遺憾ながら大人になってしまった我々からすると、中学時代のそういう一幕ほど、二度と手に入らない「思い出」にほかなりません。そんなやりとりをオールウェイズ提供してくれる本作は、素晴らしい漫画です。

ところが、ニュースを見ると、実写化の主演は永野芽郁さんと高橋文哉さんとあります。お二人はもちろん心身共に完全な大人であり、「思春期」ともましてや「中学生」とも呼べたものではありません。

なんでも、映画の舞台は、中学生時代から10年後。「教育実習生として母校へ帰ってきた高木さん(永野)と、母校で体育教師となった西片(高橋)をオリジナルストーリーで描く」とあるから噴飯物です。

先ほど書いたように、『からかい上手の高木さん』は中学生という多感な時期の男子が、大人びた女子にからかわれて照れるのが良いのであって、色々なことを体験してしまった大人が再現できることではないのです。
恐れながら、こんなことは本作を一話でも読めば、誰でもすぐに理解できることです。制作陣は原作を読んでいないのでしょうか。

「中学時代から10年後」ということは、高木さんたちは24~25歳ということになります。こんないい年した大人が原作のような「からかい」を演じるとしたら、見るに堪えないものになることは、容易に想像されます。

企画の経緯は存じ上げませんが、これでは「主演俳優ありきで原作の世界をねじ曲げた」とファンに受けとられても仕方がありません。そんなにお二人を起用したいのであれば、オリジナルの映画を撮れば良いのです。中学生設定の漫画原作を都合よく利用しないでもらいたいものです。

ところで、発表されている設定で気になったのは、中学時代から10年後(24~25歳)に高木さんが教育実習生、西片が体育教師であるということ。通常、大学生が卒業して教員になるのは22歳なので、西片が教師なのはいいのですが、その年で実習生の高木さんは浪人か留年でもしたのでしょうか。
なんにせよ、他人をからかっていられる境遇でないのはたしかでしょう。

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