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【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#16

第二幕 靴を落とした少女

12:追憶


私たちは、朝食の用意や、朝の準備を始めたのだった。


その夜、エラと寝巻に着替えていたところ、エラと今日あった1日のことを話していた。

「エラ。今日、お母さんとお姉さんたちに嫌味言われていたけれど、大丈夫だった??」

「嫌味くらい大丈夫。」

「そっか。お母さんとお姉さんに嫌味言われてたとき、エラひどい顔してたよ。こんな風に。」

そして私は、しかめっ面の顔をした。それが案外エラに受けたのか、エラが

スクリと笑った。

「私そんな顔してたの。笑っちゃう。」

そういって私たちは、ひとしきり笑い合った。

「それより、りうはお母様とお姉様にすごく仕事を押し付けられていたみたいに見えた。大丈夫?」

「うん。こっちは、仕事だけだから全然大丈夫だよ。」

「ねぇ。そういえば、りうがいつも腕につけているボタンちょっと見たいんだけれど見せてもらってもいい?」
と自信なさげに眉を下げながらエラは言った。

そういって、私がつけているボタンに触れようとした。
私は、エルの言っていたことを思い出した。
エラにここが物語の中だと気づいてしまった時には、どうなるかと恐れ、
私はとっさに

「やめて!!」

と叫び私は腕を背中に隠したが、、、、、もう遅かったみたいだった。
ボタンから光が放たれ、エラは頭を抱え、うずくまりだした。
「う。。。。。。。。。。。」

~~~~~~~~~~~~エラサイド~~~~~~~~~~~~~~

少しだけ、りうのつけているボタンの模様、きれいだから見てみたいわ。

「ねぇ。そういえば、りうがいつも腕につけているそのボタンちょっと見たいんだけれど見せてもらってもいい??」

そういって、私がりうのしているボタンにほんの少しだけ、触れると、、、
ボタンから私に向かって光が放たれると同時に、頭の中にものすごい勢いで何かが流れ込んできた。

??「あんたみたいな、奴隷になんでご主人様は優しくするのよ!!あんたなんか消えてしまえばいいのに!!」

痛い。。。。怖い。。。。。
これは。。。。。。なに???
私は、踊っているわ。すごく楽しい。
すると、川が現れた。。。。。そして、バラのあれは。。靴???
それを持った鳥が空を飛んで、私は、泣いている。。。

「私の妃になれ」
これは王様??
私が王様に婚約を迫られているのかしら??

??「衣装箱のふたで、あの女の首をへし折ってやりなさい。そうすれば、あなたは幸せになれる。。。。ふふっ。」

今度は何??
女の人の首をへし折る感覚。。。女の人の首の残骸。。。。
血だらけの手。。。。そのとき鏡に映った私の醜い恐ろしい顔。。。。。。

??「あははははは!!!あんたはもう用済みよ!!あっはっはっは!!」

絶望。。。。孤独。。。。悲しみ。。。。

「あの女なんか!!あの女なんか!!死んでしまえばいい!!!!」

これは??私???私なの??
こんな私知らない。。。。。
こんな”いい子”でいなければいけない私はこんなことしない!!!

白いあれは鳩ね。。。あと苗??これは枝??
私が父上にもらったハシバミの枝と同じような枝だ。。。。
そして、木の靴。。。。。。

「私の妃になっていただけませんか??」
今度、私は王子様に結婚を申し込まれているの?。。。

??「シンデレラ!!!!掃除はどうしたの?!早くやりなさい!!」
「はい。。。。。。お母様。。。。すぐにやります。。。。」
<この女!!いつか殺してやる!!>

次は何???シンデレラって私のこと???
でも、どう見たってこれは私なんだけれど。。私じゃない。。。。。
これは、お母様??のように見えるけれど、違うみたい。。。。
それに、私の中に私が2人いる。。。。
そして、この激しい情動は何??
痛い、、、、苦しい、、、、やめて、、、、憎い、、、、、
<誰か、た、助けて、、、、、>

また別の場面ね。。これは魔女???いいえ、魔法使いだ。。。
かぼちゃの馬車にネズミの馬。。。。。それにトカゲの従者。。。。
そして、ガラスの靴。。。。。。。

ゴーンゴーン
鐘の音??王子様。。。と、これは私?!
結婚式よね??
「僕はエラと愛を誓います。」
まただわ。また、私は結婚をしている。
これって。。。。でも。。。
そんなはずは。。。。。。

これは、りうのつけていたボタンと同じもの。。。。
りう??いや、違う。。。あれは、男の人だ。
彼は誰なの?。。。
毎日、0時の鐘が鳴ったときから、ずっとそばにいてくれた彼は。。。。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「エラ!!エラ!!!大丈夫???」

「う、うん。大丈夫よ。でも、一体これは何??りうは見たのかしら??あれを。。。」

「あれ??ううん。見てないよ。エラがうずくまってしまったから、大丈夫かなって思って。。。。エラ??なんで泣いているの??」

エラは、私のその言葉に驚いたのか、自分の手を目元に置いた。

「私。。。。。。。泣いて。。。。。。」

「うん。エラ、今すごく苦しそうな顔をしているよ。」

「私、なぜだか分からないのだけれど、記憶なのかしらあれは。。。。。。
そして、その記憶と一緒に、悲しみ、苦しみ、憎しみ、が一気に襲ってきたの。それに伴った私の気持ちも同時にね。。。。。。。
私が、私がね、2人いるの。。。。。。。
ねぇ。りう。こ、これは一体どういうことなの??」

「っ。。。。。。。。。。」

「り、りうは、何か知っているの?な、何か知っていたなら教えてほしい。」

そういってエラは、苦みを握りつぶしたかのように、顔をゆがめた。
エラは止まらない涙を、袖でぬぐいながら一生懸命、笑顔を取りつくろうとしていた。

その顔を見た私は、決意を決めてエラにエルから教えてもらった話をすることに決めたのだった。

「エラ。。。。。。エラも見てしまったんだね。この世界の記憶の欠片を。。。。。」

「と、ということは、りう。りうは知っているんだね。これが一体何なのかを。」

「エラ。。。。。。。落ち着いて聞いて。。。。今からする話を。。。。」


*これはフィクションです。
物語の登場人物と現実では一切関係ありません。

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