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【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#17

第二幕 靴を落とした少女

13:記憶の欠片


*これはフィクションです。
登場人物とは一切関係ありません。
暴力的な描写がありますが、決して、それを推薦しているわけではありません。暴力的描写が苦手な方はおやめください。


「エラ。。。。。。。落ち着いて聞いて。。。。今からする話を。。。。」


「わ、わかった。」

そう言ったエルに対して、私はエルから聞いて知った話をそのままエラに伝えることとなった。

「エラ。ここはね。4度目のシンデレラという物語の世界の中で、あなたは主人公、そして、たぶんエラが今見たものは、1度目、2度目、3度目の物語の記憶だと思う。そして、それを引き起こしたのが、この、私の持っているボタン。」

と、このように、詳しく詳細にエラに話した。

事の一端を聞き終えたエラは愕然としていた。
その様子を見た私は、複雑で大きすぎる気持ちとは裏腹に、つっかえながらも、小さな声でエラを呼んでみた。

「エ。。。。。。ラ。。。。。。。」

「だ。。。。。。。。。。だ、大丈夫よ。。。。。。。。。」

「エラ。大丈夫じゃないよね。だって、ここが物語の中であることや、この世界の記憶の欠片のこと。わけわかんないよね。私も、わけがわからないよ。」

そういって、ベットに上に小さく縮こまったエラを私は優しくなだめるように抱きしめた。

「ねぇ。りう。その話は、、、、その、、、、どこから聞いたの?最初にりうにあれを見たのって聞いたでしょ??りうは見ていないといった。そしたら、その話は一体誰に聞いたの??お母様とお姉様はそんなことを教えてくれるような人たちではないことは、十分にわかっている。」

「っそれは。。。。。。。。。。。。。。。。。」

「りうが言いづらいことなのね。。。。。。。。。でも、全部。全部。
教えてくれる?たとえ私が傷ついたとしても、知りたいの。この世界のことを。」

「そう。。。。。。。。。。。私は、エラ自身の悲しむ顔は見たくないの。でも、今、エラの意志の強さを感じたよ。だから、私は、話すよ。」

私は、エラ自身の悲しむ顔は見たくない。それは、エラの分身でもある、エルもそうであって。だから、ごめんね。エル。
私は、エラにこの話をするよ。
本当はエルに一言いうべきなんだろうけど、こうなってしまった以上もう遅い。だから、エル。どうか、エラの中でこの一部始終を見守ってて。

「私がこの話を聞いたのはね。エラ。エラ自身からだよ。」

「それって。。。。。。。。。どういう。。。。。。。。」

「正確には、エラの中にいるエルという乖離してしまった、エラの分身からだよ。」

「私の分身。。。。。。。。。。。から。。。。。。。。???」

「そう。エラの分身。エルはね。0時になると、ベットから起き上って、私と一緒に話したり、この世の中のことを教えてくれるんだよ。エラの体で。」

「でも、私にはそんな記憶ない。」

「そうだよね。エルもそんなこと言ってた。エルとなっている間のエラの記憶は一切ない。そして、エルは、エラの一番の理解者でなくてはいけないって。ことも言ってた。」

私が、そのことを言ったとたん、今までの苦しいのに泣けないような顔から一転、涙を滝のように流した。

そして、エラは声を押し殺して泣いた。
それは、今まで、我慢していたエラ自身の涙と、エルの奥底に秘めた悲しみの涙の両方が重なっているように思えた。
エラが泣いている最中、とんとん、と母が子どもをあやすように、私は、繰り返し繰り返し、何度も背中をさすった。

エラの涙が乾いたころ、私たちは、エラのベットに2人して、屋根裏部屋の薄汚れた天井を見上げるような形で、横になっていた。
そして、エラがポツリと話し始めた。

「私は、もう一人の私、エルにずっと守られていたんだね。。。。。。。。。
私の中で、納得がいっているの。私がね、悲しくなって耐えきれないと思った時、いつも暗闇にいるの。でね、気が付いた時には、ベットにいたり、掃除をしていたり、記憶が飛んでいるの。
今までは、それが当たり前だったから。。。。。。。。。。。。。。
でも、今、ようやく気づいたわ。あれは、、、、、、、、、、、、、
エルが代わりにその気持ちとその行為を引き受けてくれていたんだね。
私の中の私が。。。。。。
そうね。
今まで、エルばかりに全部背負わせて、私は何も知らないままでいた。
エルは、エルは、私のことを恨んではないかな。。。。。。。。。。」

私は、エラのほうに視線と体を向け、こういった。

「それは、、、、うん。恨んではないと思うよ。
エルは、なんだかんだ優しいから。
エラと同じようにね。
それは、きっとエラ自身の変わらない優しさなんじゃないかな。」

「そっか。ありがとう。
りう。そして、エル。私を守ってくれて、ありがとう。」

そういって、手を胸に当てながら、エラは自分の心の声を聴くかのように潤んだ瞳を閉じた。

「ねぇ。りう。母上は、このことを知っていたのかもね。
だから、せめてもの言葉で”いい子”なんて言葉を。。。。。。。。。。。」

と言った、エラのしんみりした空気と言葉を壊したのは、そんなエラ自身の、うめき声だった。
突如として、また、エラが、頭を抱えだしたのだった。

「うう。。。。。。。。」

「エラ!エラ!大丈夫??」

「~~~る。~~てやる。」

「ん??なんて言ったのエラ??」

「殺してやる」


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