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トモエガモ2024年

先日、トモエガモに関する国際シンポジウムがありました。
日本の越冬地や韓国、ロシアからトモエガモの最新の報告があり
大変興味深く拝聴しました。

水面で休むトモエガモの群れ 佐賀県で撮影


私が住んでいる佐賀県でも今年は特にトモエガモの目撃情報があり、
記録をつけるのが大好きな私はかなり詳細なデータを取ってました。

トモエガモは諫早の調整池から来ていることは分かっていましたので、
特に諫早からの報告に興味がありふむふむと聞いていました。

報告によれば、2013年が一番初めに群れが観察された年で300羽。
それから毎年観察されるようになり、
10万羽を超えたのが2021年、今から3年前です。

佐賀県西部で群れが観察されるようになったのもちょうど3年前です。
つまりそれまで諫早湾近郊の山に餌をとりに行っていた群れの羽数が増えたため、近場では餌が賄いきれなくなりちょっと離れた佐賀まで来るようになったのではないかと考えています。


こちらでのトモエガモの目撃情報は
2024年1月13日~1月30日の18日間でしたが
3年前と比べて毎年期間が伸びています。

そして、トモエガモの食べ物についてです。
例えば石川県のトモエガモは夜間水田に行くようです。
韓国の群れもコメを食べているそうです。
ドングリを食べるのは、鳥取、諫早。
千葉はまだ夜間どこに行くか不明とのこと。

九州の場合ですが、ドングリを食べるのは、
たぶんこちらの農業形態に関係しています
基本的に九州は暖かく、二毛作なので冬の間田んぼを休ませるということをしません。

佐賀の場合は6月~10月に米を作り、
11月~5月まで麦・玉ねぎを作るので一年中農地があきません。
ほんとはトモエガモはコメが好きなんでしょうけど、
食べることができないので山のドングリに行くのではないかと。

夕方に山に入るトモエガモの群れ


2023-2024年度は諫早で14万ともいわれるトモエガモの飛来数ですが、
ここにきてちょっと気になるニュースがあります。

長崎県が諫早の調整池に大規模なソーラーパネルを設置する計画を立てているようです。
水面の全面に敷き詰めるわけではないでしょうが影響が気になるところです。
佐賀にも大きな池にソーラーパネルを設置している場所がありますが、
カモ類の飛来が減ったかといわれるとそうでもない気がします。
(最初はかなり心配したのですが)
むしろソーラーパネルの端っこ(フロート部分)で休む鳥たちが増えました。
カモだけでなくサギ類やカワウも利用できますし。

諫早の調整池の周辺の干拓地の畑の野菜がカモ類の食害にあっており、
ソーラーパネルの設置によって被害がむしろ酷くならなければいいのですが。

また、トモエガモの大群の飛来により、
生態系は複雑なので一概にいろいろと言えることではありませんが、
佐賀県の山の環境がどのように変わるのか気になるところです。
10万羽が一晩にドングリを10個食べれば100万個のドングリが消費されます。
今までドングリを餌にしていた他の生き物たちに影響が出そうです。

例えばドングリを食べる鳥としてオシドリがいますが、
ドングリがなくなるとオシドリの越冬数が減るかもしれません。
(実際今年は近くのダム湖で越冬しているオシドリを見ません…)

植生の遷移などにも影響が出る可能性もあります。

また来年佐賀に来るかなぁ…

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