B'z(ちいかわ)
相乗効果でヨクなろう
君は野良猫を撫でたことがあるか。モフモフであたたかな、ほとんど液体じみた柔らかな野良猫の体。だが彼らには爪があり、牙がある。ある程度人馴れした野良猫でも、ときに機嫌を損ねて「攻撃」してくることがある。野良猫という神聖な生き物は、必要最低限の動作で、相手の弱点を的確に突いてくる。確実に血管の太い部分を狙って噛みついてくるのだ。
思えばモモンガの生き方は、野良猫そのものではないか。飯がほしいときだけ懐いたフリをして、一体どこへ帰るのか。そんなモモンガに対して、カニちゃんが何の見返りも求めないことは、極めて自然なことのようにも思えてくる。
なるほど、小さくも可愛くもない連中は、みんなこれに「なりたい」わけだ。
僕は君だけを傷つけない
小出の調べによると、彼の職場は「市街地」と「森」の間にある。食べ物を求めて、いつも森から駆け寄ってくるモモンガを、街の片隅で受け入れるカニちゃん。絶えず優しく、だがときに厳しく、モモンガを「ちいかわ族」として育てる、さながら「保護者」である。
様々な「強さ」のベクトルが存在する『ちいかわ』において、カニちゃんの強さは、モモンガを守るための強さである。パートナーに危険が迫ったとき、自分ならどうするだろうか。身につけているものを武器や防具にする以外は思いつかない。火事場のなんちゃら。
愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに
だが読者にしてみれば、モモンガには愛し抜けないポイントがひとつだけある。でかつよ問題。
カニちゃんはこのことに全く気付いていないから憐れまれるのだ。だが今回、魔女との遭遇により、ついにモモンガの正体が、世界の闇があばかれそうになった。
だがそれは、カニちゃんによって阻止された。全て知るのは到底無理なのだろうか。これからもモモンガはカニちゃんのほんのイチブしか知らないままなのだろうか。
とはいえ、仮にカニちゃんがモモンガの正体に気付いたとしても、その愛情が揺らぐことはないだろう。姿が変わっても接し方は変わらないはずだ。ちいかわたちがカニちゃんに対してそうであったように…
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