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ビンタ研究レポート№3【女子のビンタ】

1983年── 

小学三年生になっても相変わらず忘れ物しがちキャラを演じていた私は、担任の女教師T先生からコンスタントにビンタをゲット出来ていた。

ビンタの強度は中ぐらい、そこそこの刺激があるので満足はしていた。

だが、人間は欲が出る生き物。

強いビンタを放つ人物を選りすぐり始める。

担任T先生は結構なご年配、小学生三年生の私からみると親同然なのだ。

母親のビンタは勿論受けてはいたが、それはただ痛いだけで快感とは違う。

なので私はこの時、同級生の女子にターゲットを定めた。

しかし、同級生の女子からビンタをゲットするのは、かなりハードルが高い。

先生ならば、悪い素行や忘れものなどで、教育的指導のビンタを頬へ誘致出来る。

でも、同級生の女子はそう簡単にはいかない。 

ビンタする理由がないからだ。  

引っ込み思案で女友達の一人も居ない私がビンタをゲットするにはどうしたらいいか?

私は得意の試行錯誤を始めた。

その結果、クラスに目ぼしい女子を見つけた。 

S原だ。

S原はクラスの中でも男勝りで、顔もカワイイ。男子にからかわれ、ガチギレしている所を何度も目撃している。

彼女が一番怒るのは、当時流行った曲の替え歌。
その替え歌は、彼女のキャラクターを反映させた今で言うディスソングに近い。

この替え歌を使って、彼女の怒りを買う作戦だ。

作戦決行当日──

休憩中、S原が近くの席で他の女子と談笑中、仕掛けた。

替え歌をS原に聴こえるように歌った。

しかし、何の反応もなく休憩時間は終わった。

作戦失敗──

まぁ、替え歌ごときでビンタがゲット出来るのなら苦労はしない。

放課後、別の作戦を考えながら下校の準備をしていた時、

「○○」 

と、誰かが僕の名前を呼んだ。

振り返ると、そこにはS原が。

そして、S原は右腕を振り上げた──

パァン!

S原は私の右頬にビンタを喰らわせた。

「さっき替え歌唄ったよね? 二度と唄わないで!」

と、捨て台詞を吐いて私の目の前から去っていった。

や……やったぁあああ!

心の中で叫んだ。

時間差でビンタをゲットした私は意気揚々と下校した。

続く

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