FF8再考ーーリノア=アルティミシア説: 永遠にループする世界で彷徨う魔女リノアを救った騎士スコールとプレイヤーの物語


リノア=アルティミシア説とは、FF8において、ラスボスのアルティミシアがヒロインのリノアの未来である、という説です。
解釈は色々あるみたいですが、個人的に一番しっくりきた説を紹介します。(独自の解釈も含まれます)

※FF8をプレイ済み、もしくはストーリーを知っていることが前提の記事です。

前提

まず、この説の前提として、

・人間の創造主とされる魔法のハインが全ての黒幕である。
・ハインは『月の涙』により地球に落ちてきたモンスター(月の神)である。
・ハインは魔女に宿り、世界支配を目論んでいた。
・魔法のハインは本来のハインの片割れであり、もう片方の抜け殻のハインはアルテマウェポンである。よってハインの消滅には両方を倒す必要がある。
・魔女は力の継承をせねば死ねない。
・イデアから継承後、リノアは力の継承を行わなかった。
・騎士を失った魔女は悪い魔女になる。(=ハインに心と体を乗っ取られる)
・スコールはリノアの騎士である。

ということが挙げられる。
ハインについては詳しくはこちらの記事で詳しく紹介されているのでご参照ください。

オープニング冒頭の花畑のシーンはエンディング後数十年先の未来のリノア


まず、OP冒頭のリノアはエンディング後の未来のリノアである。
エンディングで無事スコールと結ばれたリノアはその後幸せに暮らしたとおもわれる。
しかし、イデアから継承した魔女の力の継承を行わなかったため、寿命を迎えたスコールと死別する。
その後時間がたち、しだいにスコールの記憶も自我も失ってゆくリノア。
そしてハインに乗っ取られ、アルティミシアになる前に『約束の場所』を訪れ、スコールへの想いを込めて羽根を飛ばす。
そのシーンが冒頭の花畑のシーンで描かれている。(エンディングより数十年後)

そしてその羽根が時空を超えてアルティミシア撃破後時空の狭間を彷徨うスコール(エンディング) の元へ届き、スコールを現在のリノアの元へと導く。

オープニング最後のシーンは数百年後の未来のリノア(アルティミシア)がスコールにジャンクションした瞬間


アルティミシアがスコールに攻撃されて瀕死となり、アルティミシア(=魔法のハイン)の支配が弱まり自我を取り戻したリノア(数百年後の未来のリノア)は、アルティミシア撃破後時空の狭間を彷徨うスコールにジャンクションし記憶を取り戻させる。
その瞬間がエンディングでスコールが涙するシーン及びオープニングでスコールに駆け寄るリノアのシーンとその後のタイトルロゴである。(その後アルティミシアと分離したリノアは思念体となり、スコールと一体化。肉体を失った未来のリノアはここで消滅)
ジャンクションにより記憶を取り戻したスコールは現在のリノアと同じ場所(約束の場所)に行くことができ、時空の狭間から脱出する。

リノアの運命

その後、現在のリノアと幸せに暮らすが、リノアは魔女の力の継承を行なっていないため不死となり、スコールと死別する。
騎士(スコール)を持たぬ魔女となったため徐々にハインに精神と体を蝕まれ、記憶を失ってゆくリノア。
その記憶を失う前に約束の場所を訪れ、スコールへの想いを羽根に乗せて飛ばす。(オープニングシーン)

その後闇堕ちし、アルティミシアとなって数百年間彷徨い続けるが、やがてスコールと再び出会い、その剣でその苦しみを断ち切ってもらう。
かつて「悪い魔女になったときはとどめを刺して」と言った通り……。
これだけを見ればバッドエンドのストーリーにも見える。
しかし、実はそうではなかったのだ。

それまで二人は永遠にループする世界にいたが、プレイヤーの介入とスコールの気付きによりループは断ち切られる

ゲーム終盤、スコールに撃破され、瀕死になったアルティミシアは過去のイデアに魔女の継承を行なった。
これによりイデアが魔女となり、物語は冒頭に戻る。
物語が進むと魔女の力はリノアに継承され、リノアはやがてアルティミシアになる。
そしてまたスコールに撃破され、イデアへ……とループしてゆく。

そう、これは終わりのない物語だったーー今回までは。
そのループの中でリノアとスコールは愛し合いながらも彷徨っていたのだ。
しかし、今回は違う。それは、①魔法のハインの分身を倒し、②スコールがリノアがアルティミシアになる未来を知った 世界線だからだ。

まず、①プレイヤーの介入により、この世界の現在の世界線において、魔法のハインの分身たる抜け殻のハイン(アルテマウェポン)は倒されている。(これまでは倒していなかったと思われる)
よって現在の世界線においては、魔法のハインの力が弱まり、魔女の力の継承が不可能、もしくは騎士の死後魔女の乗っ取りが不可能となり、魔女の寿命で消滅する可能性が高い。

そして、②エンディングシーンでリノアにジャンクションされたスコールはアルティミシアがリノアの未来であったことを知り、涙している。
よってスコールはこれを現実世界に持ち込み、未来を変えるために動くと思われる。

結果、ループは断ち切られ、二人に新たな未来が拓かれ、ハインは消滅するのである。

まとめ

この作品の醍醐味は、なんといってもオープニング。
オープニングでスコールに駆け寄るリノアのあの表情……ただの笑顔ではなく、渇望がある。
そして顔が「やっと会えた」と語っている。
それは、スコール亡き後ハインに体も精神も乗っ取られ、永遠にも思える時間を孤独に彷徨い続けた果ての邂逅だから。
あの表情が全てを語っている。
そしてその瞬間から、二人の本当の物語は始まるのである。

参考にさせていただいた動画

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