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首都圏小学校受験の加熱について

 学歴評論家として名高い「じゅそうけん」氏が2023年の小学校受験に関するツイートをしていた。

 少子化にもかかわらず、首都圏名門小の受験倍率は低下していない。いや、むしろ増加傾向すら見えてくる。中学受験と同じく、少子化とは無縁の盛況ぶりが見えて透ける。

 それにしても国立大附属小の倍率は高い。私立小の比では無いらしい。理由はもちろん学費が安いからだろう。小学校受験最難関は慶応幼稚舎だと思っていたが、倍率面で考えると国立大附属小の方が遥かに上ということになる。茗荷谷三校(筑波・お茶・竹早)の60倍とか70倍という倍率は私の時代から全く変わっていない。最難関の学大附竹早は学区が広いこと、筑波やお茶の志願者が併願すること、附属中へ100%上がれること等が高倍率の理由なのだろうか。学芸大附属高校が凋落したにも関わらず、附属小は相変わらずの人気というのは面白い。

 国立附属校の格付けというのは難しい。伝統的な格式では筑附・お茶>学大附>筑駒である。小学校受験の難易度だと学大附竹早・お茶>筑附>学大附それ以外、となる。中学受験だと筑駒>筑附>学大附系列・お茶となる。高校受験の場合は筑駒>学大附>筑附>お茶だったが、現在は学大附が凋落気味だ。国立附属校は公立でも私立でもなく、時代や小中高によっても変わってくるので、位置づけが難しい。ちなみに筑駒は国立附属の界隈から外れた謎の学校という扱いである。

 小学校受験の難関校の多くは中学校からも生徒を募集している。興味深いのは小学校受験の難関校が中学受験の難関校とは限らないことだ。例えば学芸大附属・暁星・桐朋といった学校は中学受験では中堅校という扱いになる。洗足学園や都市大附属もそうだ。難関校に入るのは早慶附属と筑附だけだろう。しかし、両者にしても御三家や筑駒といったさらなる上位校の中で相対的に地味な立ち位置になる。東大のような場所は中学受験カルチャーが強いので、お受験学校よりも開成や麻布の方が注目を浴びる。お受験は偏差値エリートというよりブルジョワエリートの性質が強いので、東大よりも慶応の方が相性が良いと思っている。

 なお、少子化が加速しているのに、小学校受験が盛況なのは必然性がある。まず「結婚・子供」が贅沢品となった現在では子供を設けることができるのは高学歴エリートばかりになっており、彼らは教育熱心だ。その上最近は首都圏中学受験の加熱があまりにも行き過ぎており、彼らは子供を伸び伸びと育てようと私立小に入れたがる。そして教育費がますます高騰し、更に少子化が進むという悪循環が起きる。

 社会の発展と教育水準は明確な関係があるので、時代が下るほど高い教育を受けた人が増えるのは必然だろう。戦前生まれで大学に行けた人間は10%ほどだが、令和生まれの世代は90%が大学に進学するかもしれない。偏差値主義者から見ると嘆かわしいかもしれないが、人的資本の蓄積の観点では非常に好ましいだろう。大学全入時代で大学生の質は下がったかもしれないが、日本人の質は上がったのである。

 


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