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「不気味の谷」の正体は?人類に備わった恐ろしい理由について考える

最近、tiktokで不気味の谷メイクというものが流行っているらしい。黒目を大きくして、人間とは異質だが、大きく離れてもいない容姿にするのが特徴だ。これは人型ロボットの業界で良く指摘される「不気味の谷」現象が元ネタである。

不気味の谷メイク。
こわい。

 不気味の谷とはCGやロボットの造形が人間に中途半端に近づくと非常に気持ち悪い見かけになるという現象だ。私もネットで不気味の谷のCGを検索したが、どれも説明し難い恐ろしさを感じさせる。ホラーである。

こわい、こわすぎる。
帰宅して玄関にこんなのがいたら卒倒してしまう。

 さて、ここで1つの考えが浮かんでくる。なぜ人類は「不気味の谷」なる本能を発達させたのかという疑問だ。人間の本能はすべて石器時代までに形成された。多くの人間が何も考えないと食べすぎるのは石器時代に食料が不足していたからである。多くの人間が火を見ると安心するのは石器時代の人類が火を囲んで団らんしていたからである、等だ。

 不気味の谷にもきっと何らかの進化的必然性があったはずだ。石器時代の人間は「人間に似ているが、人間ではない何か」を恐れていた。その存在は現在の世界には見当たらない。遠い昔に姿を消してしまったようだ。しかし、人類の本能が形成された数十万年前までソレは確かに存在したのだ。原始の人類達は「ニンゲンモドキ」を恐れていたのだろうか。

「ニンゲンモドキ」の正体とは何なのだろうか。その正体として思い当たるのは1つしかない。それはサピエンス以外のヒト属だ。かつてはヒト属は沢山の種類が存在した。北京原人・ジャワ原人・ネアンデルタール人・フロレス人といった多種多様な種が繁栄していた。しかし、現在ヒト族で地球上に存在しているのはサピエンスだけだ。後の種族は1つ残らず絶滅している。 

 これらの一斉絶滅はサピエンスが10万年前にアフリカを出て世界中に拡散した時に発生している。原因がサピエンスにあることは明らかだろう。サピエンスは世界中で原人や旧人を生存競争で追いやった。もしかしたらジェノサイドの痕跡も発見されるかもしれない。きっと彼らは「不気味の谷」によって滅ぼすべき敵に見えたはずだ。こうしてサピエンス以外の全ての人類は絶滅させられたのである。

 現在も人間の本能に残る「不気味の谷」。それは太古の昔に他の人類に向けられたものであり、先史時代のジェノサイドの痕跡なのである。

 とまあ、太古の恐ろしい歴史について思いを馳せたわけだが、実際にジェノサイドが起きたのかは分からない。現生人類のDNAを分析すると面白い事実が浮かび上がる。アフリカを出た人類はユーラシア大陸で他の人類と交雑していたらしい。現在のコーカソイドはネアンデルタール人の血が混ざり、現在のモンゴロイドはデニソワ人の血が混じっているそうだ。中には他の人類に興味を持って交雑した者もいたようなのだ。意外にもサピエンスとネアンデルタール人・デニソワ人との関係は良好だったのかもしれない。当然戦争や虐殺は頻発していただろうが、そもそも国家形成前のサピエンスはお互いに常に殺し合いだったので、特殊なこととは言えない。太古の人類同士の共存関係については今後の研究が楽しみだ。

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