<MBTI>なぜJ型は社会で優位なのか
16タイプを考察する上で通説となっていることがある。それは「J型の方が社会生活上に有利なことが多い」というものだ。この性質は必ずしも明白ではないし、場合によってはP型の方が有利なことも多いだろう。それにもかかわらず一般にJ型の方が優位と考えら得ているのはなぜなのか、考えてみようと思う。
P型とJ型の違いは何か。一番分かりやすい相異は「一度決めたことを変更するのが苦痛か否か」だろう。P型は途中変更が対してストレスにならず、自分の感じるまま、思うままに行動する。P型にとっては変更よりも拘束の方が苦痛だ。自分の思い通りにならないので、縛られているようなイライラを感じるのである。一方のJ型は正反対だ。J型は一度決まったことを変更することにストレスを感じる。「話が違うじゃないか」ということだ。J型は安定を好み、「このやり方に従っていれば物事は万事うまく行く」という状態を好む。
J型の性質は社会生活上の優位を産んでいる。J型は組織的な行動への適性が高いが、それは組織が「決められたことを忠実に実行すること」を求める集団だからだ。組織にも柔軟性は必要だが、あくまで組織の大枠に沿った柔軟性であるため、J型でも問題なく対応できる。J型は「とりあえず役に立つ存在」として職業人としては重宝される。これといって能力が無かったとしても「言われたことを機械的に実行してくれる」存在というのは役に立つのだ。
また、J型は一度作った計画を遵守するので勤勉だ。この性質は受験勉強における相当な優位を産んでいる。受験勉強はノウハウが確立されており、大手進学塾のカリキュラムを盲目的に処理していけば合格への最短ルートになる。この場合、J型は大変な適性を示す。
SAPIX⇒鉄緑会⇒東大⇒官僚といったエリート街道は極めてJ型の考える理想に近い。ここまで極端でなくても、いわゆる大手企業にはJ型の考えるレールの敷かれた人生が用意されていることが多い。有名大学を卒業し、新卒で入社し、組織の求めるタスクを実行し、ルールの枠内で出世競争する。システムもノウハウも確立されているので潰れる心配はない。こうした人生観はJ型との親和性が高いだろう。日本社会の特徴は中央省庁や大学病院といったトップエリート以外の層にもこうしたシステムが完成されていることだ。
伝統的な日本の大企業は新卒一括採用・終身雇用であり、長期安定が売りである。転職は一般的ではなく、はぐれものの行うこととされた。新しいライバルの参加はJ型にとって非常にストレスになる。激しい競争を繰り広げるにしても、相手は既にメンバーが確定した同期のみにしたい。外から新しいライバルが入ってくるのは裏切りに感じる。J型にとっては同期のライバルが社長になるのは許せても、外からやってきた人間が社長になるのは絶対に許容できない。同様にJ型は「脱落式」という言葉を好む。これは新たなライバルが入ってくる心配がなく、自分のイスがある程度までは確保されることを示すからだ。こうした閉鎖的な減点法の競争に適性があるのがJ型だ。
J型に優位はどこでも成立するわけではない。途上国に行けば理解できる。途上国では法規は守られないし、値段すら交渉しないと定まらない。コツコツ貯金をしたとしても、政情不安で雲散霧消するかもしれない。途上国の社会は不安定であり、P型の性質がないと生き残れないのだ。この点で日本社会は長期に渡って安定しており、成功のノウハウが確立している。日本社会は安全な線路であり、途上国は不整地の悪路ということだ。似たような要素は同じ日本国内にも見出すことができる。長期に渡って安定している金融やインフラの大手企業はJ型の性質が強いが、本質的に不安定なクリエイターや芸能人はP型でないと耐えられないだろう。
J型の優位が生かせるのは安定した環境であり、P型の優位が生かせるのは不安定な環境だ。日本社会は長期に渡って安定もしくは停滞している。社会的にステータスの高い就職先も安定性が高い。それに伝統的な日本企業の価値観は一般社員にも総合職的な価値観を浸透させた。これらが理由でJ型は日本社会で出世する上で有利に働いている。