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なぜ大谷翔平は最強の国民的英雄になったのか

 最近話題になっている大谷翔平だが、この人物は令和日本において最強の英雄として扱われている。成功者の例として挙げられるのはいつだって大谷だ。「天才」と言えば大谷。「金持ち」と言えば大谷。世間はみんな大谷をほめそやす。他にも有能な人間は沢山いるはずなのだが、なぜ大谷翔平なのか。今回は大谷翔平が社会的英雄として祀り上げられるのに必要な条件を全て満たしていることを論じたい。

大谷翔平は職業的有名人である

 これは真っ先に挙げられるだろう。いくら成功しても、有名人でなければ成功者の例としては挙げられない。こっそり不動産投資で成功して日本一の地主になった人がいても、世間には名前がほとんど知られていないだろう。というより、経済人の多くはそこまでメディアに露出したがらないのだ。

 一方で大谷翔平はスポーツ選手であり、公に露出するのが仕事だ。したがって、世間が大谷の話題を出しても個人情報の侵害にはならないし、CMに出しても問題ない。

大谷翔平は社会的威信がある

 物事には社会的威信がある。例えばホストで日本一になった人物は天才だろうが、表のメディアで賞賛するのははばかられるだろう。

 成功者の社会的威信というのは意外に難しい。岸田文雄は成功者だろうが、政治家は必ず賛否両論が発生する職業であり、みんなの英雄とはなりえない。同様に、孫正義などのビジネスマンもどこか私利私欲の側面があり、英雄とはしにくいだろう。

 木村拓哉のような芸能人もまた、あまり受けが良くない。はじめしゃちょーといったユーチューバーも然りだ。これらの業界はスポーツと違って、「堅い」業界から好かれないのである。

 英雄とは小学校で取り扱っても問題なさそうな人物であり、スポーツというのは無難極まりないのである。岸田文雄や孫正義よりも大谷翔平が学校教育では好まれるはずだ。

大谷翔平は分かりやすく優秀である

 小学校で取り扱っても良いという点では他にもいろいろな有名人が可能だろう。例えば芥川賞を取った作家とか、アカデミー賞を取った映画監督などが挙げられる。

 ところがこうした芸術系というのは客観的な勝ち負けが分かりにくい。例えば宮崎駿は成功者だろうが、ジブリが嫌いで評価したくないという人もいるわけだ。

 しかし、大谷翔平はスポーツという勝ち負けがはっきりする世界の住人なので、客観性が高く、競争社会の住人にとっては賞賛しやすいのである。

大谷翔平はお金を稼いでいる

 筆者が考えるに、この項目は重要だ。スポーツの世界には他にも天才が存在する。伊調馨とか、野村忠弘とか、こういった人物も大谷に負けないくらい偉業を達成しているだろう。競技の頂点を勝ち取るのはどの分野であっても尊いことだ。

 他にもノーベル賞を受賞した山中伸弥なんかもこれまでに挙げた条件を満たしている。しかし、これらの人物が世間で成功者の典型として挙げられる例は大谷翔平に比べると少ない。

 その理由として決定的なのが金だ。これは人にもよるが、半分くらいの人は成功者のお金をたくさん稼いでいるという点を重視する。山中伸弥は偉大かもしれないが、経済的成功というイメージから遠いので、大谷のようなイメージにはならない。科学の進歩に興味のない人には響かないだろう。同様に五輪メダリストもあまり儲からないので成功者の例とはなりにくい。同じスポーツ選手でも野球やサッカーのような稼げる競技はマス層の男性から受けがいいのである。

大谷翔平は純朴な好青年である

 最後にこの項目だろう。大谷翔平は天才として持ち上げられ、大金を稼いでも本人はおごることが無かった。いつでも目線は金や名声ではなく、野球の方を向いている。まるでスポーツ漫画の主人公のようだ。実際、大谷は本当に野球が好きなのだと思う。人格的にも穏やかで、万人受けするだろう。

 これはもう一人の成功者である羽生と対比される。羽生は大谷よりも遥かに癖が強く、スポーツ好きの男性には受けにくいと思われる。タレントパワーを見るに、日本のスポーツ選手は大谷と羽生が人気面で抜けているのだが、どちらが一般受けするかと考えると大谷だろうと思う。

藤井聡太も大谷に次いで成功者の例として持ち上げられるが、本人のキャラクターはやや個性的であり、将棋よりも野球の方が世間の男子には受けそうである。

最強の成功者

 ビジネス書の一大ジャンルが「成功者」だ。どうにも世の社会人は成功者の生きざまに憧れ、模倣したくなるものらしい。大谷翔平はこれらの条件をすべて満たしているだろう。以前は良く取り上げられていたイチローとか長島といった人物も同様の条件を兼ね備えている。

 特に重要なのは「お金を稼ぐ」という点だろう。ビジネスマンはお金を稼ぐことを第一に毎日を過ごしているので、経済的成功が第一の条件となる。ここが教科書の偉人との違いだろう。ビジネスマンにとって魅力的な人物はザッカーバーグであって、アインシュタインではないのだ。

 したがって、安倍晋三とか山中伸弥といった人物はなかなか成功者として挙がりにくい。知識人系も皆無だ。成田裕介とか山口真由といった人物は頭はいいかもしれないが、社会人としての成功の中心とは見られにくい。成功者としてカリスマ性を持つのはホリエモンとかひろゆきといったやはりお金を儲けた人物である。

 ただ、ビジネスはどうしても金の匂いがしてしまう。ビジネス書では取り上げられたとしても、名誉とは繋がりにくい。この点で大谷翔平はスポーツという青少年の教育にも繋がりやすい分野で成功しており、あらゆる方面で取り上げることが可能なのだ。


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