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<MBTI>16タイプと権威に関する傾向

 16タイプと権威主義という観点はしばしば16タイプ考察で取り沙汰されるテーマだ。この手の考察にハマるINFPやINTPは日頃から会社で年功序列や役職といったしきたりに疲弊しているのかもしれない。
 
 16タイプと権威主義を巡る議論は結構複雑だ。権威主義といっても権威を受け入れる性質と権威を振りかざす性質は全く違うからだ。16タイプの権威主義的傾向は二次元的であり、単一の評価軸で論じるのは難しい。今回はそんな16タイプの権威主義について解説したいと思う。今回はかなり力を入れて書いたつもりだ。

ESTJ・・・100%の権威主義者

権威を受け入れる ★★★★★
権威を振りかざす ★★★★★

 おそらく全タイプで最も権威主義的と認識されるでろう性格タイプはESTJだ。外界の情報に積極的なE型の特徴、慣習と経験を重んじるS型の特徴、一度受け入れた方式を変えたがらないJ型の性質は全て権威を受け入れる方向へと向かわせる。SJ型に共通する特徴だが、彼らにはこれといった独自理論がないし、議論も嫌いだ。それよりも不確実性の方が怖い。SJ型は常識的に受け入れられている上位の役職者や大学の教授といった存在の言説を盲目的に受け入れるだろう。とりあえず社会が従っている相手に従っておけば安心だからだ。それ以外の異論については考えないし、考えるのも面倒だと判断するはずだ。

 これに加えてESTJは権威を行使するのも好きだ。TJ型は役人タイプと言うべき存在で、他人対して規則を押し付けるのを躊躇しない。T型の攻撃的な性質がここにも現れている。ESTJは他人に対して関心が強いし、曲がったことは許せないだろう。

 上位の人間の言っていることに従い、下位の人間が規則を守るように徹底する、それがESTJという人種だ。ESTJに最も適性のある職業は軍人だろう。プロの軍人は階級が上の人間に絶対的に従い、階級が下の人間をエネルギッシュに引っ張る。生意気とも軟弱とも思われない彼らの上下関係能力は目を見張る物がある。

ISTJ・・・無機質な役人

権威を受け入れる ★★★★★
権威を振りかざす ★★★★・

 ISTJはまさに役人と言ってもいい性格だ。SJ型の例に漏れず、慣習と経験を重んじるため、非常に権威に大して従順だ。ISTJはとにかく規則に厳格で、周囲が何をしていようとも淡々と規則を守る人々という印象が強い。

 S型の例に漏れず、ISTJは権威に反抗するだけの持論と呼べるものがない。マジメで勤勉なので、権威に反抗して自由を得たいという発想も特にない。よってISTJは非常に権威に従順である。

 ISTJはT型の例に漏れず、人との衝突を恐れない。従って権威を振りかざすのも平気だ。規則に従って淡々と職務を実行する小役人のような性格である。ISTJは几帳面なので、管理したがる項目が多い。これもISTJが権威を振りかざしたくなる要因となる。細かいところに口うるさいのだ。決して反抗を許さないが、干渉することは少ないESTPとは異質である。

ESFJ・・・理想の秘書

権威を受け入れる ★★★★★
権威を振りかざす ★★★・・

 ESTJに次いで権威主義的と思われるのはESFJである。ESFJの特徴は全タイプ最高の集団適応能力であり、権威への従順さはその一部である。ESFJは協調を重んじ、権威に逆らってやろうという野心はない。むしろ一般的に「エラい」とされている権威を尊重する立場である。例えるならばエラい役員や大学教授に対して積極的にお酌をする仕切り屋のオバサンだろうか。権威への反抗は集団の輪を乱す行為であり、慎むべきだと考えている。そもそも権威に反抗するだけの独自の意見を持っていないことが多い。病院に行った時に医者の言うことを素直に聞くように、ESFJは上の人間を尊重するのである。

 ESFJの権威の受容度はESTJと同等かそれ以上に高いが、行使する側となるとそうでもない。F型はあまり力の行使を好まないのだ。みんなの先頭を切って権威に従うことは多いが、従わない人間を無理やり従属させることは少ない。

ESTP・・・上下関係に厳しいヤンキー

権威を受け入れる ★★★★・
権威を振りかざす ★★★・・

 ESTPの雰囲気はヤンキーやチンピラに近い。ワイルドな自由人であり、基本的には自分のやりたいように行動する。そんなESTPだが、権威との相性は意外に悪くはない。

 ESTPの行動様式は野獣に近い。ジャングルでは力関係が全てだ。「自分より強い相手には喧嘩を売ってはいけない」というのは大原則である。ESTPは強者に大して絶対に逆らわないし、逆らおうという気にもならない。この点ではさっぱりしている。ESTPの上下関係はヤクザをイメージすればよいだろう。

 これはESTPのS型の性質が絡んでいる。S型は環境を改変するよりも順応することを選ぶ。わざわざ強い相手に反抗する合理的な理由はないし、権威を批判するだけの持論も特にはない。これに加えてE型の順応能力を持っているので、権威に従うのがそこまで苦にならない。

 ESTPは力関係に敏感だ。これは行使する側になった時にも作用する。ESTPは下の人間が歯向かうのを許さないし、生意気な人間は「シメられる」だろう。

 ただし、ESTPは根本的に自由に行動したがるので、あまり細かい管理はなじまない。言い換えると、上下関係さえ守ればあまりうるさいことを言われない。これがESTPの権威主義だ。

ENTJ・・・カリスマ独裁者

権威を受け入れる ★★★・・
権威を振りかざす ★★★★・

ENTJはかなり権威主義的な人間である。ただし、その権威主義のあり方はSJ型のそれとは異質だ。ENTJは権威を振りかざすのは好きだが、権威を自動的に受け入れるタイプではない。

 ENTJは表面上は権威を受け入れるように振る舞う。しかし、この動きには注意が必要だ。ESTJが権威を受け入れるのは権威を盲信しているからだが、ENTJは権威を自分自身の権威を高める手段だと思っている。自分一人で権威を主張するのは骨が折れるので、他人の権威を傘に権威を行使するのだ。スターリンがレーニンの個人崇拝を行ったエピソードがこれに近い。レーニンの存命中は意見が衝突することも多かったが、死んでしまえばいくらでも利用できる。レーニンの絶大な権威を生かしてスターリンは個人崇拝を作り上げた。

 ENTJは目立ちたがりであり、自分の影響力を周囲に拡散するのが好きだ。ただし、E型なので意見はそこまで偏っていない。ENTJの主張自体は意外に当たり障りがないものだ。ENTJは他人から見ると、とにかく仕切りたがる人間に見えるだろう。ENTJは一応集団が受け入れてる価値観をある程度受け入れるので、権威を批判する趣味はそこまでだろう。

 ENTJは権威を振りかざすのを厭わないし、そのやり方はしばしば非常に権力的だ。ただし、ESTJやISTJのような細かい干渉はないだろう。ENTJにとって一番大事なのは考え方が一致しているかで、中学校の生活指導のような行為はあまり興味がないからだ。細部に無頓着なN型の性質ならではである。

ESFP・・・ムードメーカー

権威を受け入れる ★★★★・
権威を振りかざす ★★・・・

 ESFPは場の空気を重んじるムードメーカーだ。ESFJと同様に環境にあっという間に順応していく。ESFPは人懐っこく、目上の人間にも好かれることが多い。権威者であっても思わず可愛がりたくなる人々がESFPだ。

 ESFPは現実的だ。権威に歯向かってもいいことはないし、上位者にはむしろ好かれたいと思うだろう。ごますりではなく、自然な感情だ。よってESFPの権威への受容性は真ん中より少し高いくらいだろう。

 ESFPはそこまで権威を行使するのは好きではない。場の空気を乱す人間には批判的だが、そこで終わりだ。他人を細かく管理したり、他人を権力で従わせることは不愉快に感じるだろう。あくまで仲良く楽しくやっていきたいと考えているはずだ。ESTJやESTPに制裁を加えられた目下の者を後でこっそり食事に誘って、「〇〇さんも実は優しい人なんだよ」などとフォローしている印象だ。

ISFJ・・・従順な子羊

権威を受け入れる ★★★★・
権威を振りかざす ★★・・・

 ISFJは従順でおとなしいの一語に尽きる。SJ型の例にもれず、慣習と経験に従う傾向が強い。とりあえず社会的に定評のあるものに従っていれば安全だと考えるだろう。権威に反発するような持論や個性はあまりない。ESFJほど順応能力が高い訳では無いが、やはり権威に関しては無批判だろう。

 ISFJが権威を受け入れるのは集団の和を乱したくないからでもある。権威に対する批判は何かと物議を呼ぶ。ISFJには議論をするような趣味はないし、物騒だと思っているだろう。控えめな態度は行使する側に回っても同じだ。ISFJは力を行使するよりも、説得して丸く収めることを選ぶだろう。

 ISFJは全タイプで一番受動的であり、INTJとは対極に位置する。

ENFJ・・・オピニオンリーダー

権威を受け入れる ★★★・・
権威を振りかざす ★★★・・

 ENFJはESFJと良く似ている。どちらも集団順応能力は非常に高く、どの環境でもそれなりに人望を得ているはずだ。コミュニケーションは得意で、しっかりした性格から各所で頼られることが多い。集団の和を重んじ、人との衝突を避ける性格である。

 しかし、ENFJはESFJほど権威に従順ではないだろう。理由はN型の性質だ。N型はあれこれ考えるのが好きだし、上に言われたことが真実かどうかは分からないと思っている。N型は物事に意見を持ったり、改革のプランを思いつく事が多く、この性質は権威との相性の悪さを生み出している。

 ENFJは権威を批判する趣味はない。しかし、自分なりに世の中や組織に関して意見を持っている。その意見が上位者と著しく食い違う場合はENFJは素直に従わないだろう。自分の意見の賛同者を増やし、上に交渉を持ちかけるかもしれない。ここまで露骨な例は少ないだろうが、自分の意見を持っているという要素は潜在的に権威との相性を悪くしている。

INTJ・・・生まれながらの革命家

権威を受け入れる ★・・・・
権威を振りかざす ★★★★・

 INTJはしばしば反権威の権化と思われている。この捉え方は間違ってはいない。ただし、INTJの権威の捉え方はENTJにも増して独特であり、INTJを単純に権威が嫌いな人間と考えると痛い目に合うことになる。INTJは既存の権威に反対し、自ら新しい権威になりたがる人間だ。INTJの反権威はしばしば非常に権威主義的なのである。

 INTJは極めて自律性が高い。IN型の特徴としてオリジナルの持論が強いことが挙げられるが、それに加えて衝突を恐れないT型の性質と、意見を曲げないJ型の性質が組み合わされ、極めて挑戦的な性格が出来上がっている。INTJはしばしば建築家と言われるが、建築家は新しい建物を一からデザインする人々であって、既存の建物に住む人間ではない。INTJは権威を壊し、その残骸に新たな権威を打ち立てる革命家のような気質だ。

 INTJとENTJの権威主義的傾向は似ているが、若干の違いがある。ENTJ自分が目立ってリーダーシップを発揮するところに焦点があり、ある程度既存の権威に迎合したがる。INTJは目立つのは嫌いだが、水面下では権威に対する反感が渦巻いている。ENTJは体制にすり寄るが、INTJは体制を破壊したがる。ENTJは既存の建物をリフォームした方が大きな建物が作れると考えているが、INTJは一から建設しないと気が済まない。INTJがしばしば物語のラスボスとして描かれるのはこうしたテロリスト的な気質によるものだろう。

 もっともINTJが権威を受け入れない訳では無い。INTJは自分が納得できると考えた一流の人間に関しては素直に尊敬していることがほとんどだ。

 しばしば左翼的なアカデミアや共産党では「反権威と言う名の権威」という概念が取り沙汰されるが、最強の知識人たるINTJの特徴が色濃く出ているのだろう。

INFJ・・・一応従っておく

権威を受け入れる ★★★・・
権威を振りかざす ★★・・・

 N型はもとより複雑だが、INFJは輪をかけて複雑だ。INFJの脳内では無数の思索や悩み事が渦巻いており、生きづらさを抱えやすいタイプでもある。そんなINFJだが、権威との関係性は比較的マシだ。

 INFJもかなり自律性は高いのだが、比較的聞き分けが良いタイプでもある。不正義には反抗するが、特に問題がない場合は権威に従うことを選ぶだろう。INTJやENTPのように権威の破壊に興味はない。INFJは優等生的なタイプであり、ENFJと同様に上位者の言うことはある程度受け入れるはずだ。

 INFJは人との関わりは苦手だが、J型ということにあり、「きちんとしなければ」という思いはある。波風を立てない範囲で権威を行使することは問題ないだろう。ENFJほどではないが、人の行いを注意して正すことに意義を感じるタイプであり、NP型のような野放図な振る舞いはしない。

ISFP・・・流され層

権威を受け入れる ★★★・・
権威を振りかざす ★・・・・

 ISFPはおとなしい平和主義者だ。SJ型のように積極的に権威を求めていくタイプではない。一方で権威を批判したがるタイプでもない。ISFPは多くの人間に従う方向に自分もついていけばいいと考えているだろう。ISFPは集団の和を重んじるので、ISTPのように個人主義を貫き通す勇気はない。特に何も考えずに受動的に従っていくだろう。

 ISFPは権威に流される側なので、積極的に行使するのは好きではない。他人への干渉は好きではないし、管理することに関しては苦痛を感じるだろう。ISFPは「相手も自分と同様に適当に従ってくれないかなあ」と考えているはずだ。

ISTP・・・一匹狼

権威を受け入れる ★★・・・
権威を振りかざす ★・・・・

 ISTPはかなり権威との相性は悪い。おそらくS型の中で最も反権威なはずだ。ISTPは根っからの一匹狼であり、他人に干渉するという概念に乏しいからだ。

 ISTPはS型なので、ある程度は現実に順応したがる。ISTPは権威に激しく反抗することはないだろう。しかし、ISTPと権威の関係はそこまでだ。ISTPは他人に関心がなく、1人で好きなことに黙々と取り組むタイプである。TP型はもとから相互不干渉の性質があるが、ISTPは特にその要素が強いだろう。権威を批判する趣味はないが、自分が権威に縛られるのも嫌だ。場の空気に関しても比較的無頓着だ。自由にやらせてくれという所だろう。

 ISTPは権威を振りかざすことにも興味がない。T型なので人との衝突は恐れないが、その程度だろう。人を管理するのも大して好きではない。同好の士とは親しく付き合うが、あくまで任意参加だ。

ENFP・・・天真爛漫な子供

権威を受け入れる ★★・・・
権威を振りかざす ★・・・・

 NP型は権威というよりあらゆる秩序との相性が悪い。NP型は管理するのもされるのも嫌いだ。ENFPはそんなNP型の特徴が特に分かりやすいタイプである。

 ENFPはENTPのように権威に喧嘩を売って回る趣味はない。集団に対する協調性もそこそこある。しかし、ENFPは泉のように新たなアイデアが湧いてくるので、表面上の親しみやすさとは裏腹に、権威に従う傾向は弱い。権威に賛同していながら、数日経ってみると新たなオリジナル要素が加えられ、命じたことが守られていないように見られるだろう。上位者が注意すると、従うどころか「一緒にやろう」と誘ってくるかもしれない。権威に反抗するのではなく、話が噛み合っていないのだ。INTJやESTPから見ると非常に不可解に見える。

 ENFPと組織社会との相性は微妙だ。ENFPは社交的で人懐っこいので、上位者からは好かれやすいだろう。しかし、その様式は階級や年齢の壁を超えたユニバーサルなものだ。上下関係に関する複雑な慣習はENFPにとって無駄な作業にしか思えないだろう。細部を徹底するのはENFPにとって苦痛だし、そもそもどうでもいいことだと思っている。

 ENFPは権威を振りかざすのも苦手だろう。F型なので人との衝突を避ける傾向にあるし、異なった立場の相手との対話を好むからだ。ENFPは必ずと言っていいほど「上下関係の堅苦しさのない組織」を理想とするし、自ら実践したがる。フラットな組織がどこまで機能するかは怪しいが、ENFPはロマンが先行するので、相変わらず権威を遠ざけるだろう。後先考えない辺りはENTPと全く同じである。

INTP・・・いつでもマイペース

権威を受け入れる ★・・・・
権威を振りかざす ★・・・・

 好きの反対は無関心と言われる。INTJは権威に反抗するが、INTPは全く関心がない。人に考えを押し付けられるのも、細かい規則で管理されるのも大嫌いだ。INTPと権威との相性は極めて悪い。

 INTPとISTPは似ている。どちらも一匹狼で、相互不干渉が鉄則だ。自分と興味を共有できる人間と関わりを持ち、それ以外には無反応だ。集団の価値観にほとんど影響されないマイペースな人々であり、T型なので人との衝突を恐れない。「自由にさせてくれ」というのが彼らの本音である。

 しかし、INTPの権威への無関心はISTPよりも遥かに深刻だ。S型は現実ベースで動いているので、S型同士で見ている景色は同じである。この場合、お互いが考えている内容は似通ってくる。権威が見ている景色はISTPが見ている景色とそれほど食い違っておらず、ISTPは無理のない範囲で権威を受け入れることが多い。しかし、INTPは想像の世界で生きており、周囲の人間とはパラレルワールドだ。こうなると、INTPを現実の世界に引き込んで、なおかつ権威を受け入れさせるのは不可能だ。

 INTPは権威を振りかざすのも嫌いだ。とにかく放っておいて欲しいのだ。NP型はアナキスト的な特徴があり、既存の秩序はもちろん、自ら構想した秩序にすら従わないところがある。INTPは人と関わるのが好きではないし、細かい管理も嫌いだ。権威を手に入れたところで面倒が増えたとしか思わないだろう。

ENTP・・・権威の壊し屋

権威を受け入れる ★・・・・
権威を振りかざす ★・・・・

 ENTPは権威の側から見ると、とんでもない人間だ。ENTPは何でもかんでも権威を批判し、後先考えずに論戦を吹っ掛けるからだ。INTPは自分が鑑賞されなければスルーだが、ENTPは権威に喧嘩を売るのがライフワークであり、権威主義との相性は極めて悪い。

 「喧嘩っ早い」人間と聞いて真っ先に浮かぶのはESTPだろう。肩がぶつかると喧嘩を売ったり、中学校で先生の指導に反抗したりする。こうしたESTPの好戦性は行動面だ。これと比べると、ENTPはN型なので、思考回路が遥かに観念論的だ。ENTPの好戦性は言論面で発揮される。ENTPは既存の権威に疑問を持つどころか、それを実際に口に出してアピールすることを好む。

 NP型は権威という概念そのものと相性が悪い。NP型はアナキスト的なところがあり、あらゆる権威に反発する。自分が権威を行使することにすら興味を持てないだろう。これがNJ型との決定的な違いとなっている。例えるならば、NJ型の権力批判が自分が与党になることを念頭に置いているのに対し、NP型の権力批判は常に野党の立場なのだ。

 ENTPとENTJの違いは権威の捉え方に大きな違いをもたらしている。ENTJは権威に従順ではないが、それでも自分が権威を行使する側に回った時を考えている。従って自分の役に立ちそうな権威は受け入れる事が多い。一方でENTPは権威を手に入れた後のことを全く考えていないので、片っ端から権威を批判して回る。ENTJが建物を改築するのを楽しんでいるとすれば、ENTPは建物を壊すのを楽しんでいる。本当にとんでもない奴らなのだ。

INFP・・・究極の反権威

権威を受け入れる ・・・・・
権威を振りかざす ・・・・・

 INTJは権威に反発し、INTPは権威に無関心で、ENFPは権威を理解できない。この3つが合わさった、権威とは最も遠い性格タイプがINFPだ。INFPは権威という概念そのものが嫌悪の対象であり、上下関係も秩序もどこ吹く風だ。

 INFPは権威が受け入れることは稀だ。IN型なので元から自律的なのだが、それに加えてP型の自由人的な要素が加わる。INFPはいつも個人が自由でいられることを理想としており、他人の手によって押し付けられるなど悪夢そのものだ。ENTPのように目立って喧嘩を売ることはないが、うちに秘めている権威への反発はENTPよりも遥かに強いかもしれない。

 INTPやINTJはT型であり、物質的な世界は周囲と共有している。科学的なデータを示せば彼らは納得して受け入れるだろう。ところがINFPは精神世界の住人であり、干渉しようがない。彼らの関心は常に自分の内面に向かっている。権威を押し付けられることはINFPにとって精神世界の庭を荒らされているのと同じだ。

 INFPは権威を行使するのもめっぽう嫌いだ。NP型の常として、他人を管理することが性に合わないし、INFPの場合は人と関わるだけでも消耗してしまう。INTPやENTPは必要とあらば権威を行使するのにやぶさかではないが、INFPは必要に迫られても嫌だろう。INFJのように人を教え諭したいという欲求もない。

 INFPの性質が強い分野が芸術家だ。彼らはこれといった政治主張がないのに反権威を掲げることが多い。INTJやENTPのように対抗する論理があるわけではなく、雰囲気ベースの反権威だ。権威という概念をメタ認知しており、非常に現実遊離的なのが特徴である。

INFPは自らを社会不適合と定義づけるフシがある。これも根深い反権威性の現れだろう。「社会」という既製品のパーツの一部にはならないぞということだ。実際に芸術家は大量生産の既製品を批判しがちだ。ウォーホルのキャンベルスープの絵はその代表例だろう。

 INTJの反権威を哲学で例えるならばマルクスだ。彼は既存の資本主義社会を批判し、取って代わる新たな理想社会を提示した。INFPの反権威を哲学を例えるならばフーコーだ。彼はありとあらゆる社会構造に権力関係を見出し、ただ単純に嫌悪した。それに替わる何かを示している訳では無い。フーコーはそもそも哲学者は常に反体制の側に立つべきだと言っている。ルソーはナポレオンを、マルクスはスターリンを、ニーチェはヒトラーを生んだ。哲学が成功して体制側に回るとロクなことがないとのことだ。

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