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<MBTI比較⑯>ISFJとINFJの違い

 SN軸の異なる性格の比較は今回で最後となる。ISFJとINFJを比較してみよう。両者は共にマジメで人望のある性格タイプだ。総じてトラブルを引き起こすタイプではない。どの環境でもお利口さんとして扱われてきたはずだ。両者は女性に多い性格タイプでもある。ただし男性にも一定数存在する。ENFJやESFJほどの性比ではない。

 ISFJとINFJは見かけが良く似ている。客観的なタイプ判別はかなり難しい。しかし、ISFJとINFJはの内面は大きく違っており、当事者同士はお互いを異質な人間と考えるだろう。

ISFJは受け身、INFJは自律的

 両者の違いを表現するとこうなるだろうか。ISFJはSJ型の例に漏れず、自分の置かれている環境に染まっていく。社会人としては非常に堅実なタイプだろう。村社会への適性はトップクラスである。

 INFJは表面上は協調性が高いので、ISFJと同様に集団では波風を立てることはない。どちらもお利口さんキャラだ。しかし、INFJは内心では強烈な理想を持っており、価値観の押し付けは大嫌いだろう。INFJの特徴は表面と内心のギャップの大きさだ。

 ISTJやISFPにも言えることだが、ISFJは基本的に従属的だ。常に受け身であり、自分から価値観を作り出すタイプではない。これに対してINFJはカリスマとも言われるように、自分自身の中で強固な価値観が形成されている。稀にINFJはこの価値観を積極的に表出する時があり、その場合は独特の宗教家的雰囲気を醸し出すことになる。

ISFJは出し物が少なく、INFJはしばしば強烈な出し物を持っている

 これはISFJとINFJを分ける最大のポイントだろう。ISFJは大抵の環境に適応するし、集団で良しとされている価値観に従属する。したがって常にマジメでいい人として扱われる。ただし、それ以上の出し物はあまり多くない。例えるならば、中学校に必ず存在する内申点の良いタイプである。提出物は必ず出すし、定期テストにも強いが、それ以上の飛び抜けた学問的な関心はない。

 INFJはしばしば何かしらの飛び抜けた出し物を持っていたり、型破りな行動を取ることがある。もちろんENTPのような挑発的な行動ではなく、ある程度社会的に妥当とされる範囲内だが、隅におけないアクションを取ることがある。例えば社会人数年目でどうしてもやりたい夢に挑戦するために異業種に参入していくINFJは何人か知っている。私の友人の1人はコンサル会社を辞めて外科医の道を歩んでいる。難易度は高いが、INFJはコツコツと努力するのが得意なので、どうにか成功させられているようだ。

ISFJは見たまんま、INFJは心のなかに無数の思考が飛び交っている

 両者はどちらもマジメで人望のある性格だ。ただし、ISFJはそれ以上ではない。見るからにいいヤツで、実際にいいヤツなのだ。ISFJは素直で正直であり、堅実な人生を歩むだろう。

 INFJは違う。見かけ上はあまり変わらないのだが、柔和な表情の裏には凄まじい数の思考と葛藤が渦巻いている。INFJはめったに本心を口にしないが、心のなかでは常にモヤモヤと考えているのだ。INFJはどことなく物憂げで、理想を持っているように見える。その雰囲気はしばしば周囲にも伝わることがある。INFJの神秘的な雰囲気はISFJにはあまり存在しない。両者を見分けるポイントである。

 とはいえINFJの見分けは難しい。理想を口にする者も多いが、自分の話を一切しない者もいるからだ。INFPと違ってINFJは子供のころから自己開示が少ない。今から振り返ると彼はINFJだったんだなという同級生は沢山いるが、当時はなかなか気づかないものだ。INFJは何かアクションを起こして初めてそうと分かるケースもある。

ISFJは月並み、INFJは悩みやすい

 ISFJは人に振り回されやすく、比較的ストレスを感じやすい性格だろう。ただし、ISFJは堅実で社会適応能力が高いため、社会には馴染みやすい。このため問題の大半は解消されている。

 この点、INFJはかなり生きづらい性格タイプだ。全タイプの中でも一番か二番だろう。INFJは理想が高く、社交が苦手で、悩みを頭の中で増幅させやすい。それでいながら人に自己開示したり情けない姿を晒すのは嫌いだ。INFPが開き直れるのに対し、INFJは開き直れない。したがってINFJは生きること自体が苦悩となる。仏教の四苦として生老病死というものがあるが、「生」が入っているのはINFJ的かもしれない。

ISFJの交友関係は身近で完結し、INFJは変な方向に広がっていく

 S型とN型の違い全般に言えることだが、ISFJの交友関係は自分の置かれた環境で完結していることが多い。ISFJは堅実なタイプであり、比較的平凡な人生への志向が強い。ISFJはだいたい地元の友達か高校くらいまでに強い交友関係が完結し、大学辺りから人間付き合いは浅くなり、社会人になると職場の人とそこそこ世間話をする感じになる。ISFJにとって重要なのはその環境その環境でなんとか円満にやっていくことだ。

 INFJの人間関係は少し異なる。N型全般に言えることだが、INFJの人間関係は予測不能だ。謎の繋がりが沢山あることが多い。N型の強みは異なる環境の人間と関係を築く力であり、これはINFJにも共通である。

一般職向きのISFJ、あまり向いていないINFJ

 主に女性にフォーカスした議論だが、ISFJは一般職などの誰かをサポートする職種への適性が強い。伝統的なジェンダー観では女性はISFJ的な要素をやたらと求められるようだ。ISFJはこうしたジェンダーロールの世界で生きていくのが得意だろう。

 INFJは逆にこの手の職種に全く向いていない。仕方なく従事している者も多いが、本人の理想とは少し違うだろう。総合職転換したり転職するものが多い。INFJは自分が影響力を振るいたいタイプであり、サポート職の適性は低い。医者や教師などある程度の自律性のある職種を好む印象である。

 ISFJ女性もかなりの高学歴になるとバリキャリとして出世競争に参加するようになるが、ISFJの本来の気質かは微妙だ。どうにも環境に染まっているという要素が大きいように思える。この手の人物は社会に出て数年でキャリアを追求して孤独になっていく自分に対して苦悩するようだ。社会で活躍すること自体を志向するINFJとは少し違った観点である。

まとめ

 S型とN型の違いは見かけにも振る舞いにも大きな影響を与えるが、その中ではISFJとINFJの違いは見分けにくい部類だ。ISFJは普通のお利口さんだが、INFJは独特の思慮深く物憂げな雰囲気が特徴だ。

 どちらも控えめで人望のあるタイプだが、この表現はINFJにより当てはまるだろう。INFJはどこかカリスマ的な雰囲気を持っているのだ。単に性格の良い人にとどまらず、性格の良さを追求していくところがある。この点でISFJは現実的であり、素直に環境の求める要素に従う傾向だ。例えるならば、在籍時はいい人として慕われていたが、退職したら忘れられやすいISFJと、退職後も付いて行きたくなるINFJという感じだろうか。

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