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#157 東洋医学の五臓の豆知識 肝編

私は鍼灸師の資格保有しており、
施術も行っておりますが、
以前よりも東洋医学への注目度が
上がってきているかなと思います。

テレビなどのメディアで取り上げられたり、
漢方薬や鍼、お灸に対して
理解のあるお医者さんが
増えてきていることも一因では
ないかと思います。

コロナ禍を経まして、
世間一般の健康に対する関心は
より一層高まったのではないかと感じます。

健康に関しましては様々な考え方が
存在しますが、
東洋医学における健康とは、
季節やストレス及び生活環境に対しまして
自己治癒力でバランスが取れている、
保たれている状態をいい、
このバランスが崩れた状態を
「未病」といいます。

今回は、東洋医学の人体の考え方の中から
五臓の肝・心・脾・肺・腎を順々に
綴っていきたいと思います。

なお、鍼灸師の勉強で使用しておりました
東洋医学概論の教科書を
参考にしております。

【肝】
①肝は、判断力や計画性などの精神活動を
支配しております。

また、身体の活動を円滑に行わせたり、
休息するように指揮していて
生体の防衛にも係わっています。

肝がしっかりしておりましたら、
内外の変化に素早く対応できるのですが、
不健全ですとイライラしたり、
逆におどおどしたりしてしまいます。

②肝は、血液の貯蔵庫となっており、
身体各部の血液量を活動状況に応じて
調整しております。

夜、寝るために横になりますと、
眠くなり、やがて眠りに就くのは、
多量の血が肝に還流し、
脳にいく血液が少なくなるからであります。

肝の働きが衰えてしまいますと、
この働きが上手くいかなくなり
安眠できなくなってしまいます。

安静時には四肢の血は少なくなって、
肝にしまわれておりますが、
身体が動き出しますと
肝はしまってあった血を
速やかに四肢に程よく分配しています。

この働きが正常でありますと、
四肢の筋肉は力強く運動し、
頭に血が上がりすぎることもなくなります。

反対にこの働きが正常で
なくなってしまいますと、
血の上逆によって、頭痛、めまい、
耳鳴りなどを起こしたり
上部への血の配分が
悪くなってしまいますと、
顔面蒼白、めまい、難聴などが
起こってしまいます。

女性の月経の異常も、肝の病変により
出現することが多いと言われております。

③肝は、血を適切に筋に配分することにより、筋の運動を支配しております。

この場合の筋は、解剖学的に特定の部分を
指すのではなく、筋の運動と支持の機能を
指しております。

肝の働きが正常でありましたら筋の運動機能が良く発揮されることになります。

肝の働きが損なわれますと、
筋が無力になったり、ひきつれて
痛くなったりしてしまいます。
筋の疲労は肝に影響を与えます。

④爪は筋の余りであるとされており、
筋とともに肝の状態を
よく反映しております。

肝の働きが正常でありますと、
爪は弾力があり、艶が良く、
赤味を帯びております。

正常でなくなりますと、
爪の色艶が悪くなり、
ひどい場合は変形したりします。

⑤肝は目を通して外界と交流しているため、肝の状態は、目が物を視るという機能に
反映されます。

肝の働きが正常でありますと、
目はよく物を判別し、
肝の働きが衰えますと、
目が疲れやすくなります。

目を酷使しますと、肝の機能を
損なうもとになってしまいます。

⑥肝は目と通じているため、
肝の働きがしっかりしておりましたら涙は、程よく目を潤してくれます。

肝の働きが悪くなりますと、目が乾いたり、涙が流れすぎるようになってしまいます。

肝は疏泄を主るとあり、
肝には、気(神を含む)や血の流れを
円滑に、かつのびやかにする
働きがあります。

肝気がのびやかであれば、
気も順調にめぐり、精神ものびやかで、
葛藤もなく、胆汁の分泌もよく、
脾胃の消化も助けることになります。

疏泄の働きが悪くなると、気が滞り、
精神抑うつ、イライラして怒りっぽいなどの症状を呈し、脾胃の病となってしまいます。

「五臓」は、西洋医学で考える臓器と同じ役割ではありません。

肝は、のびのびと気を巡らせるのを喜び、
抑圧を嫌う五臓であります。

肝が失調すると、自律神経が失調したり、
イライラしたり、貧血になったりと、
多くの不調を引き起こします。

肝に異常が出やすい方は、
休むことが苦手で常に動いている
頑張り屋さんの印象があったりします。

広々とした場所で、のんびり過ごすことが
肝を癒すうえで大切だったりしますので、
たまには温泉でのんびり過ごすなど、
日常から離れてみることをオススメします。