#185 原穴というツボとは? 【太渓、京骨編】
私は鍼灸師としても活動しておりますが、
東洋医学の中では、未病という考え方
がございます。
未病とは、まだ病気にはなっていないものの、
健康な状態から離れつつある状態を指します。
未病という言葉は、代表的には約2500年前の古医書であります黄帝内経というものに出てきます。
また、約1400年前の千金要方というもの
にも載っております。
それ以外にも載っている医書が
数多く存在しています。
これらの中では、古代の医者は医術が
高ければ高いほど未病を大切にし、
病になる前の段階で予防治療をすることができる
医者が高名であると言われておりました。
未病の段階で治療していくことを
未病治療と言ったりしますが、
未病治療とは、身体の状態を観察して、
患者さんのバランスを見極め、
「いまはこの状態でこの症状だが、
やがてはこんな症状も出るだろう」と予測し、
先回りしてアプローチをする治療と
いうこともできます。
その中で、経穴(ツボ)を行っていく場合、
仮に病の原因である臓腑に
焦点を置くのでありましたら、
臓腑の病に用いるツボに要穴というものがあり、
その中でも代表格のツボを原穴と呼んでおります。
原穴とは、東洋医学において、
臓腑の原気(各臓腑特有の気)が巡り、
とどまる部位を指す経穴(ツボ)の
ことをいいます。
各経脈の中で最も重要なツボとされておりまして、原穴の反応から臓腑の状態が分かったり、
臓腑機能の調整をすることも
できるとされています。
原穴は全部で12穴あり、そのほとんどは
手首回りや足首回りに存在しております。
これから、原穴の12穴を2穴ずつに分けまして
紹介していきたいと思います。
⑨足の少陰腎経:太渓
⑩足の太陽膀胱経:京骨
⑨足の少陰腎経:太渓
太渓の位置としましては
【足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の
陥凹部】
となります。
ご自身で探していただく際は
内くるぶしの出っぱりとアキレス腱の間の真ん中のくぼんでいる部分がツボになります。
ツボ押しのコツですが、ツボに人さし指をあて、
アキレス腱に引っかけるイメージで、
ほどよい刺激を感じる程度の強さで、
ゆっくり押してゆっくり離すを
繰り返してみてください。
太渓を刺激することによる効能としましては
・下半身の血行改善やむくみの改善
・全身の冷えの改善
・腎臓への血流(気)の流れを向上して不調を
改善する
・風邪を引いたときに清熱、行気、解表、補衛気などの作用がある
・顔面部の症状で、浮腫み、ドライアイ、シミ、美肌効果、免疫力向上、目の痛みなどに使用されることがある
・アンチエイジング効果
・加齢に伴う疲労感や足腰の衰えの改善
・難聴や耳鳴りの改善
・もの忘れの改善
・尿の問題の改善
などがあったりします。
東洋医学では、年齢を重ねることによる
身体の衰えを腎の弱りとして考えています。
また人間の生命力とも密接に関係すると
考えられています。
太渓は腎と関係するツボの代表で、
太渓を刺激することによって、
腎(生命力)を強め、加齢に伴う色々な症状に
対応することができると言われております。
⑩足の太陽膀胱経:京骨
京骨の位置としましては
【足外側、第5中足骨粗面の遠位、赤白肉際】
となります。
ご自身で探していただく際は
足の外側の縁を小指に向かって滑らせたときに
突き当たる高く隆起した骨の指先側のくぼみが
ツボになります。
京骨を刺激することによる効能としましては
・後頭部の筋肉の緊張を緩和する
・老眼様症状の改善
・膀胱疾患の改善
・頭痛の改善
・腰痛の改善
・結膜炎の改善
・めまいの改善
・肩こりの改善
・痛風の改善
・内反小趾の改善
などがあったりします。
京骨は、後頭部の筋肉の緊張を緩和するのに
特に効果を発揮すると言われております。
また、足の太陽膀胱経は背部、腰部、下腿後面など身体の後ろ側に広く配穴されているので、
膀胱経における症状が出た時や背部に異常があった時にも対応するツボとなっております。
ツボはピンポイントに思われがちですが、
500円玉ぐらいまでの大きさの範囲があるとも
言われておりますので、触っていただきながら
痛気持ちいいところを探していただければ
と思います。
ツボ押しの「コツ」は少し強めに押すことです。(強刺激には要注意)
5秒くらい押したら5秒離すを1セットとして、
3~5回を目安に繰り返してみてください。
継続して行っていきますと、段々と痛みや
コリコリしたものが薄れていきます。
原穴を刺激して、より良い日々をお過ごし
いただけますと幸いです。