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パズルフィットアドベンチャー:『Understand』プレー感想回想記

 ミニマルな一筆書きパズルでありながらそのバリエーションとボリュームがとんでもない怪物パズルゲー『Understand』。2021年の1月にプレーして、ちょうどその時期に登場した追加ステージも含めて、当時「完全に理解(=全クリ)」したので、その頃を理解を手繰り寄せながら感想回想記という形で記したいと思います。


『Understand』とは

 『Understand』とは、端的にいうと条件推測系の一筆書きパズルゲームです。Steamでは以下のように説明がされています。

Understandは全てのレベルが異なるクリア条件を持っている
実験的なパズルゲームです.

プレイヤーがクリア条件を満たしたとき
操作画面下部に表示される記号が変化します
プレイヤーは試行錯誤しながら、記号が変化する条件を推測し
全てのクリア条件を満たす線を引く必要があります.

特徴
100以上のレベルが異なるクリア条件持っています
言語に依存しないゲームプレイを楽しめます
いくつかの”頭を柔らかくして考えるべき問題”がプレイヤーを待っています
シンプルなユーザインタフェース
誰も見たことのないパズルジャンル

https://store.steampowered.com/app/1299400/Understand/

 ゲームの基本進行は、数個から十数個の一連のパズル(=レベル)に付与されている明示されていないクリア条件を試行錯誤しながら推測し、そのレベルの全てのパズルのクリア条件を同時に満たすような経路をそれぞれ引くことができたらそのレベルはクリア、これを繰り返していくものとなっています。パズルの基本ルールは一筆書きパズルなのですが、説明の通り、本当に100以上のレベルでクリア条件が異なっているパズルゲームです。このとんでもないバリエーションのクリア条件の推測難易度もバリエーション様々で、難しいものはしっかりと歯応えのある難しさとなっています。
 パズルに自信のある人はどのくらいで解き切れるのかチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

同じクリア条件のパズルがセットになったものがレベル。
複数のレベルがセットになったものがチャプター。
レベル間でクリア条件は異なるが、同じチャプターのレベルには似たような考え方のクリア条件が用意されている。
パズル下部の丸はそのパズルが満たすべきクリア条件の数及び条件クリアの成否。
各レベルの最終問題は、条件クリアの成否が個別の条件ごとには確認できなくなる。
レベルをクリアすると新たなレベルが選択可能になる。
数字の順に必ずしも解放されるわけではない。

 ちなみに、このパズルのシステムを見て、同じく一筆書きパズルゲーの怪作『The Witness』と似ていると思ったり、100以上もの異なるクリア条件のあるパズルゲーといえばインディーパズルの傑作『baba is you』を思い浮かべたりする人も居るかと思います。実際、作者もこのゲームは『The Witness』にインスパイアされたと明言されていますし、『baba is you』に強く影響を受けていることも作者から見て取れます。これらの作品を知っている人なら、これらの作品に影響を受けた人が作ったパズルゲーにどういう面白さがあるのかなんとなく分かるのではないのでしょうか。

同じ盤面のように見えるがレベルが異なるのでそれぞれ違う解き方を要求される


プレーするきっかけの話

 このゲームをプレーするきっかけはとても単純なことでした。1月に『The Witness』をクリアしたという話をしたら、友人に「『The Witness』のパズルのルールを考える部分だけを抽出したものあるけどどう?」という旨の話を振られたのがきっかけでした。個人的に『The Witness』をやってみて、特にパズルを発見することよりも見つけたパズルで悩まされる方が好きだと感じていたので、まさに丁度いい作品ということで『Understand』にチャレンジしてみることにしました。

▽ きっかけのきっかけとなった『The Witness』の感想回想記


その正体は一体?:クリアするまでのあれやこれや

 さて『Understand』にいざ挑戦。パズルにはある程度の自信もあって『The Witness』も完走したすぐ後ということで「まぁサクサクいけるだろう」と思っていたのですが、その思いは割と序盤に怪しくなっていくのでした。

 序盤のおよそのレベルはサクサクいけたのですが、チャプター3くらいまでの最序盤チャプターでも、中には「ん?」としばらく考えたり試行錯誤したりするものが登場していました。なにせこのクリア条件のバリエーションの量なので、ひたすらに条件の候補を自分の持っている引き出しから探し出す必要があります。そして用意されているパズルも、レベル途中までは違うクリア条件と勘違いしていても進められる場合もあります。
 こういったときの「予想していたクリア条件が途中で噛み合わなくなった時の叩きのめされ感」がパズルプレイヤーにとってはたまらないですね。レベルをこなしていったときの「完全に理解した」という感覚から、即座に「なんも分からん」という状態に落とされて試行錯誤してまた「理解」する。この反復横跳びがなんとも面白いです。実際のところ、一筆書きパズルという特性上、各パズルで全パターン試して無理やり条件をあぶり出すというのが割と現実的な緊急手段として存在するおかげで「叩きのめされたけどクリアにはいつか手が届く感」があるというのが、詰まっても立ち向かえるモチベにもなっていました。

 そんな気持ちがあったとしても、中盤を進めていくと1時間考えても分からないようなレベルに出会うことがありました。様々な経路を試し、条件クリアしているパズルと睨めっこし、同じチャプターの他の問題と見比べたりするなど色々しましたが、しっかり分からない時はドツボにはまって抜け出せないことが多々ありました。ただ、運が良いことに、これらのレベルは一晩寝かせた翌日に案外パッと解けることが多かったです。睡眠は偉大。

当時の各レベルの推察したクリア条件についてメモしたもの。
考え方の類似点などを探すために使っていた。
ただこれよりも睡眠が良く役立っていた。

 そして終盤チャプターは、すんなりとはいかないようなレベルのオンパレードとなっています。しっかりした歯応えのあるレベル群ですが、これまで経験した数十ものレベルが糧となって解けた時はなんとも気分がいいものでした。こういったものが続けば良いのですが、結局のところ、試行錯誤をしている中で条件を看破する前にレベルクリアとなってしまうこともままありました。全部クリアしたことになった今でもよく分かっていないままのレベル(特に白いチャプター)が残ってはいますが、完全に理解したことになったのでまぁいいでしょう。
 なんだかんだありましたが、このすごい分量のパズルを(前提知識が必要なパズルのとある1つ以外)全て自力で解き切ったのは結構自信になりました。正体不明の条件を様々な周辺情報から看破するというのを、一気にこれだけやったのは、経験としても力になったのだと思います。もしかすると、このゲーム『Understand』そのものの正体は、パズルプレイヤー向けの良質なドリルなのかもしれませんね。


おわりに

 見る目の確かな友人のオススメによりプレーすることとなった怪物パズルゲーム『Understand』。一筆書きパズルという同じ基本ルールでありながら、100を優に超える異なるクリア条件に己のパズル力・発想力を試されるトレーニングとしても楽しいゲームでした。
 言語依存もなく目の前の情報で解くことの出来るパズル集でもあるので、パズル初心者にもオススメできる作品ですし、全クリ目指すとなるとかなり歯応えのあるものでもあるのでパズル好きにもオススメできる作品となっています。是非とも『Understand』チャレンジしてみてはいかがでしょうか。






おまけ:重大なネタバレの話


この先パズルの詳細な解き方の話を行います
パズルとしては致命的なネタバレとなりますのでご注意してください


○ パズルを解くときの思考プロセス

 この『Understand』のパズルを解くときの自身の思考プロセスを軽く振り返りたいと思います。

 まず、クリア条件についてですが、およそこの手のゲームでの条件となりうる形は「どんな条件を満たしているか」となるのが基本です。さらに、一筆書きパズルなので、この「」にあたるものの候補になりそうなのは、主に次の4つだと考えました。

  • 始点:スタートマスに関する条件

  • 終点:ゴールマスに関する条件

  • 経路:一筆書きで通るマスの順序や通り方に特徴付けられる条件
    (条件例: 特定の順番で記号を通る、特定の記号でのみ道を曲がることができる、特定の方向でのみ特定の場所を進むことができる、など)

  • 領域:順序関係なく通ったマス、通っていないマスに特徴付けられる条件
    (条件例: 全てのマスを通る、通ったマスと通っていないマスの数を同じにする、通ったマスを特定の形にする、など)

 経路と領域はどちらに分けるか微妙な条件(例: 指定の記号を通る)もあるのですが、この分類をそこまで厳密にするものでもない(クリア条件がわかればいい)ので、とりあえずこの4つということにしておきます。

 レベル開始時点では、「どんな」にあたる条件はレベルにより様々なので、まずは「」の部分を特定することから始めていました。
 レベル最初の方のパズルでは、まず1マスだけ選択して条件がつくかどうかをほぼ全マスに対して行い、条件が満たされるかどうかをチェックしていました。
 もしこの条件が満たされるものがある場合は、始点または終点の条件がある可能性が高いので、今度は始点または終点を固定した違う経路を引いて条件の成否に差が出るかをチェックしていました。そうして始点または終点の条件をあぶり出すようにしてきました。
 一方、1マスチェックで条件が満たされるものがない場合は、始点または終点の条件がない可能性が高い(「始点と終点を異なる記号にする」というような複合での条件が存在する可能性は残る)と考えるようにして、経路・領域の方へ進めていました。
 そして、「」の部分が経路・領域のどちらかになりそうだとなったら、レベル序盤のパズルで徹底的に様々なパターンを試してその経路・領域の条件をあぶり出すようにしていました。特に、条件を満たす経路が見つかった場合、「同じ領域となる違う経路を通って条件が満たせるか」というのをチェックしていました。これが満たせない場合は間違いなく経路に関する条件だとわかるからです。

 このようにして条件の「何が」の部分をある程度絞ることによって、条件探しをやりやすいようにしていました。

 流石に条件の「どんな」の部分はパズルをよく見ないといけないので、しっかりと観察して何が条件になっているのかを自身の引き出しを頼りに推測していきました。ここはシンプルに正攻法です。

 また、『Understand』の同じチャプターではクリア条件の共通テーマとなるものが設定されています(クリア条件そのものは異なりますがそこに求められる考え方のテーマがある)。それを看破できるとクリア条件探しが楽になっていきます。このテーマは、レベルセレクトでの各チャプターのマークがヒントになっています。
 逆にこれを勘違いしていると大変なことが起こったりします。自分はチャプター4の4-1を解いた時に、チャプター4のテーマはその後現れるチャプター6のものと勘違いしたせいで、4-2で大苦戦することになりました。

 さてここまで色々クリア条件を絞って周辺情報からヒントを得てとやってきても、まだ分からない場合もありました。ここまできたら、もうやることは一つ、全通りです。
 ある程度領域が小さいものであれば一筆書き経路を全通り試すのは現実的な範囲です。また、いくつかの条件が絞れている段階であれば、そこそこの広さであっても、既に判明済みの条件を満たす経路全通りを試すことができます。特に、不明な条件が領域の条件の可能性が高い場合は、経路の条件の可能性が高い場合と比較して、相当パターン数が減ります。ですので、無理矢理全通りで突破して条件をあぶり出すための情報を得るということをしていました。その結果、条件不明のままクリアできたところが出てきちゃったのですがクリアできたので良しとしていました。

 おおよそこのような思考プロセスでパズルの山に対峙していました。


□ 本当に深刻なネタバレ、あるいは最後に見るもの

 全てのレベルのクリア条件をまとめて公開した人がいます。それの日本語訳が下記にありますので、パズルがどうしても解けない場合やパズルを解き切った後の答え合わせにどうぞ。


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