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見えない道を追い求めて:『The Witness』プレー感想回想記

 『The Witness』クリアしました。ルールはシンプルなのに奥が深く多様な考え方を求められるパズルゲームで、「気がついたらもうこんな時間?」なハマり方をしました。そんな『The Witness』についてプレー当時を振り返りながら感想も交えつつ書いていきたいと思います。......といってもクリアしたの自体はお正月の頃で、その頃からは時間も空いていますが、せっかくなので当時を振り返る回想記として記しておきます。
(プレーしたのがSteam版だったので、このnoteはSteam版での情報に準拠しています。)

『The Witness』とは

 『The Witness』とは、端的に言うとオープンワールドパズルゲームです。Steam版のストアページでは以下のように説明されています。

 The Witness は、探検できる場所が縦横無尽に散りばめられた、500以上ものパズルを有するオープン ワールドのシングル プレイ ゲームです。知性に富んだプレイヤーの皆様にお応えするため、貴重な時間を無駄にしないよう設計しましたので、穴埋め的な要素は一切ありません。ひとつひとつのパズルがプレイヤーに新しいひらめきをもたらし、世界全体の理解を促します。これは、ひらめきとアイディアが詰め込まれたゲームなのです。

https://store.steampowered.com/app/210970/The_Witness/

 説明の通り、舞台となる島には物凄い量のパズルが至る所に散りばめられています。また、そのパズル自体も仕掛けや解き方は全体で一貫していながらも多種多様な形でプレーヤーを待ち受けています。「オープンワールドの世界を旅していると様々なパズルに出会い頭を捻ることになる」そんな探索しがいのある解きごたえ抜群なゲームです。

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 パズルの難易度自体は、ゲームクリアに相当する実績(Endgame)を達成する分には、「歯応えはあるものの解けないことはない」くらいなので、パズルや謎解きに興味ある方・腕に覚えのある方は、この先のネタバレに触れる前に、まずはご自身で『The Witness』の世界に挑んでみてはいかがでしょうか
 ちなみに、投稿時点(2021/12/13)でのSteam版のEndgame達成者割合は18.4%です。


プレーするきっかけの話

 そもそも『The Witness』は2016年リリースの作品と、プレーした2021年から数えれば5年ほど前の作品です。自分自身プレーする以前の2020年までは、「評判は良いらしい」「パズルゲーでオープンワールドやってるらしい」くらいの認識ではいたのですが、正直なところ特段やってみたいという気持ちは無く、ずっとスルーしてきていました。そんなくらいだった気持ちが大きく変わったのは、2021年に入って数時間経った頃でした。

 例年より落ち着いた家族との年越しの後片付けも終わり、discordで何かやってる友人たちに新年の挨拶でも、と通話部屋に入ったのがことの始まりでした。色々とおしゃべりする中で、ある友人が『The Witness』をプレーするところをみんなで一緒に考えながら見守ることになったのです。そしてその時に解いていたパズル群が、たまたまパズル好きの自分の心をくすぐるようなタイプの問題で、さらに解くために立てた仮説が次々に誤りだと気付かされるような問題だったのです。「これはこうなんじゃないか」と友人と予想しながらパズルを解いても、その次にはそれまでの予想では説明できないパズルが登場するというのは非常に盛り上がり楽しいものでした。

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 この体験のおかげで、「こんな面白いゲームなら自分でやってみてもいいかも」と思うようになり、たまたまその時やっていたセールの後押しもあって、2021年のお正月を『The Witness』で溶かすことに決めたのでした。


未知に導かれるままに: ゴールに辿り着くまでの話

 さて、『The Witness』の世界での冒険が始まるのですが、冒険者に対してこの世界は特に何も説明をしてくれません。パズルの解き方はもちろん、この世界で何を成すべきか、どこに向かえば良いのか、一切語られません。なので、パズルの解き方やゲームの進め方については、そこにあるものから自力で推察する必要があります。そして、このプレイヤーに推察させるためのレベルデザインやマップデザインがなかなかに秀逸です。これらの良いと思うところについて、パズルの解き方及びゲームの進め方の簡単な解説を交えながら見ていきましょう。
(注意: この先ゲームシステムに関する説明を行いますが、あくまでこちらで推察した内容ということにご留意ください。)


・パズルの解き方についての話

 まず、このゲームで解くことになるパズルは全て「スタートからゴールまで指定された条件をクリアした上で一筆で線を繋ぐ」というものです。ゲーム中ではこのようなはっきりとした説明はされませんが、パズルに向かうと円形の部分と丸みのある末端部分が強調されたり、条件をクリアできていない場合その部分が強調されたりするなど、それとなくは示してくれます。この「具体的な説明はしないがそれとなく示す」という塩梅がちょうど良く、何も言われなくとも意図を汲みやすいようデザインされています。
 特に初期エリアでは、スタート地点の2問があるおかげで、パズルの基本的なルールとパズルを解くことによって先に進めるということを、一度にそれとなく示してから最初のエリアに挑む形になっているというところに、丁寧で親切なレベルデザインを感じられます。またゲーム演出としても、この2問のある暗い1本道のトンネルを抜けると、様々に動くことのできる色鮮やかな場所に出るというのも、定番ではありますが、解放感を与えるよう丁寧にデザインされているように思えます。

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・ゲームの進め方についての話

 次に、このゲームの主なゴール(Endgame実績達成)までの進め方ですが、「舞台となる島に配置されているレーザーを一定数起動し、開放される最終エリアを攻略する」というものになっています。島自体は10数のエリアに分割されており、多くのエリアにはレーザーが1つ用意されています(レーザーが無いエリアもあります)。レーザーはそのエリアのパズルを順々にクリアすることによって起動することができます。まとめると、各エリアでパズルを順番にクリアしてレーザーを起動というのを一定数行い、その後開放される最終エリアを攻略するという流れになっています。

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 まず、この各エリアでのパズルのレベルデザインがめちゃくちゃ良いです。多くのエリアでは、一筆書きパズルに加えて新たなギミックが用意されているのですが、「そのギミックによってパズルをどう解けば良いか」というギミックの本質に徐々に迫れるような説明が丁寧になされていきます。何も言ってないけど。

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 ギミックは大きく2種類に分けられ、一筆書きするパズルの「盤面に配置されている記号類が表す条件」と「盤外の環境を利用するもの」に分けられます。どちらも多くのエリアで、初めは簡単なものから徐々に難しくなっていくようになっており、難易度の急な飛躍はなく、一歩ずつ難しくなっていくことが感じられるようなレベルデザインがなされています。

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 特に「盤面の記号」についてのエリアのレベルデザインは素晴らしく丁寧です。これらのタイプのエリアの多くでは、まず一筆書きのできる道が数パターンしかない小さなサイズの問題からスタートし、そこから少しだけ変化した問題へと繋がっていきます。その変化もわずかずつではありますが、「それまでの問題で立てた仮説が誤っていれば解けなくなることもある」という程度には変化が存在するので、そのわずかな変化によって仮説をどう修正していくのか考えさせられることになります。この修正が行いやすいようにも問題は設計されており、これを繰り返してその記号が表す条件の本質に迫りやすいようになっています。そして記号の意味を理解した頃には、純粋に一筆書きパズルが難しい問題が待ち受けていていますが、記号の意味がある程度分かっているので条件を満たす経路を探すことに集中ができるようになっています。

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 また、各エリアでのパズルを解く順番の誘導も良い塩梅でなされています。オープンワールドパズルゲームとはいえど、各エリアには「順路」が存在します。ここでも何も言わずそれとなく示すという姿勢は健在です。多くのパズル群は画面が連結されていたりケーブルが繋がっていたりするので、それらを辿ることで順路通り進むことができます。また、次のパズルが自然と視界に入るポジションに置かれていたり、自然に道を進むことで次のパズルに出くわすように置かれていたりします。なので、多くのエリアを攻略する際にはいつの間にか順路に従っていることになるのです。

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 一方で、各エリアをどう回るかについては、こちらはオープンワールドゲームらしくはっきりとした順路はありません。一応、最終エリア含め一部エリアには「別エリアの攻略がトリガーとなって入れるようになる」という入場制限があり、このようなエリアは後から攻略することになるというざっくりとした順番の前後関係は存在します。が、パズルゲームらしく「複数エリアのギミックが混合するパズルが存在する」ということによる入場制限があるエリアが存在し、これらのエリアは「パズルが解けてしまえば」進行することが可能です。
 
探索ゲーム的に言えば、本来は「ギミックを理解した」というアイテムをそれぞれ入手することで進行可能なエリアを、それらを揃えていなくても無理やり進行できるのです。この仕組みは、順路以外を探したくなるタイプのゲーマーの心を上手くくすぐってきます。
 「ここは後で来るところ」と扉がされているところが、頑張ったら侵入できるというのなら、そりゃ開けますよね。私は開けました。
 
開けたはいいものの、その時では侵入したエリアの問題が全然解けなくて結局後回しにしました。パズルの盤面を通る解答の候補となる経路の数自体は所詮有限なので、侵入したエリア最初の扉のように「頑張れば」無理やり進めることもできますが、流石にそれは諦めました。この流れも含めて「オープンワールドパズルゲーム」なんだと思います。

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 そして、様々なエリアを探訪しレーザーを一定数起動させれば、いよいよ最終エリアへと向かうことになります。ちなみに、最終エリア挑戦に必要なレーザーが一定数で良いというのは、ゲームクリア後に攻略を見るまで知りませんでした。なぜなら最終エリア挑戦前に全てのレーザーを起動しちゃう位にはマップデザインが各エリアを巡りたくなるようになっているからなのです。多くのエリアでは、問題群の区切りやレーザー起動のタイミングなどで他のエリアが視界に入るようになっています。なので、一度エリアに区切りがついてもまた直ぐに別のエリアに興味がそそられ、いつの間にか全レーザーが起動済みになってしまうのです。また、このゲームが「オープンワールドパズルゲーム」だというのも上手く作用していて、各エリアで多くのパズルと対峙し、謎→解く→謎→解くのループをこなしたところに謎の物が視界に登場したら、ループの勢いのままその謎を晴らしに行きたくなりやすくなっているんだと思います。10回クイズみたいな感じで。

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 そうした各エリアの誘惑を振り切るか全てのエリアを攻略するかした冒険者は、それまでの集大成となる問題群が待ち受ける最終エリアに挑み、それらを解ききることができれば晴れてゴールとなります。最終エリアは問題もステージオブジェクトも面白いので、是非ともここに挑戦しそれらを堪能して見てください。あと、ゴールは見たら分かるのでゴールする直前にセーブをすることをオススメします。セーブデータには、その時点までに解いたパズルの数などが表示されているので、それまでの積み重ねを見ることができます。こういう足跡を感じ取れるものがあるのはありがたいですね。そしてゴール地点のパズルを解けばEndgame実績達成です。お疲れ様でした。

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・ゲームの世界観についての話

 ところで、ゲームをクリアする程度にこの世界を歩き回った方は感じるかもしれませんが、この島うすら気味悪くないですか?何とも言えない「何もないのに何かある」感、もとい「いろいろあるのに何もない」感。この不気味さについてもたまたまではなく狙って作られたものなんじゃないかと思います。

 まず、この島には確かに人の居たような痕跡は至る所にあるのですが、その肝心の人が居ないのです。正確には、生身の人が見当たらないのです。人の形をしたもの自体は島の様々な場所で見かけることができますが、それらはどれも何かをしているところを一時停止したかのような意味深なポーズで固定された石像なのです。島を探索している際に生身の人間には全く出会わないのに不意にこういうものに出会うのは正直怖いです。
 また先にも挙げた通り、人の居たような痕跡は確かにあるのです。家や遺跡、港に研究所と様々な建造物が存在するだけでなく、そこには様々な小物が置かれていたり、なぜか崩れているところがあったりと細かくオブジェクトが配置されているので、石像の様子も合わせて、この島には一体何があったのだろうかと考えさせられるような細かい要素が散りばめられています
 「何かが存在して、それの秘められた背景を考える」というのはパズルに通ずるところがあるので、こういったものたちも意図するところがあるんだろうなとも思います。が、これらのものにはパズルのような正誤を示すものはありません。果たして本当に意図するところがあるのでしょうか?

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 演出としても、島の景色は色とりどりでカラフル(地下のような暗い場所は除く)なのですが、音楽に関してはほとんど環境音のみと、その演出のギャップが不気味さに拍車をかけています。環境音は場所に合わせて変化するなど丁寧に用意されていますが、あくまで環境音は環境音。自由に探索できる島で環境音のみとなると、孤立感が際立っているように思えます。
 そして、孤立に不安を感じるようになってきたら人は何か反応を得られるものを欲することになるでしょう。そしてこの島に残された反応を得られる主なものはパズルぐらいしかありません。何かこちらから触ったりしてフィードバックを得られるものは、主にパズルとオーディオログの2種類ぐらいしかなく、オーディオログの方はパズルと比べたら数は少なくちゃんと探さないとなかなか見つからないところに置かれているので、手軽に反応を得られる相手は実質パズルしかいません。なので結局のところ何かをしようとすると、パズルに向き合うしかなくなるのです。一方で、この島には扉やエレベーターなど動作させられるオブジェクト自体はいろいろあるのですが、それらを動かす方法もパズルになっています。パズルぐらいしかない島ですが、うまくパズルが島全体に溶け込んでいて、パズルに向き合わざるを得ないということにそこまで違和感がないようになっています。ちなみに、オーディオログはボタンを押すと詩だったり哲学書だったりの朗読が始まります。

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 薄気味悪い世界観の中、愉快な音楽も人々の喧騒も何もないまま、ただそこにあるパズルにひたすら向かう。このパズルへ意識を向けざるを得ないような誘導の演出は上手いと思います。またパズルから意識を離しても、「目の前にあるものは一体何なのか」という哲学チックな話に意識が持っていかれてしまいます。この考えることにストイックな世界観のために、不気味さが一役買っているのではないのでしょうか。

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未知のその先に: ゴールのその先の話

 ゴールにたどり着いて一段落した『The Witness』ですが、まだこれだけでは終わりません。まだまだこの先にも面白いものが待っていたのでした。ゴールに向かう以外で『The Witness』の世界に何があったのかについても振り返りながら紹介していきましょう。


・全レーザー起動のご褒美部屋

 全てのレーザーを起動して所定の手順(もちろんパズル)を踏むと、ゴール近くにある隠し扉を開いて奥に進むことができるようになります。前述の通り全部のレーザーを起動してからゴールに向かったのですが、初見でゴールよりも先に気付かずこの部屋に侵入してしまう程度に所定の手順自体はわかりやすいので、ゴールに辿り着いた方はまずはこの部屋に到達してみてはいかがでしょうか。
 さて、このご褒美部屋には一体何があるのでしょうか?

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 そうです。パズルです。パズルがたくさんあります。それもちょっと難しいものが。高低差のある大きな空間の中には至る所にパズルが用意されています。思う存分パズルを楽しみましょう。一部ショトカの扉も用意されています。親切ですね。開けておきましょう。もちろんパズルを解かないと開きません。

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 そして、このパズルの島を巡って開かれたパズル部屋でも飽きたらぬ人はさらに奥にもう1エリアあることに気がつくことになるでしょう。


・Challengeエリア

 全レーザー起動でのご褒美部屋のその先には、「Challenge」という実績達成のための挑戦エリアが用意されています。このエリアは、それまでのとは趣向が異なり、制限時間あり&ランダム出題となっています。これがめちゃくちゃ難しいですが楽しいです。
 このエリアではまず、何も起動されていないセクションを通り抜けて進むことになります。そして、エリア最奥にある装置を起動すると曲が流れ始めるのに合わせて各セクションが起動し、曲が終わるまでにエリアを先ほどとは逆に移動しながらパズルを順に解いていくことになります。制限時間はおよそ6分半、パズルの数は14でパズルの中身は毎回変わります。エリアは6つのセクションに分けられ、その各ブロックで出題されるパズルのギミックは固定になっています。制限時間内に14のパズルを解き切ったらチャレンジクリアです。解ききれなかったらエリアのパズルがリセットされ再チャレンジになります。ポーズでもエリアのパズルをリセットできるので、詰まってやり直したい場合には活用しましょう。

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 このChallengeエリアの難易度は、それまで要求されなかったタイトな制限時間によりこれまでのエリアと比べて別の方向に難しくなっています。またパズル自体の難易度やマップデザインの妙もあり、エリアクリアの難易度は、全体のバランスとして見ても、他のエリアよりも難しいものとなっています。
 ちなみにこの難しさは数字にも現れており、投稿時点(2021/12/13)でのChallenge実績達成者割合は、4.6%となっています。自分もChallenge達成まで数十回のトライをするくらいには苦労したので、それぞれのパズルの自分なりの解き方について、このエリアの解説感想に併せて説明したいと思います。これがChallenge実績達成の一助になれば幸いです。

 それぞれのセクションについて順に見ていきましょう。
 最初のセクションでは3つのシンプルなパズルが順に出題されます。ここはスッと解いていきましょう。
 ケーブルを辿り、2つ目のセクションでは物理的サイズがやや大きめなパズルが1つ出題されます。ここでは、パズルを単に解くだけではなく一つ気づくべきことがあります。ここで出題されるパズルの縦横の筋の数をよく数えると、5つ目のセクションの部屋の縦横の道の数と同じになっています。そうです。このパズルは5つ目のセクションの部屋のマップになっているのです。5つ目のセクションでこのパズルの情報を用いるので、解きながら覚えるなりしましょう。自分はプレーしてるPCでスクショしてその画像を開いたらゲームがポーズ画面になってChallenge終了になりました(1敗)。しばらく暗記でもやって見てたのですが、結局スマホで画面撮影が一番楽でした。

 さらにケーブルを辿り、3つ目のセクションに辿り着きます。ここでは4つのパズルが出題されます。パズルの内容自体はここまで来れる人には問題ないでしょう。しかし、パズルの配置が問題となっています。ここで出題される4つのパズルの出題順はランダムとなっており、どのパズルを次に解くべきかを素早く把握するのがクリアの大切な要素となっています。なので、4つのパズルの設置場所をまとめて確認して次に解くべきパズルへと向かいたいところなのですが、残念なことに4つ全てのパズルを同時に観測できる場所が存在しません。つまり、このセクションでは、特に1つ目のパズルに向かう際に、山を張って移動を行う必要がある場合が出てきます。この移動に成功するかしないかでパズルに掛けられる時間が変わってくるので、向かった先のパズルが次に解くべきパズルであることを祈りましょう。
 4つのパズルの確認手順は自分なりに決めておくと余計なことを考えなくて良くなるので少しは楽にパズルに取り組めるでしょう。自分は、まずセクション入り口から中央の2つを確認し、点灯していなければ右裏手のものを確認しに行くルート取りをしていました。その後、パズルを1つ解いたら中央2つが見えるポジションに行き、中央>右裏手>左奥の優先度で確認していました。このルート選びは、中央・右裏・中央・左奥の順になったときの移動が素早くできるので、良い配置を引いたチャンスのときの移動時間を短縮させチャンスを有効活用できるようになっています。逆に左奥から開始されるとロスが結構あるのでパズルの早解きを頑張る必要が出てきてしまいます。こればっかりはお祈り要素なので日頃から徳を積んでおきましょう。

 さて、次の4つ目のセクションが一つの山場です。ここでは、3問が1セットになったパズルが2セット出題されます。このセットになったパズルでは、各セットで3問中2問が解なしのフェイク問題となっているので、唯一解ける問題を探し出しその問題を解かなければなりません。これがなかなか大変で、今目の前で苦戦している問題が、解があるのに分からないのかそもそも解がないのか、どちらも状況としてありうるので運が悪いとかなり時間を使わされることになります。フェイクありの出題は面白くて好きなのですが、制限時間があると辛いところですね。
 このセクションは解ける問題の正解を直ぐに見つけることができれば突破は容易なのですが、それが大変な場合もあります。そのような場合、解なしを確定させることによって解ける問題を炙り出すという作戦をとることができます。幸いなことにこのセクションで出題されるパズルに用いられるギミックは1種類で、しかも部分構造だけで解なしを即断できるようなものになっています。この解なしが断定できる部分構造を覚えておくと、それが含まれる問題は即座に切り捨てられるので、覚えておくと大変便利になります。

 解なしが断定できる部分構造について、その導出も覚えておくとパズルを解く際にも応用が効くので解説します。まず、このセクションで用いられるパズルのギミックは「引いた経路で分割された領域の中に異なる色のマーカーが含まれないように一筆書きで経路を引く」というものです。同じ色のマーカーは必ずしも同じ領域に入れる必要はありません。
 このギミックの都合上、「通る必要がある道」や「どちらかを通る必要がある道の組」をマーカーの配置次第で炙り出すことができます。例えば、異なる色のマーカーが隣接している間の道は「通る必要がある道」となります(その道を通らなければ、隣接している異なる色のマーカーが同じ領域に含まれてしまいギミックの条件を満たさなくなる)。一方、『The Witness』で一筆書き経路を引く際には、「交差点でも自身の経路と交わることができない」という仕様があります。ここから、「必ず通る道または必ず通る候補となる道の組をリストアップすると、どうしても交差が要求されるマーカーの部分配置は、解なし」ということを導くことができます。例えば、オセロの初期配置のように、2色が2x2のマスに互い違いに配置されている場合は、通る必要がある道が十字路になってしまうので、解なしとなります。
 解なし問題を特定できたら、あとは解あり問題を頑張って解くだけです。頑張りましょう。もちろん、覚えた解なし部分構造に当てはまらない解なし問題も存在するので、そのような問題を引いてしまったら、気合いで乗り越えましょう。

 山場を乗り越えたら次は、5つ目のセクションです。ここはまず部屋そのものが大きな迷路になっており、その迷路の道中に2つのパズルが出題されます。もちろん部屋の迷路も毎回変わります。部屋自体は格子状の道が引かれており、Challenge中ではないときは、その道を自由に行き来できるのですが、問題出題中は迷路としての道が繋がっていないところに接近すると壁が出現するようになっています。壁は離れると消えるので、この迷路をノーヒントで解こうとする場合は壁の出現場所をきっちり覚えておく必要があります。しかし、その必要はありません。先に述べた通り、2つ目のセクションで出題されたパズルがこの迷路の地図になっています。そのパズルで解いた道はこの部屋で通るべき道となり、パズル中の2つの点がこのセクションでパズルが出題される場所となります。撮影したり記憶に焼き付けたりした地図を頼りにこのセクションを進んでいきましょう

 ちなみにこのセクションで出題されるパズルを自動で解いてくれる有志が作成したサイトが存在します。入力する手間はありますが、自力で解くより速くできるのであれば使ってみてもいいのかもしれません。自分は、このサイトを『The Witness』をプレーしているPCで開いてしまってゲームがポーズ画面に遷移しChallenge即終了となりました(1敗)。その経験もあるのと、結局のところ出題されたパズルが簡単な場合はサイト入力よりも速く解けるので、パズルが簡単になるようお祈りして自力で解くようにしてました。

 迷路を抜けたらいよいよ最終セクションです。ここでは柱状のパズルが2つ出題されます。柱状である分パズル盤面の正確な把握が求められますが、それ以外の要素はそこまで難しくありません。残り時間に負けないよう気合で押し切りましょう。この2つのパズルを制限時間内に解き切ることができれば、Challengeクリアです。おめでとうございます。クリア後は閉ざされていた扉が開くので中にあるものを確認しましょう。

 Challengeクリアのハードルは実績取得率が示すように相応に高いものですが、ランダムに出題される問題を賑やかな曲の中てんやわんやになりながら解き進めるのは、これまでの『The Witness』の世界とは趣向の違う体験ですので、是非ともこのエリアにも挑戦してみてはいかがでしょうか。


・裏エンディング

 Challengeエリアには山側から入ってきた道とは別に、奥へ続く道があります。そこを辿って行きなんやかんやすると、とあるヒントが置かれているのでそれを頼りにさらになんやかんやすると、リゾートホテルのような場所に入ることができます。ここではこれまで巡ってきた島を今までとは異なる視点から眺めることができ、またスタッフの名前が読み上げられるオーディオログが配置されています。この場所を進んでいくと不思議な空間に辿りつきそして裏エンディング突入となります。お疲れ様でした。


・そのほか収集要素

 各エリアの攻略とレーザー起動、Challengeエリア、裏エンディングの他に『The Witness』の世界でできることとして大切な要素があります。それは、風景パズルと呼ばれるパズル群です。ここまであえて触れていませんでしたが、このパズルこそ『The Witness』を『The Witness』たらしめている重要な要素であると思います。

 - 風景パズル
 風景パズルとは、文字通り風景に溶け込んでいるパズルのことです。誰もパズルが盤内に限定されるなんて説明していないですもんね。改めてこの島を見回してみると、「スタートからゴールまで指定された条件をクリアした上で一筆で線を繋ぐ」ということができる場所が至るところにあることに気がつくでしょう。その数なんと100以上。スタートとなる円から道を辿りゴールとなる半円に到着できるもの、世界をぐっと睨んでみると見えてきませんか
 風景パズルにも種類があり、特定の視点に立つことで見えるものや、特定の操作を行うことで風景パズルを作り上げるものなどがあります。これらの風景パズルは、レーザー起動のためのパズルのように次にどれを解けば良いというような連鎖的な誘導はないので、個別に発見する必要があります。一応ヒントとして、各地に黒色のオベリスクが設置されています。このオベリスクの各面には、風景パズルのパズルとしての答えとなる経路が書かれており、その経路が書かれている面の方向にその経路が答えとなる風景パズルが存在するということが示されています。このヒントを頼りに風景パズルになりそうなものをひたすらに探して行きましょう。個々の風景パズルの規模感は大小様々で地面にも上空にも隠されているので、この世界のありとあらゆるところで「そこに風景パズルが存在するのかどうか」を考えることになるでしょう。

 さて、この風景パズルに積極的に取り組んだ人には素敵なプレゼントが用意されています。認識の汚染です。島のありとあらゆる場所であらゆる可能性を模索しているうちに、現実世界でもそれが“見えて”しまうようになってきます。さすがに頻度は島よりも多くはないですが、不意に出会ってしまった場合、もう風景パズルにしか見えなくなってしまいます。人間の認知能力は恐ろしいもので、一度注意がそこに向いてしまうとそれを振り払うのは大変です。別にそこに何も意味や報酬は無いのに、風景パズルが有ると思ってしまうのです。このこじつけに過ぎない認識を植え付けるところも含め風景パズルなんだと思います。
 実際のプレー時では、風景パズルという概念が存在するというのは知っていてそれ自体は面白いとは思っていたのですが、正直なところ自力で全て回収したくなるほどの魅力は感じず、Endgame達成までは自力でやって、それ以降は先人の知恵を使って答え合わせとして見て回るという形でプレーしていました。自力で見つけたのは46個と半分にも満たない程度でしたが、認識の汚染はしっかりとされました

 - オーディオログ
 先にも少し触れましたが、この島には音声が記録された装置が点在しています。これらは物陰や行き止まりなどに配置されているので自力で全て見つけるのは結構大変です。流れる音声の内容もそこまで興味あるものでもなかったので、プレー時には見つけられたらラッキーくらいのスタンスでいました。いくつか面白いものもあったので、もし興味があれば探して見てはいかがでしょうか。

 これは後から知ったことなのですが、このオーディオログの場所に関してのヒントがゲーム中に存在しています。実は島中央にある池が、よくみると島の形となっており、その池にある各種オブジェクトがオーディオログなどの各種要素の位置と対応しているのです。詳しくは以下の記事で解説されています。オーディオログの場所は池の花に対応しています。

 - シアターの映像開放
 街の風車の中から地下にいくと、様々な映像を観ることのできるシアターがあります。これらの映像は、シアター入口にあるパズルをそれぞれの映像に対応した所定の経路で解くことで開放することができます。このそれぞれの経路については島の各地でメモが箱に納められていますので、それを見つけて開放しましょう。長い映像は結構長いので、じっくりとみる場合はまとまった時間を用意しましょう。個人的には、映像が流れているときにパズルがシークバーの役割を果たしてくれるのがちょっと好きです。この映像開放のメモのありかについても先述の池がヒントになっており、貝が対応しています。

 - 全パズル埋め
 残りやることとしては、全てのパズルを解き切ることくらいでしょう。セーブデータにその時点で解いたパズル数と風景パズル数が表示されているので、それを最大数にできていれば全て解いたということになります。最大数になっていれば、「523(パズル) +135(風景パズル) +6(完了したオベリスク)」となります。
 盤面のあるパズルは単体で隠されているものやショートカット用の扉など、解かなくても進行可能なものがあるので意外と見つけ忘れがあったりします。島中を歩き回ってみましょう。風景パズルの方は先述の通りオベリスクをヒントに探してみましょう。
 自分のプレーでは、523個のパズルのうち、見つけたが解けず攻略に頼ったものが5つ、そもそも見つけられなかったのが15個ほどでした。風景パズルの方は、先述の通り自力で見つけられたのが46個だったので、残りはオーディオログや見つけられなかったパズルと併せて攻略を見ながら答え合わせとして埋めて行きました。個人的には、この見つけられなかったものたちにはお手上げ感が強く、またそれらを見つけること自体にはあまり惹かれていなかったので、1周目のプレーを思い返しながら答え合わせをする形にしました。どちらかというと、パズルを見つけることよりも、見つけたパズルで難儀する方が好きだったみたいです。
 個人的にパズルとして好きだったのは、山の麓の花の湿地エリアと、その北のツリーハウスエリアと、Challengeエリアでした。特に湿地エリアは探索としても好きなエリアで、そしてこのエリアこそがプレーするきっかけとなった「友人のプレーで見たパズル好きの自分の心をくすぐるようなタイプの問題群」だったのでした。プレーする前に自分に対しての最高打点を見せられたらそりゃプレーしたくなっちゃいますよね。これに関してはたまたま起きた出来事だったので運が良かったとしか言いようがありません。


おわりに

 偶然のきっかけからプレーすることになり、そしてそれによってお正月を溶かすことになった『The Witness』。実際にプレーしてみて、オープンワールドの世界に溶け込んだパズルのその物量とその完成度の高さに圧倒されました。
 と、かしこまって書いて見ましたが、端的に言ってしまえば、もちろん趣向の好みの程度の差はあれど、一筆書きパズルをテーマにここまで多様なものを用意できるのがほんと凄いと感じさせられました。
 また、この世界に身を投じているうちに、種々の世界に対する自分の認識というものを改めて考えるようになりました。目の前に現れる法則のように見えるものは、世界の摂理か、ただのこじつけか、はたまた偶然か。「そこにはルールが存在する」ということ自体が思い込みかもしれない、という普段の生活では頭から抜け落ちがちなことを、『The Witness』はその体験を通じて考え直すよう仕向けてくるのです。
 そしてこの考えもまた、単なるこじつけなのかもしれません。


参考にしたサイト様たち

・『The Witness』の詳しい攻略wiki

・『The Witness』のとても素敵な感想note

・Challengeエリアの解説記事


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