漫才 大人っぽくなりたい

A:「どうも○○ですお願いします。」

B:「3.14159265358979…!!」

A:「あ、すいません。今相方、舞台の中心でπを叫んでます。すみません、お願いしますねー。」

B:「あのー、」

A:「はいはい。」

B:「僕たち現役大学生でコンビ組んでるんですけどね。」

A:「現役大学生ねー。」

B:「そろそろ社会に出るということで大人になんなきゃなーなんて思いますね。」

A:「確かにね。」

B:「で俺はね、最近行き始めた場所があるんですよ。」

A:「あれ、どこ行くんですか?」

B:「バー」

A:「バー!ずいぶんと大人なとこ行きますね。」

B:「ちゃんち。」

A:「ばあちゃん家じゃねえかお前。大人っぽくなりたくてばあちゃん家行ってんの?」

B:「いやもう大人になりたくなくて甘えに行ってる。」

A:「激やばじゃん。甘えるなよ大学生にもなって。」

B:「ばあちゃんはやっぱ優しいよ。」

A:「そりゃ優しいでしょうよ。」

B:「一緒に将棋とか打ったりね。」

A:「将棋はなんか大人な感じするけど。」

B:「こないだ行ったときも4回くらいやってね、」

A:「結構やるのね。」

B:「30万くらい稼いだかな。」

A:「賭け将棋!?実のばあちゃんと賭け将棋すんなよお前。最低だな。」

B:「いや先月行った時は100万負けてるのよ。」

A:「額がガチすぎるだろ。ばあちゃんもよくやるな。」

B:「あとテレビ一緒に見たりね。」

A:「テレビ?」

B:「でもばあちゃんと中々趣味が合わなくてね。」

A:「あージェネレーションギャップね。ありますから」

B:「ばあちゃんがずっとリモコン独占してて」

A:「リモコン独占されちゃって」

B:「ずーっと録画したゴッドタン観てるのよ。」

A:「ゴッドタン!?おばあちゃんと二人で観るもんじゃないだろあれ。」

B:「俺はカンブリア宮殿見たいのに。」

A:「逆だろお前。そんなバリカタドキュメンタリーばあちゃん世代しか見てないだろ。」

B:「あと寝る時はね、子守歌歌ってもらうのよ。」

A:「びっくりした、急にめっちゃ甘えるじゃん。」

B:「ねんねーん、ころりーよこーろーりーよってね。」

A:「まあ子どもの頃よく聞いたメロディですよね。懐かしいけど。」

B:「あー眠たくなってきたよおばあちゃん。」

A:「あ、そのときのお前をやってるのかな?」

B:「特徴的なビブラートだし」

A:「ビブラート?」

B:「ただ後半が少しバテ気味なのでペース配分を…」

A:「カラオケの採点みたいなこと言うな。DAMの採点のコメントみたいになってるから。」

B:「全国平均は上回ってたよ。」

A:「子守歌の全国平均って何?」

B:「ロングトーンはもっとこう…」

A:「もういいよ。めちゃくちゃじゃんお前、そんなことしてねえで大人になる努力しようぜ?」

B:「確かになー。いやでも実はね、最近別に通い始めたとこあるのよ。」

A:「なにどこよ。」

B:「美容室」

A:「あー見た目から大人にね。」

B:「の上にあるくもん。」

A:「いや子どもに戻ってんじゃねえかいい加減にしろ。」

B:「どうもありがとうございました。」

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