新卒で入社した会社の話①

2011年4月、社会人になった。

直前には東日本大震災があり、日本全体が暗い雰囲気に包まれている、今まで味わったことのないような異様な時期だったと記憶している。

幸い、私の住んでいる地域は震災地域からだいぶ離れており、卒業式が無くなったりなど、そういったことはなく、他の年代の方と同じように社会人になっていった。

入社した会社は、地元の医療総合商社。

「自分の祖父が介護が必要な状態であり、この仕事を通じて医療について考えてみたい」

全く思ってもいないことしか思いつかなかった。だって別に興味のない会社だもん。

リーマンショックの影響もあり、エントリーした会社は軽く100社以上。履歴書・エントリーシートを何枚書いたか、何枚買ったか覚えていない。

人生で初めてともいえるくらい、多くの会社にあなたはいらないと否定され続け、自分の存在価値なんてないんだなと、元々ネガティブな性格に輪をかけてネガティブになっていった。

既に8月に突入し、もう業界なんて絞れる状態ではなくなっていた。大学のキャリアセンターに貼ってあった地元の企業を練習がてら受けるか・・と思って受けたのが今思うと地獄の始まりだったのかもしれない。

面接とはお見合いみたいなもので、うまく喋れなくても、気持ちが通じ合うことがあるとはいうが、私はそんなのただの綺麗事だと思っている。

現に、全く興味のない、綺麗事をただ並べ上げた面接に合格し内定を得た。単に募集人数に学生が集まっていなければ、何を言おうが受かるし、人気の会社であれば、どれだけ思いを込めて伝えたとしても、どれだけ前準備をしても落ちるのである。

それでも、就職浪人するなら、この会社でお金を貯めて適当なタイミングで転職すればいいと、割り切っていた。

そんな複雑な気持ちで迎えた入社式。

同期は私を入れて20人。男女比は丁度半々くらい。

典型的な地元の古風な会社で、営業は男、事務は女といったような配属。適性を考えて配置しますとはいうが、きっとそれは建前の話なんだろうな。

研修期間は2週間。今思うと、唯一の遊び期間だったなと思う。若手の先輩社員と同行して美味しいもの食べさせてもらったり、楽しくおしゃべりしたり、研修後にみんなで飲みに行ったり。社会人なんて意外に楽しいじゃんて思っていた。

研修帰りの電車で、高校時代の同級生と会った。その子は社会人になるのが不安と言っていたが、私は、意外と社会人って楽しいからもっと気楽に行こうよ、と言って元気付けたのだが、この発言をした10年前の自分を叩きに行きたいw

そんなこんなで、研修期間の2週間はあっという間に終わり、配属場所の営業所に通うことになった。

地獄のスタートでした。

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