サヨナラの意味
転職活動に並行して、仕事での最終引き継ぎも始まった。
前評判では全くいい噂がない人だったが、もうこの先関係ない分、私にとっては気楽で最後の2週間は楽しく過ごせた。
お互い嫌な異動に関わっているため、この会社での愚痴は止まらなかった。
担当したのはたったの6ヶ月だけだったが、非常に残念がってくれる得意先の人もいて、そういうところが営業のいいところだよなとしみじみ感じた。
ただ、担当した期間が短かったこともあり、やはり私が担当だと認識していない人もいた。引き継ぎで挨拶に行った時に、
「会った事ありましたっけ?」
と、後任の前で言われる情けなさは尋常ではない。
この会社での仕事は何もやり切ったとは全く思っていない。
できるならまだ働きたかった、この店で。
後任は10年以上の経験があるからか、とても慣れた感じでお客様と接していた。
多分、私が持っていたこの地区の成績は間違いなく上がるだろうなという安心の気持ちと、悔しさと複雑な心境だ。
そうこうしているうちに、8月終了まで1週間を切った。
もうここまできたら、9月から働くのは無理だ。
応募する企業も少し作戦を変えて見た。
今までは、転職サイトから見て応募していたが、各企業HPから一つずつ募集しているか確認し、応募していくスタイル。今まで面接に行っても、だいたい想像以上に多くの応募者がいて〜ということを言われる。ということは、みんなと同じルートで行っても合格する確率なんて高いわけがない。
未経験でITに行くには、いわゆるSESしか無理だ。調べていると、この形態の企業は非常に多く存在しているようで、「SES 一覧」と調べたら、資本金ランキング順に出てきた。
そこから一つ一つ見て行き、応募していった。地道な作業だ。軽く500件は見たと思う。
企業も様々だ。次の日に返事をくれるところもあれば、今後の選考の連絡しますと言いながら現在もまだきていないところや。HPの作りも、本当にIT企業なのかと思うくらい昭和感漂うところや。ピンからキリまでなんだな。
引き継ぎで回っていた週末、ふとメールを見ると、「面接のご案内」との表示があった。この会社は確か、資本金ランキング上から数えた方が早いところだ。正直、上位の企業はそれだけアクセスも多いだろうと思い、面接なんていけっこないだろうなと思っていた。しかもこの企業は、対象年齢が「30歳くらいまで」というアバウトな書き方だったため、32歳もぎり行けるかなwというノリで応募したところだった。
面接の日時は、現会社を退職した次の日に決まった。
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