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Proof of my life.

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  • 【ベンツのエンブレム折ってみた。】

    ただの趣味で書いた12章に渡る短編小説です。

最近の記事

些細な言葉の棘

なぜか最近懐かしい人が出てくる夢をよく見る。 昨日、突然にふと思い出したこと。 高校生のとき、私は運動部に所属してた。 部活の始まりと終わりは皆で一緒に着替えをして、その日もいつも通りに、部活終わりに着替えていたときだったと思う。 きっかけは本当に覚えてないけど、 1人の部員が「聞いて欲しいことがある。」って言ったか覚えてないけど(笑) ちょっと大事な話をしそうな空気に包まれてその子は話し始めた。 「コミュ障」って言葉あるじゃん。よく使うと思うんだけど。 あんまり口にし

    • 【映画で感じた、大人になってしまったんだなと感じた瞬間。】

      さて、これは私が成人になってから、 実際に友達に「ねぇねぇ、こう思わない?」と聞いた感情のお話です。 ここでは、そこのあなたに「ねぇねぇ?」 と聞いてみたいと思います。 私は気づいたら、幼い頃から映画が大好きでした。 あの臨場感を感じていたのか定かではなく、ポップコーンが食べられるから、大画面でワーイ!ってなるから、その理由は今ではもう覚えていません。 大学生になり、アマプラ等の映画サブスクが登場し3つ掛け持ちしながら、週5で映画館に通うほど、お酒代の次にお金を使うの

      • あとがき

        まず初めに、こんな未熟な人間が趣味で書いた本を最後まで読んでくれたそこのあなたに、感謝の意を示したいです。ありがとう。  この物語は、フィクションであり、ノンフィクションです。私ととても近しい人ならば、なんとなく私の要素が感じられる部分に気づくかもしれないけれど、百パーセント分かる人は絶対にいないはずです。なぜなら、私自身もどこまでが自分の経験に基づいているのか分かっていないからです(笑)。もし、皆さんがこれを読んで何か感じるものがあったのなら、それがきっとこの本の答えです。

        • 短編小説 【ベンツのエンブレム折ってみた。】

          一、 私が『ベンツ』という名称をきちんと理解したのはいつのことだっただろうか。おそらくは思春期になりたての頃か。初めての部活で挫折や苦労をし、初めてのまともな恋愛や交際で一喜一憂したそんな頃だったと思う。  街を家族でドライブしているとき、母親がその車を見つけると「あぁベンツだよ。金持ってんなぁ」と、そんなことを度々言うものだから、(あぁ、ベンツという車は金持ちが乗る車なのか)と幼心に刷り込まれたのである。そのうち、あの特徴的な手裏剣のような(似ていると私は思っている)エン

        些細な言葉の棘

        マガジン

        • 【ベンツのエンブレム折ってみた。】
          13本

        記事

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】一、

          私が『ベンツ』という名称をきちんと理解したのはいつのことだっただろうか。おそらくは思春期になりたての頃か。初めての部活で挫折や苦労をし、初めてのまともな恋愛や交際で一喜一憂したそんな頃だったと思う。  街を家族でドライブしているとき、母親がその車を見つけると「あぁベンツだよ。金持ってんなぁ」と、そんなことを度々言うものだから、(あぁ、ベンツという車は金持ちが乗る車なのか)と幼心に刷り込まれたのである。そのうち、あの特徴的な手裏剣のような(似ていると私は思っている)エンブレムを

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】一、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】二、

          さて、そんな私もこの春、いつの間にか大学四年生になった。ここで着目すべきは、あと一年で卒業!ということではなく、来年の春から社会人にならなければならない、という事だ。そして、卒業すれば勝手に社会人になれる訳でもなく自分でそれを決めなければならない、ということ。そう、つまりは就活という一大イベントが始まるワケだ(にこり)。 つい先程、〈社会人にならなければならないという事〉と言ったが、これはあくまでも世の中の暗黙の了解的な話であって、当の私はそんなことこれっぽっちも思っちゃいな

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】二、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】三、

          最初のマス、とりあえずサイコロを振ってみた。 赤マル。いち。 止まったマスには、『職業研究をしよう!一回休み』 まぁまぁ、研究は確かに大事ですよねぇ。とりあえずパソコンとにらめっこして、それからたくさん調べたと思う。ほんとうにたくさん。けれど何一つしっくりこなかった。それも当然、私にはやりたい事がなかったから。あっという間に行き詰まった。友人に相談すると皆、「分かる分かる、私もだよ。やりたい事なんてないもん。ほんと、でも手に職つけなきゃだからさ。とりあえずだよ、とりあえず」

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】三、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】四、

          気づけば周りには誰のコマもなかった。皆進んだり戻ったり休んだりしながらも、ゴールを決めていた。友人達が進路を決めたことは本当におめでたいことだと思いながら、ふと比べてしまうと、あまりに自分が空っぽなことに気づいてしまって、ひたすらに虚しくなった。でももう別にいいや、と思い始めてきて、とりあえず生きていれば良いから、適当に過ごそうと思った。  そうして時が過ぎ、大学を卒業した後に私はフリーターになった。深夜のコンビニで働きながら、これからどうするか考えればいいやぁと思った。深夜

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】四、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】五、

          昼過ぎに起きた。寝起きで昨日あったことを走馬灯のように思い出した。店長の言葉。社員。カップル。ビールとレモンサワー。黒染め。四角い箱。私は今日もフリーター。 むくりと起き上がると、とてつもなく体が重い。こういう時は目玉焼きを作ろう。目玉焼きはとても良い。ただ割って焼くだけなのに、お皿に乗せると朝食を作りました感が出て、満足感が得られる。卵一個のコスパは計り知れない。冷蔵庫から卵を取り出し割ろうとしたとき、するりと卵が手からすり抜けて落ちてしまった。 ぺしゃ。 黄身も白身も

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】五、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】六、

          その日のバイトを無断で休んで、私はどこか遠くへ行こうと思った。そして、海にでも身投げしようかと、とにかくテキトウに。普段通らないような知らない道を歩いてみる。高級住宅街だ。おおきな窓がある家では、カーテンから幸せな夕食タイムが透けて見えた。庭のある家には、手をかけて育てて貰っているのがよく分かる毛並みの綺麗な犬がいたりもした。そうやって何十軒もの住宅を横目に見ながら進んで行き、ふと、あるものが目に入って足を止めた。そこにあったのは高級車、ベンツの車だった。暗闇の中でも黒光りし

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】六、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】七、

          「あ……」予想外のハプニングにその場を動けなかった。家主であろうその人は五、六十代位のおじさまだった。少し険しいような、でも怒りに満ちてはいない、読み取れない表情をしているその人は、視線を落ちたエンブレムに向けゆっくり口を開いた。 「それ、君がやったのかい?」 その声色は驚くほど優しかった。 「いや…あの……」 てっきり少しは怒鳴られると思って構えていた私は、二度目の予想外に拍子抜けしてしまってそれしか言えなかった。むしろその優しい声が逆に怖いと思った。 「とりあえず、中に入

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】七、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】八、

          お金持ちの家のふかふかのベッドの上で、私は一晩中考え事をしていた。今日あった事やこれからの謎の三日間、謎の小林さん、折ってしまったエンブレム。結局一睡もできなかったが、とりあえず三日間だけここで生きてみようと、なんとなくそう思った。  朝になり、少し緊張しながらリビングへ向かった。 「おはようございます……」 リビングの扉を開けてもそこに小林さんはいなかった。 「おはよう希凛くん。僕はこっちで作業をしているから、好きにご飯を食べて掃除をしてくれたら、後は好きに過ごしていい

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】八、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】九、

          二日目。私は起きてからすぐに小林さんの作業部屋へ向かった。扉から覗くと昨日と同じ位置に小林さんがいたが、その手は動いていないようだった。 「今日は絵、描かないんですか?」 「ずっと……この絵だけが描けないんだ。明後日までに仕上げないといけないのだけど」 「それって結構やばい状況なんじゃ……」 そう言って私はキャンバスの方へ歩み寄った。しかし、私は小林さんの言っている意味が分からなかった。なぜなら、そのキャンバスにはしっかりと絵が描かれていたからだ。色とりどりの花畑、それを見る

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】九、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】十、

          三日目、約束の最後の日。 リビングへ行くと置き手紙があり、そこには(散歩をしてきます。)と書いてあった。私はなぜだかとても胸騒ぎがした。私は作業部屋へ行き、いつも小林さんが居たイスに座り、最後の絵を見た。もしかしたらこの絵は完成しないんじゃないだろうか、とそんな気がしてならなかった。仮にこの絵を完成させたとしても、その後小林さんはきっと、もう絵を描かないのだろうと、そう思った。昨日の私の発言で、小林さんに負担を与えてしまったのではないかと勝手に罪悪感を抱きながら絵を見つめてい

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】十、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】十一、

          とても不思議な気持ちで目覚めた。たった三日間とは思えない、一年ぐらい過ごしたんじゃ無いかと思えるほど濃い時間を過ごしたし、どこかで少し寂しいと思っている自分に驚いた。ただ、なんとなく、今日の自分が、三日前の自分と違うことは感じていた。リビングから生活音が聞こえる朝は初めてで、(と言っても、たった三日だけれど)少し緊張しながら向かうと、小林さんが何やらせかせかと動いていた。 「希凛くん、朝ごはん出来てるよ」 テーブルには、部屋の雰囲気に大分そぐわない、ザ・日本の朝食が並んでい

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】十一、

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】十二、

          ミュージアムを出る頃には、もう夕方になっていた。夕焼けが放つ赤い光が、私たちを照らす。なんとなく、私達は向き合った。ぬるい温度の風が頬を掠め、なぜだが寂しい匂いがした。 「小林さん、これからも、絵描いてくださいね」 私は、試すように、念を押すように言った。 「ああ、もちろん。絵は書き続けるよ。約束する」 小林さんは、私の目を真っ直ぐ見て答えた。 「希凛くん、最後に一つ聞きたいことがあるんだ」 「なんですか?」 「君は……まだ、折りたいと思うかい?」 いつの日か同じ

          【ベンツのエンブレム折ってみた。】十二、