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【翻訳】ICMプレッシャー下のブラインドバトル②BBの戦略【ICM、MTT】GTOWブログ.61



これはICMのプレッシャーの下でのブラインド対ブラインドのプレイにおけるSBの戦略についての記事の続編である。


前半の記事では、ICMは両プレイヤーに大きな対決を避けるよう促すが、BBの方がアーリーストリートでポットを大きくする余裕があると述べた。BBのポジションはブラフをかけポットの大きさをコントロールし、SBよりも効果的にエクイティを実現することができるため、プリフロップからポットを大きくすることはSBほど危険ではない。

次の図は、トーナメントの様々な段階におけるBBのSBからのレイズとリンプに対する戦略を示している。これらのシミュレーションはすべて40bbのスタックで実行された。ファイナルテーブルのソリューションは35bbで実行されたことに注意。


BBはリスクプレミアムが高くなるにつれて積極的なレイズは少なくなるが、ICMのプレッシャーが最も強いときでも強固なレイズレンジを維持する。このスタックの深さでは、BBにとってレイズの危険性は単純に低い。アウトオブポジションからのリレイズはSBにとって非常にリスキーであるため、BBはフロップを見て、SBがすぐにフォールドしなくても多くの状況でポジションの優位性を発揮し続けることを期待できる。
BBのレイズに対する反応はトーナメントが進むにつれてそれほど劇的に変化しないように見えるが、これは誤解である。リスクプレミアムが高くなるにつれて、SBのレイズレンジは強くなるが、BBのレイズとコールの頻度はほんの少ししか上がらない。これは、リスクプレミアムが高くなるにつれて、BBがSBのレンジに比べて弱いハンドでポットを争うことを意味する。リスクプレミアムが高いほど、BBのポジションアドバンテージの価値は高くなり、エクイティリアライゼーションが高まる。




浅いスタックの検証


20bbのスタックでは、リスクプレミアムが増加するにつれてBBが控えめにプレーするパターンがより明確になる。これは彼ら自身のリスクの増加だけでなく、SBのリンプやレイズのレンジが強くなったことも反映している。BBはこのスタック深度でより効果的にリレイズすることができる。リレイズは主に、SBがオールインする機会を与えないオールインになるからである。


ICMのプレッシャーが最も強いときには、BBがオールイン以下のスリーベットのレンジを開発する余地さえある。サイズは小さいが、このレイズは極めてポラライズされており、大きなポットをOOPからプレイするのはリスキーな為、SBはほとんどオールインかフォールドで対応する。SBがコールするのに十分なハンドは、オールインするのに十分なハンドであり、それに伴うフォールドエクイティを重視するだろう。

次の図は、20bbの有効スタックがあるファイナルテーブルで、SBが3bbのオープンをしたときのBBの反応を示している。薄い赤のハンドはオールインしない3ベットである。BBがフォールドレンジの閾値の最上位のハンドでブラフをしていることに注目しよう。めったにフロップを見ないブラフのために、コールして利益が出るハンドをレイズして無駄にする意味はない。



通常のリスクプレミアムの低いトーナメント状況での慣習は、オールインをコールするのに2:1になるサイズまでレイズした場合(レイズが有効スタックのおよそ⅓をコミットしたことを意味する)、レイズしたハンドはいずれにせよオールインをコール出来るようなオッズになるため、最初からオールインをした方がよいということである。

リスクプレミアムが高ければ、スタックの⅓をポットに入れた後でもフォールドする余地がある。大きなレイズは、強いが脆弱なハンドがエクイティをより効果的に否定することを可能にする一方で、ブラフが失敗しても最後のチップを残してフォールドする余地を残している。


大きいISOレイズ


9ハンドのファイナルテーブルで、35bbのスタックが対称的に並んでいる。BBはSBのリンプに対して7bbにレイズするレンジを持っている。このレンジは30bbのスタックで最も強固になる。また、20bb以下であれば、リンプに対するオールインが望ましい。この図は、様々な対称スタックサイズの9ハンドファイナルテーブルにおけるBBの戦略を示している。



このレンジの構成は、BBが最もこの戦略をよく使う30bbの時に最もはっきりわかる。


BBのSBリンプに対する8bbレイズでISOするレンジ
  • 強いが脆弱なハンドがレンジの多くを占めている: AKoAQoJJ-KK。AAは小さめの3ベットを好む。AAは エクイティを否定することで得られる利益は少なく、SBのショッビングレンジの多くをブロックする。AKoが QToや 98sからのフォールドを強要したり、A5sからのショブを誘ったりするのに満足するのに対し、AAは前者からほとんど得をせず、後者をブロックする。ファイナルテーブルでは、KKでさえSBのAxの多くからショッブかフォールドの反応を強制することで利益を得ている。

  • 均衡状態において、このレイズはブラフとして特に利益を生むものではない。したがって、BBは最も悪い、つまりチェックやフロップを見ることに最も興味のないハンドだけで7bbレイズのブラフを狙う。均衡時にめったにレイズしないか全くレイズしない類似のハンドの多くは、チェックした場合のEVにかなり近い。従って、ここでの本当の要点は、リンプやフォールドを頻繁にするような適切な相手に対しては、最悪のハンドの多くでこの大きなレイズを考慮すべきであるということである。

  • QJoや 98sのような中程度のハンドは、リレイズにさらされるのを避けるためにチェックすることが多いが、レイズするときは3.5bbの小さいサイズを使う。

  • この大きなレイズは50bbや60bbの深いスタックでは魅力を失う。ブラインドとアンティをスティールする価値は低くなり、(AA以外の)大きなポケットペアでさえ、SBがビッグレイズにコールするかスリーベットした場合、スタックオフする魅力はない。


BBがカバーしている場合


SBが35bbでBBが40bbのシナリオでは、BBのリスクプレミアムは12.2%(スタックが対称の場合)から11.3%に減少し、SBのリスクプレミアムは13.1%にわずかに増加する。このリスクアドバンテージの結果、BBの戦略はややアグレッシブになり、7%のハンドで7bbにレイズし(スタックが対称の時の5%から増加)、28%のハンドで3.5bbにレイズする(24%から増加)。

SBからのレイズに直面したときのBBの反応は、対称的なスタックのときとあまり変わらない。しかし、前述したように、SBのリスクプレミアムはレイズレンジに組み込まれているため、SBがより強いレンジを持っているにもかかわらず、BBの反応は似ている。


SBがカバーしている場合


100bbのSBからのリンプに対して、35bbのBBが7bbのISOレイズを使うことはない。その代わり、4%程度の狭いオールインレンジを持つ。これらは対称的なスタックで7bbにレイズするハンドとは全く違う。カバーされている場合、BBのオールインレンジはコールするハンドをブロッカーに大きく依存しており、A9o~AQoとA2oがその大半を占めている。

カバーされ、15.2%のリスクプレミアムに直面しているにもかかわらず、BBは29%のハンドで3.5bbにレイズしている。これはカバしているSBがより広く弱いレンジをリンプしたことに対する反応である。このシナリオではSBがオープンフォールドすることはほとんどなく、強いハンドはレイズすることがほとんどである。どちらかと言えば、SBの広くて弱いリンプのレンジに比べれば、34%というレイズ頻度は低いように思われる。


このシナリオのSBのリンプレンジ


結論


対称的なスタックでは、BBはSBと同様にICMのプレッシャーを受けたときに大きな対決を避けるインセンティブがある。しかし、BBにはフロップ後のポットサイズをコントロールするための手段がある。その結果、ファイナルテーブルでSBにカバーされた場合でも、プリフロップのレイズでポットを大きくし始める方が安全である。
特定のスタック深度では、彼らにも考慮すべき型破りな選択肢がある。特に、小さな3betや、リンプに対するビッグレイズである。人間のプレイヤーの多くはこれらのプレイに馴染みがなく、反応も悪いだろうから、少し試してみれば、特に良い結果が得られるはずだ。


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