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【翻訳】ブロッカーを理解する【セオリー】GTOWブログ.50

ソルバーが綿密に作り上げた問題のグリッドに目を通すと、しばしば次のような疑問が浮かぶ:

  • なぜソルバーはトップペアをフォールドすることもあれば、サードペアをコールすることもあるのか?常にトップペアをコールし、常にサードペアをフォールドする方が良いのでは?

  • 一見似たような別のハンドをブラフするのは間違いなのに、なぜこの手札をブラフするのはいいのか?

  • なぜソルバーはブラフとしてリバーでペアをレイズすることを選ぶのだろうか?ペアにはショーダウンする価値があるのだから、代わりに失敗したドローをレイズすべきではないのか?

これらはすべて素晴らしい質問だ!-答えはブロッカーに行き着くことが多い!

この記事では、ブロッカーとは何か、ブロッカーがあなたの戦略にどのような影響を与えるのか、どのような場合にブロッカーが重要になるのか、そしてGTOウィザードのブロッカー分析ツールを使ってあなたのハンドを分析する方法について説明していく。


ブロッカーを理解する

ポーカーにおいて、ブロッカーとは、自分が持つハンドで相手のレンジの一部をブロックするという、カード除去効果を指す。例えば、T♠6♠3♠のフロップでA♠K♦を持っているとすると、相手はナッツフラッシュを持つことが出来なくなる。私達はナッツフラッシュをブロックしている訳だ。もう一つの重要な用語であるアンブロッカーは逆の効果を指す。例えば、T♠6♠3♠で3♥3♣を持っている場合、私達はトップペアを「アンブロック」し、ボトムセットでバリューを得る可能性を高める。

ブロッカーを理解するための第一歩は、自分のハンドが何を達成したいのかを理解することである。

ハンドのクラスによって、動機は異なる。

バリューを持っている場合、あなたのハンドはアクションを受けたい。このハンドクラスが理想とするのは

トラッシュをブロックする
バリューをアンブロックする

(セミ)ブラフのハンド場合、フォールドを望む。このハンドクラスが理想とするのは

バリューのブロック
トラッシュのアンブロック

ブラフキャッチャーを持っているとき、このハンドはポットオッズ以上の頻度で勝ちたい。このハンドクラスが理想とするのは

バリューのブロック
トラッシュのアンブロック

ギリギリのハンドを持っているとき、私たちのハンドはできるだけ安くショーダウンに持ち込みたい。このハンドクラスが理想とするのは

ベットするハンドのブロック
チェックするハンドのアンブロック

ナッツハンドを持っているとき、私たちのハンドはできるだけポットを大きくしたい。このハンドクラスが理想とするのは

チェックするハンドのブロック
ベットするハンドのアンブロック

あなたの手札が必ずしも理想的なブロック特性を持つとは限らないが、ブロッカーをあなたのハンドの目的に照らし合わせて再構築することで、厳しい決断を下すためにカード除去効果を活用することができる。

ブロッカーを分析する

さて、ここまでインセンティブの概念を探ってきたが、実際にブロッカーをどのように使うか、いくつかの例を見てみよう。この例では、100bbのキャッシュソリューションを使い、カットオフとしてプレイする。

プリフロップ: ヒーロー(CO)がT♠9♠で2.3bbにオープンし、BBがコール。
フロップ (J♠6♥4♠)(5.1BB): BBはチェック。ヒーローは1/2ポットをCベット。BBはコール。
ターン (J♠6♥4♠-T♣)(10.2BB): アクションはチェックスルー。
リバー (J♠6♥4♠-T♣-2♣)(10.2BB): BBは6BBベット、アクションはヒーローに回る。

ヒーローはセカンドペアで60%のポットサイズのベットに直面している。あなたならどうする?

ピュアフォールド
ピュアコール
コールとフォールドの混合
コールとブラフレイズの混合

GTOソリューションによればT♠9♠はピュアフォールドである。しかし、T♦9♦とT♥9♥は常にコールしている!

では、何が違うのだろうか?なぜソルバーはあるT9の組み合わせでのコールを好むが、他の組み合わせでのコールは好まないのだろうか?
一歩引いて考えてみよう。この疑問に答える前に、もっと大きな疑問に答える必要がある: まず、T♠9♠はブラフ・キャッチャーだろうか?
もしこの手がブラフに勝てないのであれば、ブラフキャッチャーとは言えない。これを知るには、「ブレイクダウン」タブを使い、ヴィランのベットサイズ(この場合は6bb)をフィルタリングするのがいい。

この表を読むと、ヴィランはエースハイより強いハンドでブラフは決してしないし、このラインではトップペアより弱いハンドでバリューベットする事もない。したがって、T♠9♠を含むエースハイとトップペアの間のハンドはブラフキャッチャーの候補になりうる。
なるほど、このハンドがブラフキャッチの候補になる事はわかった。そして、T9がコールする他の組み合わせもわかっている。では、T♠9♠をバッドコールにする特定のブロッカーの特性はあるのだろうか?ベットに対するヒーローの戦略を検証してみよう:

KToはどうだろうか?スペードをフォールドするこのパターンは続く!スペードのキングを持っているときはKToをフォールドする。ではなぜだろうか?

答えはBBのレンジにある。BBのレンジで最も弱いハンドの多くは、フラッシュドローミスで構成されている。このようなハンドはポットを勝つためにリバーでブラフをかける。T♠9♠の場合、スペードの9を持っているので、K♠9♠、Q♠9♠、9♠8♠、9♠7♠のようなBBのブラフをブロックしている。
T♥9♥やT♦9♦のようなハンドはこれらのブラフをブロックしないので、代わりにコールする。
これはトラッシュ除去効果のポイントに反映される。T♠9♠はより多くのトラッシュを相手のレンジから取り除くので、COは我々がこのハンドを持っているときBBがブラフをする頻度が少ないと予想していることになる。

このポイントについては後で詳しく説明する。しかし、その前に、これらのカード除去効果がどのような場合に顕著になるかを知る必要がある。

ブロッカーが重要になるのはどんな時か

最初の例では、ブロッカーの効果はかなり大きかったが、これは意図的なものだった。多くの場合、ブロッカーの効果は微々たるものだ。人間である以上、いつブロッカーに基づいて判断するのが適切かを知らなければならない。
相手が十分なブラフをしていない場合、良いブロッカーがあればコールすべきなのか、あるいはその逆なのか。
リバーでのブラフキャッチの判断で最も重要なのは、コールするためのポットオッズ通りのエクイティがあるかどうかである。他のことは二の次である。
T♠9♠の例に戻ると、リバーではポットオッズにより、コールをするためにはちょうど27.8%のエクイティが必要となる。
必要なエクイティ = コール / (コール後のポット - レーキ) → 6 / (6 + 6 + 10.2 - 0.6) = 27.8%
ポットオッズの計算方法はこちらの記事を参照して欲しい

見ての通り、これは極めて僅差の判定である。もしビッグブラインドが1%でも多くブラフをしていたら、T♠9♠はピュアコールとなる。

コールする前に、重要な順に3つの質問を自分に投げかける必要がある:

  • ブラフに勝っているか?

  • 私が必要とするポットオッズと比べて、相手はオーバーブラフ(毎回コール)かアンダーブラフ(毎回フォールド)か?

  • 私のハンドは相手のバリューベットをブロックしているか、あるいはブラフをブロックしていないか?

ソルバーは完璧にバランスの取れた戦略を構築する。均衡はもろい。相手がオーバーブラフやアンダーブラフをしていると思われる場合、これはほとんどすべての場面でブロッカーよりも優先される。強いプレイヤーが相手だと、相手がオーバーブラフかアンダーブラフかを見分けるのは難しいかもしれない。このようなときこそ、ブロッカーに基づいて判断すべきである。

ブロッカーが最も重要になるとき

  • レンジが狭い - プレイヤーがレンジ内に持っているコンボの数が少ない場合、キーカードを保持することが比例して大きな効果を持つことは理にかなっている。

  • 範囲がポラライズドな場合 - ナッツを主張しているか、何もしていないかの場合、キーブロッカーが大きな違いを生むことがある。

  • 大きなベットに直面した場合 - 小さなベットに比べ、大きなベットに対してはそれほど大きくディフェンスする必要は無い。このため、ベストブロッカーのみをコールするなど、よりコールするハンドを厳選する余裕がある。

ブロッカー分析ツール

ラザニアのように、優れた分析は多くの場合、幾層にもなっており複雑である。GTOウィザードには、ブロッカーを分析するための一連のツールがある。まず、迅速な分析に最適なウィザードのブロッカースコアについて学ぶ。次に、ブロッカータブに進む。ブロッカータブは、深く分析するための強力なツールである。最後に、これらの新しいスキルを使って、厄介なブロッカーの問題に取り組む。

ブロッカースコア

プレミアムプランでは、レンジ内のコンボの左上にブロッカースコアが表示される。

バリューリムーバルは、相手のレンジ内でどれだけのバリューハンドをブロックしたかを表す。トラッシュリムーバルは、相手のレンジ内でどれだけトラッシュをブロックしたかを表す。

スコアは0-10で表され、バリューリムーバルのスコアが10であれば、あなたのベットは通常より多くのフォールドを生み、トラッシュリムーバルのスコアが10であれば、あなたのベットは通常より少ないフォールドを生む。

ブロッカータブ

ブロッカータブは、画面右側のストラテジータブとレンジタブから簡単にアクセスできる。

ブロッカータブでは、自分のレンジに特定のカードがないことが、全体の頻度にどのように影響するかを見ることができる。下の図では、相手は3/4ポットをベットしている。ヴィランがクラブの8を持っていた場合、フォールドの頻度は0.45%増加する。これはカード除去のダイナミクスを発見し、理解する上で素晴らしいことである。

このタブで迷ったら、どのタイルの上にカーソルを置いても、特定のスタッツが何を意味するのかを明確にする役立つヒントが表示されることを思い出してほしい。

ブロッカーパズル

最初の例に戻り、今度はT♠7♠を持っているとしよう。

プリフロップ: ヒーロー(CO)がT♠7♠で2.3BBにオープンし、BBがコール。
フロップ (J♠6♥4♠)(5.1BB): BBはヒーローにチェック。ヒーローは1/2ポットをCベット。BBはコール。
ターン (J♠6♥4♠ - T♣)(10.2BB): アクションはチェックスルー。
リバー (J♠6♥4♠ - T♣ - 2♣)(10.2BB): BBは6BBベット、アクションはヒーローにまわる。

T♠7♠はフラッシュドローをブロックしているにもかかわらず、他のT7sよりもコールを好むようだ。なぜだろうか?

まずブロッカーのスコアを見てみよう。ここで奇妙なことがわかる。T♠7♠は他のコンボよりもトラッシュのブロッカーのスコアが低いのだ。

その理由を知るために、フロップのアクションに戻ってみよう。最初のステップは、フロップで7を含むすべてのコンボを見ることである。少し探してみると、7xを持ちフロップをコンティニューするハンドの多くはストレートドローであることがわかる、 特に87sと87oである。

スペードを含む87のコンボは、こちらのコールをより多くブロックするため、フロップでのブラフレイズに有利である。したがって、BBがリバーでブラフをかける場合、ダイヤ、クラブ、ハートの7に比べ、スペードの7でかける可能性は低い。

では、7♠を持っていることでフロップのチェックレイズに対するCOの反応がどう変わるかを見てみよう。

BBが7♠を持っている場合、COはフロップのレイズに対して0.72%多くフォールドすることがわかる!

続いてBBのリバーのベッティングレンジを見てみよう:

BBはフロップで7♠の組み合わせのほとんどをチェックレイズしているので、これらの組み合わせでこのノードのリバーを迎えることは少ない。したがって、BBがリバーでブラフをかける場合、ダイヤの7やハートに比べてスペードの7でかける可能性は低い。COがT♠7♠を持っている場合、ブラフをブロックすることは少ないといえる!

まとめ

ブロッカーはゲームの基本である。自分のハンドが他のすべてのレンジとどのように相互作用するかを考えることは、ポーカー分析において非常に重要なステップと言える。

  • ブロッカーとは、特定の相手が持ちうるハンドのカード除去効果を指し、相手のレンジをブロックする。

  • あなたのハンドが何を達成したいのかを考えることで、ブロッカーを再構築しよう。

  • 相手に対するエクスプロイトの方がカード除去効果よりも重要であることが多い。

  • ブロッカーが最も重要なのは、レンジが狭いときである。

  • 直感的でないブロッカーの動きに戸惑ったら、GTOWのブロッカースコアを使い、常に前のストリートを振り返ること!

  • 特に3ベットポットや4ベットポット、レンジがタイトなポットでは、ブロッカータブを頻繁に利用しよう。そのようなタフなスポットの研究をより理解しやすくしてくれる。


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