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【翻訳】EQグラフの解釈法【セオリー】GTOWブログ.30

GTO Wizardのレンジ対レンジのエクイティディストリビューション(分布)のグラフは、どちらのプレイヤーがより強いレンジやナッツアドバンテージを持っているか、また各プレイヤーのレンジにおけるエクイティがどのように分布されているか、を視覚化するための優れたツールである。あるプレイヤーが中程度の強さのハンドを多く持っているのか、それとも非常に強いハンドと非常に弱いハンドにポラライズされているのかは、プレイヤーの好むベット頻度とベットサイズに大きな影響を与える。これらのグラフは、その情報を明確かつ簡潔に表している。

これらのグラフでは、X軸に各プレイヤーのレンジを、左端の最もエクイティの低いハンドから、右端の最もエクイティの高いハンドまでをプロットしている。Y軸はそれぞれのハンドのエクイティを表している。グラフの線は常に左下から右上に傾斜している。注意すべき点は、X軸の各ポイントで、どちらのプレイヤーの線がもう一方のプレイヤーの線より上にあるか、そしてどのくらい上にあるかということである。

エクイティディストリビューショングラフについて詳しくは、こちらの記事を読んで欲しい。


ポラライズドレンジvsコンデンスドレンジ

下のグラフを見て欲しい。青い線はBBのエクイティ分布、緑の線はBTNのエクイティ分布を表している。これらのプレーヤーのうち、ポラライズドレンジを持っているのはどちらだろう?何を見て推測すればいいのか分かるだろうか?このストリートでの各プレイヤーのベッティング戦略はどのようになると予想されるか? (この分布に至ったアクションは意図的に教えていない。過去のアクションの見慣れたパターンからではなく、グラフから最適な戦略を導き出す練習をするためである)。







BTNがポラライズドレンジを持っている。BTNの緑の線は常にBBの青い線よりかなり上か下にあり、線が急勾配で上向きになる中央でほんの少し交わるだけである。つまり、BTNのハンドはほとんどが0-15%のエクイティの非常に弱いか、70%以上のエクイティを持つ非常に強いということである。緑の線が垂直に伸びているのは、BTNには30~60%のエクイティの手がないことを示している。青線の長く平らな横の部分は、BBのレンジではエクイティが60%程度の中程度の強さの手が優勢で、その両極端に非常に良い手や非常に悪い手がほんのわずかにあることを表している。

このことから、BBはほとんどチェックすると予想される。これらの中程度の強さのハンドはベットするメリットがない。彼らが好むのは、ポットを小さく保ち、ショーダウンに持ち込み、BTNのより弱いハンドからブラフを誘うことである。

BTNはベットしたい側である。彼らの弱いハンドはよりベターなハンドからフォールドを得ることができ、彼らの強いハンドはポットを大きくすることで利益を得ることができる。BTNのアドバンテージの大きさを考えると、スタックとポットの比率が許せば、大きなベットが期待できるはずである。

このグラフは100BBのキャッシュゲームシミュレーションのもので、シングルレイズドポットでのBTN対BBである。BBがA♠ T♥ 8♠のフロップで50%のポットをチェック&コールし、2♣のターンで125%のポットをベットした後、このグラフのレンジで6♥のリバーを見る。

予想通り、BBはこの状況でレンジの97%をチェックし、BTNはポラライズドレンジで大きなベットを行い、最も高頻度なベットサイズはポットの200%以上のオールインである。

これはポラライズドの極端な例だ。

このようなエクイティディストリビューションに到達するには、BTNはいくつかのレンジをポラライズするアクション(フロップとターンで大きなベット)を取り、BBはいくつかのレンジをコンデンスさせるアクション(チェックとベットコール)を取らなければならず、BBの中程度の強さのハンドがほとんど改善しないようなボード展開にならなければならない。もしリバーでドローが完成したり、ボードがペアになっていたら、EQディストリビューションはここまでにはならなかっただろう。

クイズ:グラフとフロップを一致させる

これらのグラフに慣れたところで、このグラフを使ってフロップを評価する練習をしてみよう。次のグラフは、100BBの6MAXキャッシュゲームにおいて、シングルレイズドポット、UTG対BBのエクイティ分布を、3つの異なるフロップで表したものである: T55r、T86tt、AK6rである。どのグラフがどのフロップを表しているか分かるだろうか。 困ったときのために、ヒントをいくつか挙げておこう。

ヒント

最初のグラフでは、エクイティはほぼ均等に分布している。BBのハンドは平均してやや弱いが、両者ともレンジで大きなアドバンテージはない。両プレイヤーとも可能な限り強いレンジを持っている。

2番目のグラフでは、UTGのレンジはトップエンドを除いて明らかに強い。ハンドの95パーセンタイル付近では、BBの青い線がUTGの緑の線を実際に上回っており、全体的なエクイティの不利にもかかわらず、BBの方が非常に強いハンドを持っている可能性が高いことを示唆している。

3つ目のグラフでは、UTGのエクイティ・アドバンテージは、ハンドの強さのすべてのセグメントにわたって持続している。その最も弱いハンドはBBの最も弱いハンドよりずっと強く、その中程度のハンドはBBの中程度のハンドよりずっと強く、その最も強いハンドはBBの最も強いハンドよりも強い。







解答

最初のグラフはT86ttのフロップである。中位のカードが3枚あるフロップは、特にストレートやフラッシュドローも可能な場合、UTGの強力なプリフロップレンジに追いつく絶好の機会をBBに与える。両プレイヤーともポットを大きくするインセンティブは大きくないが、BBはポジションが無く、エクイティ的にも若干不利である。そこで彼らはフロップで自分のレンジを全てチェックするが、UTGのコンティニュエーションベットはレンジ全体の44%と、UTG対BBの場面としてはかなり低い。これらのベットはほとんどがポットの33%か50%と小さく、UTGのアドバンテージが最も大きい、レンジの弱い部分にプレッシャーをかけている。

2つ目はT55rのフロップである。このフロップではストレートもフラッシュもドローがなく、マッチするカードも2枚しかないため、BBがフロップでエクイティを得るのはかなり難しい。UTGはかなりのレンジアドバンテージを享受しているが、BBのレンジには弱いハンドが多い一方で、トリップスを持っている可能性も高いので注意が必要である。このため、UTGのコンティニュエーションベットは50%程度であり、エクイティアドバンテージの大きさとボードのダイナミズムを考えると低い。繰り返しになるが、UTGがスモールベットを好むのは、弱いハンドがBBの弱いハンドよりアドバンテージがあるからであり、ポットが大きくなりすぎてレンジが強くなりすぎると、このアドバンテージを享受できなくなる。

BBはこのフロップでレンジの約20%でドンクベットをする。ナッツのアドバンテージがあるため、彼らはポットへの資金投入を強要し始め、UTGがポットコントロールする機会を奪っている。

3番目のグラフはAK6rで、BBにとって最悪のフロップの一つである。彼らはミドルペアやトップペアさえも簡単にフロップさせることができるが(彼らの手が突然多くのエクイティを獲得する青線上の2つの "棚 "に注目)、これらのハンドでさえもUTGのベストハンドに比べれば見劣りする。BBはAAやKKを持つことはなく、まれにAKを持つこともある。このレンジのアドバンテージを生かすため、UTGは全レンジをベットし、多くの場合大きなベットサイズでベットする。

結論

これらのグラフを研究することで、どのプレイヤーがどの種類のハンドを多く持っているか、その結果、そのプレイヤーがどの程度の大きさのポットを好むかについて、多くのことを読み取ることができる。このような嗜好が、ベッティングの頻度とサイズを決定する。ゲーム内でこれらと同じ要素を考慮し、ある状況下でこれらのグラフがどのように見えるかを視覚化することで、自分のレンジがベットを好むかどうか、またどのくらいベットするかについて、より良い判断を下すことが出来る。

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記事は以上になります。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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