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【翻訳】バリューベットをする理由【CASH、MTT、セオリー】GTOWブログ.28


バリューの源泉

おそらくあなたはベットをバリューかブラフのどちらかに分類して考えることに慣れているだろう。この分類法では、バリューベットとはコールされることにより価値が生じるハンドを指し、ブラフベットとはフォールドされることに価値があるハンドを指す。セミブラフもあ流。これは、より良いハンドをフォールドさせるためにベットするが、後のストリートでハンドが改善する可能性も大いにある。また、薄いバリューベットやプロテクションベットもあり、コールされたときにそれなりにささやかなメイドハンドで、フォールドさせた場合も相手のEQを否定することで利益を得るようなものもある。

このような用語は便利ではあるが、これらの分類は結局のところ、私たちのちっぽけな脳がバリューと言う物の真のスペクトルを単純化するために考案された人間の発明である。ベットの価値は、以下のいくつかの組み合わせから得られると言った方が正確である:

  • ポットの拡大させる価値 - ベットがコール(またはレイズ)された場合にポットを獲得することから得られる価値。この価値を測る最も重要な指標は、相手のコールレンジに対してハンドがどれだけのエクイティを持っているかということだが、後述するように、他にも考慮すべき点がある。

  • 否定する価値 - 他のプレイヤーにフォールドさせることで得られる価値。ここでの最も重要な尺度は、ベットによってどれだけのエクイティをフォールドさせられるかであるが、やはりこれだけが考慮事項ではない。

簡単な例

シンプルなキャッシュゲームのシナリオを見てみよう。これはシングルレイズドポット、BTN対BB、100BBディープである:

BBが全レンジでチェックした後、BTNはラージベットかチェックのどちらかを選ぶ事が多い。ここでは、最もよく使われる125%ポットベットに限定して考えよう。大きなベットサイズにありがちなことだが、BTNはかなりポラライズされたベットレンジを採用しており、主に非常に強い手と非常に弱い手をベットし、多くの中程度の強さの手をチェックすることを好む。
下の図は、BTNのベットレンジからいくつかのハンドの例と、ベット頻度、125%ポットベットから得られる価値を示している:

AKは素直なバリューベットである。BBがフォールドしたときに得られるエクイティはポットの6%に過ぎないが、BBのコールに対するエクイティは84%であるため、ポットに入るすべてのチップに対して非常に素晴らしいリターンを得ることができる。
反対に、9♣6♣は純粋なブラフである。コールされると8%のエクイティしか保てずひどい結果になるが、ヴィランに74%のエクイティをフォールドさせることができる。
この2つの中間には9♥6♥のようなセミ・ブラフがあり、これらはコール、フォールドの両方からもエクイティを得ている。9♥6♥はBBのコールレンジに対して36%のエクイティを持つので、9♣6♣ほど純粋なブラフではないが、それでも平均して46%のエクイティを持つハンドをフォールドさせる。
22はセミブラフと純粋なブラフの中間に位置する。フラッシュドローよりもフォールドから得られるものは大きいが、純粋なブラフよりもコールされた時のエクイティは高い。
一方、ナッツのフラッシュドローはAKよりは薄いが、純粋なバリューベットに近い。A♥4♥はフォールドからほとんど利益を得られないが、すでにベストハンドを持っている可能性と、フラッシュやツーペアに改善する可能性を考慮すると、コールされたときのエクイティは73%と十分なものである。
BTNがQQを全くベットしないのは、コールやフォールドから大きなバリューを引き出せないからだ。フォールドするようなハンドにドローで捲られる可能性はあまりないし、コールするハンドはQQよりも強いペアであることがほとんどだ。ブラフされるのを恐れて、このような場面でQQをチェックしたがらないプレイヤーもいる。しかし、QQをチェックする理由は、チェックが魅力的な選択肢であることよりも、ベットがそれ以上に魅力的でないことであることを理解することが肝要である。これは単にQQにとって最低のフロップであり、チェックは最もましな選択肢であるというだけだ。

複雑な例

すべてのBTNのベットが上記のスペクトルに直感的に当てはまるわけではない。例えばQ♥9♠はコールされたときのエクイティが12%しかないにもかかわらず、高頻度でブラフをする。9♣6♣のような他のブラフに比べ、フォールドから得られるものははるかに少ない(エクイティは52%のみ)。では、なぜこのようなブラフが魅力的なのだろうか?
ヒントはQ9oのすべての組み合わせがベット候補になるわけではないということである。BTNはハートがあるQ9oでしかベットしないが、その場合でもQx9♥よりもQ♥9xをベットする頻度が高い。Q♥が相手の手札に無いという事は、相手がフォールドする可能性が高くなる - しかしそれだけではない。Q♥9♠をベットした場合のEVは、Q♣9♦をベットした場合のEVよりもはるかに高いことに注意して欲しい。
その理由を理解するには、ポットを大きくすることの利点を理解しなければならない。BTNは勝つ可能性が高いなら、ポットを大きくすることで利益を得る。エクイティは勝つ可能性が高いということの大まかな近似値であるが、それはハンドがショーダウンになった結果としての勝ちしか考慮していない。BTNが勝つもう1つの方法は、その後のストリートでブラフに成功することである。

BTNがQ♥9♠を持つ時のターンのダブルバレル戦略を見てみよう

BTNがドローに発展した場合、再度ベットすることは魅力的である。もちろん、これはストレートやフラッシュに改善する可能性を反映したものであるが、多くのブランクのリバーでも、このハンドはブラフを続けることができる。ハートが3枚ボード上にあれば、Q♥は強力なブロッカーとなる。この可能性を見越して、BTNは、コールされたときのエクイティは低いが、フロップの早い段階からこのハンドでブラフを始めることができる。このハンドは多くのランアウトでショーダウン時のエクイティに頼る必要がないため、コールされることはそれほど悪いことではない。このハンドは大きなポットでのブラフの有力な候補であり、そのEVはフロップのベットに組み込まれている。
同様のことがAKとA♥4♥でも起こっている。これらのハンドはコールされたときのエクイティが高いだけでなく、ターンやリバーの多くでバリューベットが予想されるため、ポットを大きくするメリットがある。このため、これらの手のEVはポットのエクイティよりも大きい。
BTNは弱いエースで即座にベットするインセンティブが少ない。A8oのようなハンドはいずれバリューベットするだろうが、3つのストリートすべてにベットする可能性は低いので、すぐにポットを増やすことは重要ではない。さらに、ターンやリバーでブラフキャッチした方が儲かるかもしれない。フロップでポットをコントロールしても、後で価値を失うことはない。

結論

ポーカーは複雑だ。フォールド・エクイティやショーダウン・エクイティはシンプルで正確に計算できるため魅力的な指標だが、これが限界でもある。アーリーストリートでベットすることの実際の価値は、それが目先のエクイティをどう変えるかだけでなく、後のストリートプレイの機会を生み出すかにもよる。
良いカードがフロップしたり、ベストハンドになりそうな手札を持っているからといって、ベットしなければならないわけではない。また、自分のレンジに有利なフロップで非常に弱い手札を持っている場合も同様である。これらの手はいずれベットしたくなるだろうが、フロップでベットする必要はない。
ここから得られるヒューリスティックスは、バリューであれブラフであれ、後のストリートでもベットし続けることが予想できる場合、現在のストリートにベットするインセンティブが高まるということである。複数のストリートにベットする可能性がない場合は、チェックから始めるインセンティブが増える。

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