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【翻訳】ターンドンクベットの使い方と使うべき理由【MTT】GTOWブログ.97

フロップでのドンクベッティング(前のストリートのアグレッシブなプレイヤーに対してリードベットをすること)は、ほとんどの場合正しくなく、誤用しやすい。しかし、ターンとリバーでは、ドンクベット戦略は実行しやすく、戦略的にも重要になる。

その理由を理解するには、ドンクベットが前のストリートのアグレッサーとその対戦相手のレンジ間のエクイティやナッティハンドの分布との関係を理解する必要がある。プリフロップでは、オープンレイザーは常にアウトオブポジションのコーラーよりも強いレンジを持っている。これはほとんどのフロップでエクイティとナッツのアドバンテージにつながる。たとえコーラーがナッツのアドバンテージを持つフロップ(例えば、低いペアボード)でも、レイザーは通常、非常に大きなエクイティアドバンテージを持っているため、コーラーがチェックするのが正しい。コーラーがフロップ前のエクイティの不足を補い、リードベットを考えられるようになるようなフロップは、ほとんどない。

しかし、フロップでチェックしてCbetにコールすると、この分布は全く変わってくる。レイザーは通常自分の最も弱いハンドの多くをベットするが、相手が弱いハンドでコールすることはほとんどない。Cbetをコールした後、プリフロップコーラーは、プリフロップレイザーと同等か、それ以上のエクイティを持っているべきである。

これが平均的なターンでのドンクベットに結びつかない理由は、このアクションがプリフロップレイヤーのナッツアドバンテージを強調するためである。彼らはフロップで最も強いハンドの多くをベットし、その後相手は最も強いハンドをレイズするインセンティブがある。Cbetをコールすることで、コーラーは多くの弱いハンドをフォールドして切り捨て、多くの強いハンドをレイズすることでコンティニューするレンジを強化する。そのため、キャップされたコールレンジには主に中程度の強さのハンドが残り、それらはかなりのエクイティを持ちながらもポットを大きくしたいとはあまり思っていない。したがって、通常ターンではチェックする。

例外はこの力学を変え、それまで控えめだった多くのハンドを、ポットを大きくすることに興味を持つモンスターに昇格させるようなターンカードである。このようなハンドがフロップのベッターよりもコーラーのレンジに入る可能性が高いのであれば、そのプレイヤーは前のストリートのアグレッサーにチェックするよりも、ターンでリードベットする(時には全レンジをベットする)方が正しいこともある。




簡単なクイズ


様々なターンでドンクベットをする理由と方法を説明する前に、あなたがどれだけ直感的に理解出来ているかを見てみよう。有効スタックが40bbの時、UTGが2.3bbでオープンし、BBにコールされる。BBはチェックし、フロップで33%のCbetをコールする。以下の各ボードのテクスチャーについて、GTO WizardがBBに相当なドンクベットレンジを与えるターンカードを予測してみよう。ポイントは、BBの中程度の強さのハンドを多く昇格させる一方で、UTGには同じ効果を与えないターンカードを見つけることである。

問題

  1. J♠5♣3♦

  2. K♠Q9♦

  3. K♠Q5

  4. K♠7♦5





解答


1.J♠5♣3♦


BBは事実上すべてのドンクベットを次のカードで行う:2、3、4、5、6

低いボードのペアカード(5と3)は、UTGのフロップのCbetレンジにあまり存在しない控えめなペアを昇格させる。低いストレートを完成させるカード(2,4,6)は、やはりUTGがプリフロップでオープンする可能性の低いハンドのストレートドローをコンプリートさせる。

Jのボードペアはドンクベットするのにあまり良いカードではない。UTGはプリフロップのオープニングとフロップのCbetレンジにこれらのカードをたくさん持っており、平均してBB側より良いキッカーを持っているからである。このカードはナッツアドバンテージをコーラーに移すものではない。


2.K♠Q9♦


これはUTGにとって特に良いフロップだったので、BBは全体的にドンクベットをあまり行わない。9はUTGよりもBBを助けるカードである。UTGは9-xを持っている事もあるが、BBのレンジに占める割合の方がはるかに大きい。このことはQxやKxには言えない。

このスタックの深さでは、トリップスはナッツとして扱うのに十分である。厳密には、UTGの方がフルハウスを持っている可能性は高いが、それは非常に稀なので、BBがトリップを持っていてもそれを考慮せずにプレイする。

UTGはAJとATを全頻度で参加するので、ストレートを完成させるカード(JとT)は特に良いドンクベット候補ではないことに注意しよう。



3.K♠Q5


KQ9rと同様、ボトムカードのリピートがドンクベットの主な動機となり、セカンドカードのリピートも同様に候補となる。しかし、このボードでは新たな候補が登場する。それはフラッシュを完成させる全てのカードだ。UTGもフラッシュを作るが、BBのレンジはそのようなドローに集中しており、彼らにとっては特に良いターンカードとなる。


4.K♠7♦5


繰り返しになるが、ドンクベットの頻度が最も高いのはボードの低いカードのペアであり、次いでストレートを完成させる6である。しかし、なぜより明白なオープンエンドストレートドローを完成させる9、8、3ではないのだろうか?BBはこれらで少しドンクベットをするが、6ほどではない。

ここで2つのことが起こっている:

  1. 98はBBのレンジの中で86や64よりはるかに多い。BBはプリフロップのコールレンジに98oをほぼ全頻度で持っており、98sのコンボが半分以上あるのに対し、86oはほとんどなく、64oもない。オープンエンドストレートドローはフロップでのチェックレイズの頻度も高いので、BBがこれらのカードでストレートをターンで完成する可能性はそれほど高くない。

  2. 6はストレートを完成させるだけでなく、76oと65oがBBのレンジにほぼ全頻度で入っているため、BBは他のカードよりもツーペアのコンボを増やすことができる。



レイトポジションのレイザーに対峙する場合


UTG対BBはレンジの格差が最も大きくなる。BBのコールレンジにはUTGがオープンするには弱すぎるハンドが多く含まれているため、幸運なターンカードによってレンジが不釣り合いに改善される可能性が高くなる。

プリフロップレイザーがBTNに近づくにつれ、そのレンジは広くなる。BBのコーリングレンジほど広くはないが、両者の差は縮まり、同じハンドが多く含まれるようになる。このため、先ほど我々が特定したキーカード(ドローを完成させるカードやボードの2番目や3番目のカードとペアになるカード)が、オープナーを助ける可能性も高くなる。

オープナーのレンジが広くなると、フロップでのチェックレイズのインセンティブも高まり、ドローはしばしばこのプレイの候補に適している。つまり、BBがチェックし、レイトポジションのオープナーからのCbetをコールした後では、ドローを完成させるカードがBBを助ける可能性は低いということである。

例えば、以下がBTNのオープナーに対するJ53rのボードでのターンのBBのドンクベット戦略である:

ドンクベットに適しているカードはUTGレイザーに対するものと同じだが、全体的な頻度はかなり低く、UTGに対する18%近くからBTNに対しては7%程度である。


どのようなハンドでベットすべきか


どのハンドでドンクベットをすべきか直感を養うために、J♠5♣3♦3♥のボードで40bbのスタックから始まるBB対BTNのシナリオを見てみよう。ここまでのアクションは、BTNが2.3bbにレイズし、BBがコールした後、BBがチェックし、フロップで33%のCbetをコールした。BBはここでレンジのおよそ40%をドンクベットしているが、このようなベットによってどのハンドが最も利益を得て、またどのようなハンドが最も利益を得ないかを知ることができる(BBのドンクベット頻度が70%以上のスポットでは、事実上どのハンドもベット候補となり、パターンを見分けるのが難しい)。

まず、3♥ターンのBBのエクイティヒートマップを見てみよう:

この画像から、ポラライズドベッティングレンジを見分けることができる。BBのほぼ全てのベットは上位50%のハンドと下位25%のハンドから来ており、中程度のハンドはほとんどチェックされている。具体的にどのようなハンドなのか見てみよう:

BBはAかKのキッカーを持っていない限り、トリップスをターンで作った時はほとんどドンクベットをする。これは、低いキッカーがBTNのフォールドレンジをブロックし、BBがチェックした場合のブラフレンジと重なるからである。これにはT9oや87sのような手が含まれる。別の考え方をすると、BBがA3をベットした場合、チェックされたらブラフをするかもしれないハンドの多くがフォールドをするが、73をベットした場合はそうではないということだ。

グリッド上ではBBのベッティングレンジの大部分はトリップスが占めているように見えるかもしれないが、実際にはそうではない。Q3sは2コンボしか無いがJ9oは9コンボもある。J9oを50%の頻度でベットすると、Q3sを全頻度でベットするよりもコンボ数が多くなる。

セカンドペアはBBのドンクベットの大部分を占める。これらのハンドはフェイバリットであることが多く、より弱いハンドからコールされることもある(BTNはAハイをフォールドすることはなく、最悪のKハイだけをフォールドする)。また、T7sのようなハンドのEQを奪う価値もある。これが52sがT5sよりベット頻度が高い理由である: T5はドミネイトしているハンドからブラフをされる事があるが、52は2枚のライブオーバーカードをフォールドさせる確率が高い。

控えめなワンペアのハンドはBBのベッティングレンジの中で最もポラライズされていない部分だ。レイズされると最も厳しい状況になるが(ポラライズされた弱いハンドは簡単にフォールド出来て、トリップスは喜んでコンティニュー出来る)、BBのナッツアドバンテージが相手が頻繁にレイズする事を抑制する。


より深いスタックの場合


ターンでのドンクベット戦略は、スタックの大きさによって大きく変わることはない。一般に、スタックが深いほど、OOPからポットを大きくするリスクが大きくなるため、ドンクベットはやや好ましくない傾向がある。逆に、スタックが非常に浅いと、控えめなペアでドンクベットをするリスクが減るので、頻度が少し上がる傾向がある。しかし、どちらの場合でも、どのターンカードでドンクベットをするかについてのヒューリスティックは共通する。

レンジの構成は、スタックが深くなると少し変わる。BBは通常、フロップで強いドローをチェックレイズするインセンティブが高く、ワンペアのハンドをチェックレイズするインセンティブが低い。したがって、100bbのスタックではJ53rでの全体的なドンクベットの頻度は少し下がるが、Jのターンでは上がる。これは、フロップでのJxのチェックレイズが少ない(またはプリフロップでの3betが少ない)ため、チェックコールレンジにそのハンドクラスが多くなるからである。

ベット頻度の低下はK75rでより顕著であり、40bbのスタックで16%、100bbのスタックで11%のBBはドンクベットしている:
スタックが深いほど、ナッティなドローではフロップのチェックレイズが多くなり、ワンペアのハンドでのチェックレイズは少なくなる。

BBがストレートをコンプリートするターンカードでドンクベットすることは、ディープスタックではあまりない。なぜなら、彼らはフロップでより多くのストレートドローをレイズしているため、チェックコールのレンジにこれらのドローが少ないからである。


まとめ


ターンでのドンクベットは、フロップのドンクベットよりも簡単で収益性が高いので、学習レパートリーに加える価値がある。留意すべきポイントは以下の通り:

  • 自分のレンジに多くの新しいナッツクラスのハンドを作るターンカードを探す。通常、ドローを完成させるターンや、フロップの2番目や3番目のカードがペアになるターンカードである。

  • ドンクベットは小さく、ポットの20%程度にする。こうすることで、ナッティーハンド(主にベットすべき)だけでなく、シンバリューとプロテクションからも恩恵を受けられる中程度のペアにも対応することができる。

  • 迷ったら、ほとんどのターンでチェックする事をデフォルトのアクションにする。ターンカードがボードカードの9以下とペアであれば、ベットする事をデフォルトのアクションにする。このヒューリスティックは、レンジ格差の大きさによって変化させる。

プリフロップレイザーがオープンレンジを広げると、このような低いボードのカードではより多くのレンジが重なることになる。
ドンクベッティングのスキルを練習する準備は出来ただろうか?このドリルでトレーニングして欲しい。UTGのレイズと33%ポットのCbetをコールしたBBとしてプレイし、ターンでドンクベットをするか、フロップのアグレッサーにチェックするかを決める内容である。



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