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【翻訳】ICMプリフロップレンジに対するCbet戦略【ICM、MTT】GTOWブログ.111

あなたはマルチテーブルのトーナメントでアーリーポジション(EP)からレイズし、BBがコールした。有効スタックは25bbで平均的なチップ量である。対戦相手やフロップについての詳細な情報が無くても、BBはほぼ間違いなくあなたにチェックするべきである。あなたは通常スモールベット(ポットの25%程度)し、BBはそのようなスモールベットに対して予想出来る以上のハンドをフォールドするはずである。

これはすべて、あなたと相手のプリフロップにおけるインセンティブに基づいている。EPからオープンするには比較的強いハンドが必要であるのに対し、BBはアクションをクローズし、良い価格を得ているため、はるかに広いレンジでコールすることができる。そのため、EPはほとんどのフロップでかなり強いレンジを持っており、このアドバンテージを利用して安いブラフやシンバリューベットをしたり、脆弱なハンドをプロテクトすることができる。このスタックの深さであれば、最も強いハンドであっても小さなフロップベットは気にならない。なぜなら、ターンとリバーで通常のサイズのベットをして、残りのスタックを全て投入できるからである。

しかし、ハイカードのないフロップは、プリフロップレイザーのプランに波乱をもたらす。EPレイザーであっても、このようなフロップでは多くのアンペアハンドを持っている。それらを全てベットするとチェックレイズに対して脆弱になる。従って、このようなフロップではチェックを多めにし、ベットするときはポラライズドレンジで大きめにベットするのが正しいことが多い。

とにかくChipEVシミュレーションでは、そのように示されている。ただし、ICMを考慮すると、通常はより小さなベットサイズと、BBからのコール頻度の減少が推奨される。

この記事を書いている時点では、GTO WizardではポストフロップのICMシミュレーションを利用することはできませんが、新しい「カスタムレンジ」機能を使ってこの2つ目の要因の影響をテストすることが出来る。ポストフロップのICMを考慮しなくても、BBのプリフロップのコールレンジが(ICMによって)狭くなれば、UTGレイザーからのCbetサイズは小さくなるのだろうか?調べてみよう。




プリフロップレンジ


ICMはプリフロップレイザーとBBのコーラーの双方に、多少異なるレンジの構築を促す。しかし、その違いはBBの方が劇的である。ChipEVシミュレーションでは17%であったUTGのレイズレンジは、フィールドの25%が残っているICMシミュレーションでは18.3%になり、少し広がった。

以下は有効スタック25bbのUTGオープニングレンジのChipEVとICMの比較

ChipEV
残り25%のICM

しかし、BBはChipEVシミュレーションでは67%のハンドをコールしていたのが、フィールドの25%が残った状態のICMシミュレーションでは40%まで減少した。このようなフォールドは主に、低いカード、コネクトしないスーテッドハンド、1ビッグカードと1スモールカードのコネクトしないオフスーツハンドから来ている(ビッグカードを持たないハンドはチップEVシミュレーションでも既にフォールドしていた)。

BB 25bb コールレンジ:ChipEV対ICM

ChipEV
ICM


Cbet戦略への影響


このBBのプリフロップレンジの劇的な変化は、UTGのCbet戦略に大きな影響を与える。これを実証するために、両方のレンジを使用してポストフロップのシミュレーションを行った。すべての場合において、ポストフロップシミュレーションはChipEVモデル(つまり、どちらのプレイヤーのポストフロップ戦略もICMを考慮しない)と同じベットサイズオプションを使用している。

ChipEVのレンジを使ったシミュレーションでは、UTGは5♥4♦2♣のフロップで60%以上のハンドをベットし、80%サイズポットが最もよく使われるベットサイズである:

ICMシミュレーションのプリフロップレンジを使うと、彼らは自分のレンジの半分をベットするのがやっとで、80%ではなく50%ポットサイズをベットすることがほとんどである。

繰り返すが、これらのポストフロップシミュレーションはICMを考慮していない。もしそうであれば、UTGがより小さく、より低頻度でベットするインセンティブがさらに高まるだろう。それでも、傾向は明らかである。ICMを考慮すると、BBはより強いコールレンジを持つはずであり、このことはプリフロップレイザーにとってCbetをより好ましくないものにする。

どちらのシミュレーションでも、UTGの大きなベットはオーバーペアによってもたらされている。88のようなハンドは、現在は非常に強いハンドであり、より悪いハンドからコールされたり、6つの生きたアウツを持つハンドをフォールドさせたりすることができる一方で、多くのターンやリバーでベットし続けるほど強くはないため、即座にチップを投入するメリットがある。

これらのオーバーペアは常にBBの広いChipEVレンジに対して80%ポットをベットする。BBは小さいペアをフロップでヒットさせる可能性が高く、より良いハンドをフロップする可能性は低いためだ。

BBのタイトなICMレンジに対して、これらのオーバーペアはベットにインディファレントで、80%ではなく50%ポットをベットすることがほとんどである。BBはペイオフできるセカンドベストのハンドをそれほど持っておらず、さらに大きなポケットペアを持っている可能性さえある。


異なる例


カスタムソリューションの集合分析を見ることはできないが、ChipEVモデルでプリフロップレイザーが大きなCbetサイズを使うような他のフロップをいくつか見ていくことで、これらのパターンが他にも現れるかどうかの確信を得ることができる。

8♥7♥4♦はフロップストレートを可能にするという特徴を持っているが、フラッシュドローを追加し、UTGのレンジからすべてのガットショット付き2オーバーカードやAxのハンドを取り除く。しかし、ChipEVとICMレンジのソリューションの比較は同じパターンを示している: ICMレンジのUTGはBBの強力なレンジに対してベットする頻度を減らし、80%ポットベットレンジを持たない。

以下は25bb UTG対BBのChipEVレンジの戦略

以下は25bb UTG対BBのICMレンジの戦略

繰り返しになるが、この変化をもたらしているのは控えめなワンペアである。BBのレンジにスモールカードが少ないため、バリューベットの対象が少なくなり、チップをポットに入れる動機が少なくなる。


大きく異なる例


さらに驚くべきことがA♥7♥6♦で起こる。ChipEVレンジを使ったシミュレーションでは、80%のポットベットをほとんど使わず、レンジ全体で50%サイズのポットベットを好む:

ICMのレンジを使ったシミュレーションでは、実際は80%のポットベットが多く使われている!

この戦略では、チェックの頻度も17%多くなっており、ここで何が起こっているのかを示す手がかりとなっている。

これまでの例と同様に、UTGはBBの強いコールレンジに対してプレイする場合、平均してポットに入れる金額を減らしている。先の例では、UTGはChipEVレンジに対してポラーなベッティング戦略を取っていた。BBのレンジを強くしたとき、UTGの戦略はその極性を維持したまま、ベット額は少なく、ベット頻度も小さくなった。

A♥7♥6♦の場合、広いBBのChipEVレンジに対するUTGの戦略はリニアで、50%ポットのレンジベットであった。

ICMレンジに対しては、全体的にベット頻度が少なくなり、ややポラーな戦略に移行する。ベットする事に関心を失ったハンドは、今回も控えめなペア、この場合はポケットペアと弱いAxである:

これらは悪いハンドではないが、BBのレンジにはスモールカードが少ないため、ベットした時に7xや6xからコールされる可能性が低い為にベット頻度が低くなる。


ディープスタックの例


この最後の例では、有効スタックを40bbに変えて5♥4♦2♣のフロップを再検討する。以下はChipEVレンジを使った戦略である:

ICMレンジになるとこのように変化する

より深いスタックでは、UTGはまだ大きいサイズを使う事があるが、今まで見てきたパターンは変わらない: UTGはチェックすることが多く、BBの強いレンジに対してビッグベットすることは少ない。


まとめ


ポストフロップ戦略はそれ単体で存在するわけではない。相手のプリフロップのレンジが大きく変われば、ポストフロップの戦略も大きく変更すべきである。

ICMの場合、これは通常BBがChipEVモデルよりもはるかに強いコールレンジを持っていることを意味する。その結果、プリフロップレイザーのレンジアドバンテージは減少し、それに伴いポットへの資金を投入することが少なくなるべきである。

ポストフロップで戦略を控えめにする代わりに得られる補償は、プリフロップでのフォールドが増えることである。ICMのプレッシャーが高い場合、あなたのオープンレイズはプリフロップでポットを獲得する事が多くなり、これは良いニュースである。しかし、その代わりにポストフロップでブラフを仕掛けたり、バリューを得る機会が減ることを受け入れる必要がある。




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