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【翻訳】ターン戦略の基礎【MTT、セオリー】GTOWブログ.37


ターンの特徴は?

ターンは他のベッティングストリートと異なる点がいくつかある:
・ハンドの価値はフロップよりも固定的である。自分がリードしている時はリードし続ける可能性が高く、ビハインドの時は逆転する可能性が低い。
・ハンドの価値はリバーよりも動的である。残り1枚でバリューハンドになる事もある。これはジレンマとなる。もう一度ベットしてエクイティを否定し、レイズされるリスクを負うか、チェックをして怖いリバーカードを見るリスクを負うかである。
・SPRは低くなる。フロップでアクションがあった場合、有効なスタックはターンではかなり浅くなる。ターンはしばしばプレイヤーが全てのスタックを賭けてプレイするかどうかを決めるポイントである。
・ベットの機会が限られる。ターンの後はベッティングストリートが1つしか残っていないため、スロープレーはフロップの時よりもリスクの高いアイデアとなる。フロップでアクションがなかった場合は特にそうである。

これらの要素はすべて、フロップよりも「素直に」プレイするストリートになる、という事につながる。ポットが大きくなり、ベットの機会が少なくなると、プレイヤーは自分のハンドの強さに従って、そのハンドクラスが何であるかを明らかにするリスクを冒してでも、プレイせざるを得なくなる。

・プロテクションから得られるものが少なくなるため、中程度の強さのハンドはチェックし、安くショーダウンを狙うインセンティブが強くなる。
・強い手には、大きなベットでポットを大きくするインセンティブがある。もう一度しかその機会は訪れないのだから。弱いハンドは大きなブラフにコミットするか、あきらめるかのどちらかである。フロップでよく起こるように、小さなベットで「エクイティをプッシュ」する余地は少ない。
・ドローは最も厄介な決断を迫られ、均衡状態ではインディファレントになる事が多い。一方では、フォールドエクイティがこれまで以上に重視されるため、セミブラフは魅力的である。しかし、レイズされる事により自分のエクイティが危険に晒されるリスクは、チェックするインセンティブと競合する。

ターンプレイとフロッププレイの違い

多くのプレイヤーがターンで苦労するのは、フロップのプレイから学んだヒューリスティクスを適用しようとする誤った試みが原因である。フロップはより多く遭遇するベッティングストリートなので、より馴染みがある。また、フロップのシナリオはターンのシナリオに比べてはるかに少ないため、概念化しやすく研究しやすい。しかし、これまで見てきたように、ターンのシナリオには異なるレンジの力学とインセンティブが含まれるため、最適戦略が全く異なるものになる可能性がある。
このK♠️ 8❤️ 4♦️ UTG vs BB 100BB NL50キャッシュゲームのシナリオは、差別化されていないフロップ戦略の良い例である。33%と50%のベットサイズの間で多少の分割はあるが、UTGは基本的に全レンジで小さくベットするだけである。

BBがチェックしたのちに33%のCbetをcallすると、その戦略はターンで劇的に変化する。多くのターンで、チェックはUTGの最も一般的な行動である。チェックしない場合は、そのアクションの多くがオーバーベットになる。

この違いにはいくつかの要因がある。フロップでは、UTGは大きなレンジのアドバンテージを享受しており、より強い手とぶつかる事を恐れずにマージナルなハンドでもベットすることができた。この小さなベットレンジに強い手を入れることができたのは、まだ2ストリート残っており、後のストリートで大きなポットを作るチャンスがあるからである。そして、残りのストリートで2枚のカードを見る事が出来、後ろにたくさんの資金があれば、必要ならチェックレイズをコールするつもりで、ドローでベットすることができる。
ターンで全てが変わる。BBはエクイティの不利を解消し、ほとんどのターンでより強いレンジを持つようになった。これはUTGがもはや安易にベットできないことを意味する。中程度の強さのハンドはベットする動機が少なくなる。フロップですでにある程度のプロテクションをしているし、カードはあと1枚しかないので、ドローされる危険性は少ない。UTGの強いハンド群は、フロップの小さなベットを埋め合わせるために、積極的にポットを大きくし始める必要がある💪
つまり、彼らはフォールドエクイティを最大にするために、弱い手でも大きくベットすることができる。フラッシュドローは引き続きベットするが、よりマージナルなドローとマージナルなハンドがチェックレンジの大部分を占める。これらのハンドは相手のチェックレイズによってエクイティを吹き飛ばされるリスクが高く、リバーカードで機能的なナッツになるアウツがに少ないため、ポットを大きくするモチベーションが少なくなる。
以下の画像はK♠️8❤️4♦️のフロップで、33%のCbetを行いQ♠️がターンで落ちた時の戦略である。純粋戦略をとるハンド、つまりベットかチェックを明確に好むハンドに特に注意しよう:

フロップで全レンジを小さくベットした後、UTGはこのターンでレンジの40%をベットし、ほとんどのケースでポットより大きい額をベットする。
UTGはドローがあるボードにもかかわらず、ワンペアのハンドをチェックすることを明らかに好んでいる。サードペア、セカンドペア、そしてほとんどのトップペアはチェックする。一方、ツーペアとセットの多くはベットするが、唯一の例外はKKとQQである。これらのハンドは、大きなベットにペイオフする可能性の高い相手のハンドをブロックし、スペードのリバーでフルハウスになることもあるため、ドローハンド相手にも強い。
ドローはそのインセンティブが明確でないため、分類が難しい。ペアのフラッシュドローやエースだけのフラッシュドローは、ショーダウンバリューが向上しないため、ブラフをする動機が少ない。しかし、ストレートドローは、JJ、TT、99のようなBBのフォールドレンジにあるポケットペアをブロックしてしまっている。
UTGにとって最悪のカードである8♠という全く異なるターンカードでも同じパターンが見られる:

UTGは、BBの最適戦略として、彼らの強いハンドを多く含むレンジがドンクベットされることを考慮しても、全体的に多くのハンドをチェックする。BBがドンクベットする場合、通常は小さいサイズであり、ハーフポットが最も一般的である。それでも同じパターンがある。強い手は一貫してベットするが、唯一の例外はフルハウスとクアッズで、これは悪いブロッカーを持っており、ドローに逆転されるリスクも少ない。ほとんどのトップペアを含む中程度の強さのハンドは常にチェックする。ドローには様々なインセンティブがあり、フラッシュドローはストレートドローよりもベットする事が多い。

最も好ましくないボードではどうなるか?

K84rのフロップはUTGにとって特に有利なフロップであり、そのためUTGは全レンジをベットすることができるが、有利でないフロップでベット頻度を減らしてベットレンジとチェックレンジを分割した後のターンでも同じ原則が適用される。例えば9♠️8♠️6❤️では、UTGは自分のレンジの半分以下をベットし、やはり小さなサイズを好む:

オーバーカード、ボードペア、フラッシュドロー、ストレートドローがすべて可能であり、テクスチャーが様々に変化するため、このボードのターン全てを一括りにするのは難しい。しかし、いくつかの例外を除いて、よりポラライズされたレンジでベット頻度を低く、大きくすることはが示されている

ここでの特筆すべき例外は、UTGのベストカードとワーストカードである。BBのレンジには7xが多いので、オフスーツの7は最悪である。ナッツアドバンテージがなければ、UTGはBBのマージナルなハンドにポラライズされたレンジによる大きなベットでプレッシャーをかけることができないので、小さなベットを使う。一方、エースとキングはBBよりもUTGを助けることが多いので、UTGはこれらのカードが落ちたターンで高い頻度でダブルバレルをする。

有効スタックが浅くなるとどうなるのか

ソリューションは、より浅いスタックでは全く異なって見えるが、同じ原則が適用される:強い手はポットを大きくする。中程度の強さの手はポットをコントロールする。弱い手はブラフかギブアップする、ドローはフォールド・エクイティとエクイティリアライザーションの間を行き来する。変わるのは、ドローハンドの構成と、競合するインセンティブの相対的な重要性である。

・強い手とみなされる閾値は下がり、オールイン時にリスクにさらされる資金が少なくなる。
・リバーまでにスタックを入れるために大きなベットは必要ないため、ベットサイズは小さくなる。
・リバーでベットする残りの資金が少なくなるため、ドローの価値が低くなる。
以下は同じK♠️8❤️4♦️Q♠️のシナリオだが、有効スタックは20bbである。どのような変化に気づいただろうか?

  • UTGの最も一般的なベットサイズはオーバーベットではなく50%ポットである。これは、彼らがリバーでAIしたいときに、気楽にAIするのに十分なSPRだからである。

  • トップペアはより頻繁にベットする。20BBしかないので、KTやKJのようなハンドはスタックを全て投入してプレイするのに十分強く、ポットコントロールのためにチェックすることはない。

  • セカンドペアのベットが多くなる。これらのハンドはレイズされるとほとんどフォールドしてしまうが、UTGのベットサイズは小さいので、より薄いバリュー/プロテクションベットをすることができる。

  • ドローのベット頻度が減る。ナッツをリバーでドローした場合の報酬が少なく、ドローの価値が低くなる。また、レイズされるリスクも高くなる。

  • トップセットのスロープレーが多くなる。ナッツをスロープレーする主なリスクは、ポットを大きくできないことである。有効なスタックに対してポットが既に大きい場合、あなたにペイオフしているハンドをブロックしているようなハンドでスロープレーをするインセンティブが高くなる。

  • UTGはより頻繁にベットする。ベットサイズが小さいため、両極化されたベットレンジには入らない弱い手がベットをするようになる。UTGは依然としてレンジの中くらいのハンドでチェックすることに重点を置いているが、ベットサイズが小さいので『中くらい』が指す範囲は狭くなる。

結論

様々なターンのシナリオを通して、同じパターンが浮かび上がってくる。ハンドの価値はフロップよりもターンの方がより明確に定義され、より明確なインセンティブを持ち、より明確にそのインセンティブを追求する。
ターンでのミスは、そのインセンティブがフロップのときと、時にはリバーのときとでどのように異なるかを見誤る事から生じることが多い。

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