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【翻訳】ポーカーにおける期待値(EV)とは何か【セオリー】GTOWブログ.7
期待値(EV)はポーカーにおいて最も基本的な指標である。あなたが下すすべての決断は、リターンを最大化するという共通の目標に支えられている。そのためには、一つ一つの行動の長期的な収益性を考慮する必要がある。
期待値とは、特定のプレイで長期的にどれだけの勝ち負けを期待できるかということである。
EVはどこから来るのか
全員がすべてのハンドをチェックダウンするゲームをしたとしよう。エクイティが均等に配分されるため、誰も有利にならないのは明らかだ。利益を得るためには、公平な取り分よりも多く勝つ必要がある。
では、EVはどこから来るのか?最も純粋な形での期待値は、自分のエクイティを対戦相手よりも効率的に整理することから生まれる。つまり、適切な種類のハンドをベットとチェックのプレイラインに入れること、サイジングの活用法を知ること、継続するのに十分な利益を生むハンドと手放すべきハンドを知ることである。
ポーカーでチップを獲得する方法は2つしか無い。ショーダウンでポットを獲得するか、他のプレイヤー全員をフォールドさせるか、だ。このため、HUDは、結果のグラフを赤線と青線で整理し、ショーダウンの有無で獲得チップを表示する。つまり、EVには2種類あるということになる:
ショーダウンEV - ショーダウンで勝ったチップ/負けたチップ
フォールドEV - ショーダウンせずに勝ったチップ/負けたチップ
フォールドEV(エクイティを否定して、より悪いハンドをフォールドさせる)
フォールドEVの最も基本的な側面の一つは以下である。
あなたに勝つ見込みのない手をフォールドさせても得をすることはない。あなたに勝つ可能性のある手をフォールドさせることで利益を得るのである。
リバーでナッツを持っている場合、より悪いハンドにポットにチップを入れさせる事でしかEVを得ることはできない。これが「ショーダウンEV」を得る最も単純な例である。より悪い手をフォールドアウトしても何も得られない(あなたがしていることは、「ショーダウンEV」を「フォールドEV」にシフトしているだけである)。相手の勝率0%の手札をフォールドして得をするのは、その手札が後のストリートであなたのエクイティをブラフで奪う可能性があった場合だけである。
例えば、あなたがターンでトップ2ペアでベットし、相手がフラッシュドローをフォールドしたとしよう。あなたは、あなたをアウトドロー出来る、より悪い手をフォールドさせるでEVを得るが、悪い手があなたにコールすることでもEVを得る。あなたをアウトドロー出来る悪い手のエクイティを否定することは、フォールドエクイティの一形態と考えることができる。
通常、より悪い手札にコールされることを望む。しかし、そのような悪いハンドがあなたのハンドに対して高いインプライドオッズを持っている場合、そのようなハンドがフォールドする方が実際に好ましいかもしれない。これは、自分のエクイティをオーバーリアライゼーションさせるという概念につながる。
薄いブロックベットの例
例えば、あなたがセカンドペアを持っていて、アウトオブポジションで、リバーでブロックベットしたとしよう。あなたは時々あなたよりも良いハンドにコールされ、時々悪いハンドにコールされ、時々レイズされ、いずれにせよあなたが勝っていたハンドをフォールドアウトすることになる。より悪いハンドをフォールドさせることで、何か得るものがあっただろうか?
答えはイエスかもしれない。フォールドさせたあなたより悪い方のハンドは、あなたがチェックしていたら、あなたのペアをブラフで下ろしていたかもしれない。このブロックベットはショーダウンEVがマイナスになる可能性さえあり、それでもベストなプレイの場合もある。これが、コールされたときにエクイティが50%以下のバリューハンドをソルバーが時々OOPでブロックベットする理由である。
EVの相対性
期待値に関する最も一般的な誤解の一つは、「フォールドは常に0EVである」というものである。しかし、これはフォールドを0と定義する場合にのみ当てはまる。EVをハンドの開始時点からのスタックの差として測ることもできる。この考え方も同様に有効である。
あなたが11bbに3ベットし、25bbの4ベットに直面したと想像して欲しい。もしフォールドすれば、あなたは11bbを失ったことになる。これを100回繰り返せば1100bbを失うことになる!では、フォールドが常に0EVだとしたら、これはどういうことだろう?
4betに直面したときの判断から見れば、元の11bbのレイズはサンクコストであり、フォールドは0EVと考えることができる。あなたのスタートスタックから見れば、フォールドは11bbの損失である。どちらの視点も有効である。あなたがしていることは、異なるEVの計測方法を比較しているだけである。
EVは常に何かとの相対的な関係で測られることを理解することが重要だ。フォールドを0EVと定義するなら、コールのEVはフォールドのEVに対する相対的なものである。
例を挙げよう。あなたはBBでAQsを3ベットし、BTNから25bbの4ベットを受けた。あなたにはフォールド、コール、オールインの3つの選択肢がある。GTOウィザードでこれらの選択肢のEVを見ると、次のようになる
![](https://assets.st-note.com/img/1702541066287-uGf7FRlAyO.png?width=1200)
4ベットに直面したときの判断から測ると:フォールドは0bb、コールは4.02bb、オールインは2.58bb。上記の数字は誤解を招く可能性がある。これでは、コールもオールインも「儲かる」ように見える。
その代わりに、ラウンド開始時のスタックに対するEVを測っていたとしたらどうなるだろうか
![](https://assets.st-note.com/img/1702541287652-FDBkNMuBfA.png?width=1200)
フォールドは-11bb、コールは-6.98bb(フォールドより4.02bbマシである)、オールインは-8.42bb(フォールドより2.58bbマシ)。
つまり、どのように考えても、コールは最良の選択肢であり、フォールドよりちょうど4.02bb良いアクションである。しかし、あなたは3つの負けるアクションの中から、最も負けの少ないアクションを見つけようとしているのだということを理解する必要がある!EVの文脈を理解するためには、この概念を認識することが重要である。ポーカーでは、このようなギリギリの「最小限の負けを試みる」スポットが常に起こる。
EVの計測単位
EVを測るには様々な方法がある。最も一般的なのは「BB」や「ビッグブラインド」で測る方法だ。しかし、チップやポットシェア(パーセンテージ)でEVを測ることも出来る。例えば、あなたが3bb勝つと予想し、ポットが5bbだった場合、あなたは60%のEVを持っていると言える(EQの測定方法と同じ、ポットシェアパーセンテージで測定)。この測定の結果、100%以上のEVを持つことも出来る。これは単純に、長期的にポットを獲得し、さらにその先のポットも獲得できることを意味する
EVをパーセンテージで測定することは、物事を客観的に見ることができるという利点がある。例えば、2bbは多いか?もしポットが1000bbなら、それは非常に僅かなものであるが、もしポットが5ベットなら、それは重要なものである。
トーナメントプレイヤーはさらに一歩踏み込んで、ICM、DCM、FGSのようなものを使ってEVをトーナメント価値に変換しなければならない。チップEVをトーナメントEVに変換する複雑さについては、後の記事で説明する。
EVの定義
EVは、将来のすべての行動を包含する加重平均である。最も単純な定義は次のようになる:
EV = (結果1の確率 x 結果1の結果) + (結果2の確率 x 結果2の結果) + (結果3の確率 x 結果3の結果)...
ボックスメソッド
結果の可能性をすべて挙げる。(ボックスを作る)
それぞれの結果が起こる確率とその結果を求めよ。(ボックスを埋める)
それをすべて方程式にまとめ、計算する。(ボックスを解く)
計算例
例1
簡単な例から始めよう。例えば、あなたが25%のエクイティのドローでポットサイズのオールインに直面しているとしよう。コールした場合、勝ちか負け(引き分けを除く)の2つの可能性がある。勝てばポットを獲得し、相手のベット額も獲得する。負けた場合、ポットサイズのベット額を失うことになる。
勝ち: 25% (+2ポット)
負け: 75% (-1ポット)
![](https://assets.st-note.com/img/1702544341517-ocL4b9yAQM.png?width=1200)
EV = (25% x 2) + (75% x -1) = -0.25 pot
平均してポットの25%を失うことになるので、これは明らかに良いコールではない。
例2
ここで、相手がハーフポットのオールインをし、あなたのエクイティが35%だったとしよう。あなたは1.5ポット(相手のハーフポットベット+ポット)を勝つために0.5ポットのリスクを負っている。
EV = (35% x 1.5) – (65% x 0.5) = +0.2 pot
平均してポットの20%を得ることになる
例3
もう少し複雑にしてみよう。トップペアでリバーにポット(10bb)をベットするオプションがあるが、相手が突っ込んできてフォールドさせられるかもしれない。
チェックバックした場合のエクイティ:70%
コールされたときのエクイティ 55%
相手がオールインする(そしてこちらがフォールドする)20%の確率で発生
相手は50%の確率でフォールドする
相手は30%の確率でコールする
バリューベットをするには薄すぎる状況だろうか?
こちらがベットしてコールされた場合の結果= (55% x 20bb) + (45% x -10bb) = +6.5bb
相手がフォールドした場合の結果= +10bb
相手がレイズした場合の結果= -10bb
EV bet = (fold% x 10bb) + (call% x 6.5bb) + (raise% x -10bb)
EV bet = (50% x 10bb) + (30% x 6.5bb) + (20% x -10bb) = +4.95bb
やった!ベットは+EVだ!ということは、ベットした方がいいってことだろうか?いや、選択肢を吟味する必要がある。
チェックバックのエクイティは70%で、ポットの70%を獲得することになる。(7bb)
EV (bet) = +4.95bb
EV (check) +7.00bb
ベットは2.05bbの価値を失う。なぜなら、ブラフでエクイティを削られ、悪いハンドをフォールドさせ、より良いハンドにコールされることが多いからだ。ここでは明らかにチェックが最良の選択である!
完全な図は次のようになる
![](https://assets.st-note.com/img/1702545188859-lKoIn7N3Us.png?width=1200)
EVから他のポーカーの指標を導く
ポーカーのあらゆる指標は、EVの方程式から導き出すことができる
ポットオッズから始めよう。ポットオッズとは、ベットをコールするのに必要なエクイティのことだ。例えば、OOPがリバーでハーフポットをベットしたとしよう。IPがこのコールをするために必要なエクイティはいくらだろうか?
これを解く古典的な方法は、簡単な方程式を使うことである:
必要なエクイティ = (コール) / (コール後のポット)
ハーフポットのベットの場合:0.5 / 2 = 25%、IPがこのベットをコールするには少なくとも25%のエクイティが必要。別の言い方をすれば、IPは少なくともポットに投入した金額と同じだけの資金を回収する必要があるということである。
しかし、これは期待値を使って計算することもできる。この方法の利点は、損益分岐点以上のものを計算できることです。あるベットサイズと一定のエクイティがあれば、どれだけの利益や損失があるかを正確に知ることができる。
EV = (Win% x $Won) – (Lose% x $Lost)
$Won = 1.5 (the pot + villain’s half pot bet)
$Lost = 0.5 (the amount to call)
Win% = EQ
Lose% = 1-EQ
EV = (EQ x 1.5) – ((1-EQ) x 0.5)
EVを0に設定することで損益分岐点を見つけることができる:
0 = (EQ x 1.5) – ((1 – EQ) x 0.5)
1.5 EQ = 0.5 (1 – EQ)
3 EQ = 1 – EQ
4EQ = 1
EQ = ¼
EQ = 25%
つまり、ブレークイーブンのコールをするには25%のエクイティが必要なのだ。
アルファとは、あなたがエクイティ0%のブラフをブレークイーブンにする為には、相手がどの程度フォールドすればいいのか、を意味する。古典的な方程式は次のようになる:
リスク/(リスク+リワード)
ここで、リスクはブラフの金額、リワードは相手がフォールドした場合に得られるポットである。ハーフポットブラフの場合、リスクは0.5、リワードは1である。
0.5 / (0.5 + 1) = 33.3%
しかし、相手がその頻度よりも多くフォールドしたり少なくフォールドしたらどうなるだろう?その場合、ブラフはどれくらい儲かるのだろうか?それを知るには期待値の方程式を使えばいい!
EV = (pot x fold%) – (bet x call%)
では、EVを使ってアルファを導いてみよう:
損益分岐点を見つけるためにEVを0に設定する:
0 = (1 x fold%) – (0.5 x call%)
0 = fold% – (0.5 (1 – fold%))
fold% = (1 – fold%) / 2
2 fold% = 1 – fold%
3 fold% = 1
fold% = ⅓ = 33%
IPのMDF: OOPが0%のエクイティハンドでのブラフで利益を得るのを防ぐためにIPがコールしなければならないハンドの割合を指す。これはすでに上で計算した1-αに等しいので、正確な導出は省略する。
MDF = pot/(pot+call)
MDF = 1 / (1 + 0.5) = 66.6%
Or simply 1- alpha.
結論
ハンドを評価する術は微妙で複雑であり、マスターするには一生かかるかもしれない。EVは、あなたがポーカーで決断を下す際の重要な指標である。
だからといってテーブルで複雑な計算をする必要があるのだろうか?もちろんそんなことは無い。ポーカーは実際にはもっと直感的なものである。しかし、自分の決断を正しく考えたり、ソルバーを理解したり、テーブルの外で適切な分析をしたりするためには、EVの仕組みを理解する必要がある。テーブルの外で様々なシナリオを経験することで、何が良い戦略で、何がそうでないかをよりよく理解できるようになるからだ。
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