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【翻訳】直感に反するコール【セオリー】GTOWブログ.53

GTOウィザードが提供するようなソルバーの計算結果は、ノーリミットホールデムのモデルであり、実際のポーカーの状況であなたが実際に何をすべきかの完璧な青写真ではない。ゲームを研究し、その根本的な戦略原理をよりよく理解するための道具として考えるのが一番である。

ソルバーを使って勉強する場合、彼らが特定のハンドでどんなアクションをすることを勧めるかだけでなく、なぜその行動を勧めるのかを把握することが不可欠である。 アーリーストリートのアクションのEVは、今後のストリートをどうプレイするかに大きく依存する。例えば、フロップで33%ポットのコンティニュエーションベットに対するソルバーの反応を記憶して完璧に再現できたとしても、その後のストリートでフォールド、コール、ブラフ、バリューベットするタイミングを知らなければ、ソルバーが予想するEVを捉えることはできない。

アーリーストリートでのアクションの予測値を把握するには、様々なランアウトや対戦相手の様々なアクションに対して、それぞれのハンドが自分のレンジの中でどのような役割を果たすかを理解する必要がある。強いメイドハンドや強いハンドへのドローの場合、それらの役割を理解するのは簡単で、将来の多くの状況における正しいプレイも直感的に理解できる。

しかし、なぜ特定のハンドが特定のレンジに表示されるのか、また後のストリートでどのようにプレイすればよいのかが明らかでない場合もある。ソルバーの出力でこのような結果が出た場合、単に肩をすくめてソルバーの言うことを鵜呑みにすべきではない。むしろ、直感に反するアクションの価値がどこから来るのかを理解し、それらのトリッキーなスポットを処理できる自信が持てるまで、ソルバーが後のストリートで推奨するものを調査すべきである。そうでなければ、将来のミスによって、理論上推奨されるアーリーストリートのアクションで得られると予測される以上のEVを失うことになるかもしれない。

このレッスンでは、自分自身でそのような調査を行う方法と、小さいサイズのCbetに対してソルバーが推奨する「直感に反する」コールの意味を理解する(そして利益を得る!)のに役立つ、いくつかの一般的なヒューリスティクスを紹介する。



バリューのためのポートフォリオ

ハンドのバリューがどこから来るかは明らかなことがしばしばある。トップペアでCbetをコールする場合、あなたのバリューのほとんどは、ベストハンドとしてショウダウンする事、そしておそらくブラフをかわすこと、あるいは後のストリートであなた自身でバリューベットをすることから生まれる。フラッシュドローでコールする場合、あなたのバリューのほとんどはフラッシュをメイクすること、そして理想的にはメイクした後にもう1、2ベット勝つことである。

しかし、このようなハンドであっても、一筋縄ではいかない。時にはトップペアでも、激しいアクションに対してフォールドしたり、ブラフに変えたりする必要さえある。フラッシュドローがミスしたときにブラフをかけるべきときもあれば、そうでないときもある。のちのストリートでの判断が適切でなければ、これらをコールしたときのバリューをすべて得ることはできないが、それでもほとんどのバリューを得ることはできる。これらのコールのバリューの大部分は、簡単に認識できる1つのソースから来ているため、見つけるのは簡単である。

下の図は、MTTの有効スタック40bbのBTNvsBBのSRP。J♦ 6♦ 2♣ のフロップにおける33%ポットCbetに対するBBの反応を示している。

もちろん、トップペアやフラッシュドローは決してフォールドしないが、いくつかの直感に反するようなコールが散見される。バックドアフラッシュドローのあるK9は、ダイアモンドがただの9であっても決してフォールドしない。本当にガットショットやバックドアドローをチェイスするためにここでコールするのだろうか?

ソルバーはそのようなハンドをチェイスするためだけにコールすることは勧めない。これらのハンドは、ペアにアップグレードすること(53でもペアにすれば勝てる可能性がある!)、そしてブラフすることからもバリューが生まれる。

ストレートやフラッシュに改善することは大きなバリューがあるが、めったに起こらない。ブラフやペアへの向上はそれ以下のバリューしかないが、頻繁に起こる。どれも単独ではコールを正当化できないが、それぞれ十分なEVの蓄積になっているため、53のノーダイヤでコールすることは、フォールドするよりも1bbほどバリューがあるはずである...後のストリートでどうするかわかっていればの話だが。この「バリューのポートフォリオ」を視覚化する一つの方法は、BBの5♥3♥のEVをターンカード別に表にすることである。ガットショットの期待値はターンの期待値の約57%を占めている。しかし、これらのターンのバリューには、ストレートをリバーでヒットする可能性のEVも含まれていることに留意しよう。

フォールドしても良い状況

後のストリートのプレイを決めるのはボードだけでは無い。対戦相手のアクションは、あなたのハンドの価値とそれをどうすべきかを決める重要な要素である。

フロップをコールするときは、なぜコールしたのか、何を期待しているのかを心に留めておくとよい。53の場合、あなたは自分のハンドが良くなるターンか、相手のハンドが良くないことを示すチェックを期待している。そのどちらかが出なければ、おそらくあなたはターンでフォールドすることになるだろう。

あなたがフロップをコールしたのは、素晴らしいハンドを持っていたからでも、ポットを勝ち取れると思っていたからでもない。あなたがコールしたのは、4:1のオッズがついていて、まだチェイスする価値のある遠い捲り目のドローがあったからだ。

ターンがあなたを助けなかったとき、あなたの遠い捲り目あるドローの可能性の多くは消えてしまう。ガットショットがドロー出来る可能性は半分になる。もし相手が再びベットしてきたとしても、おそらくそのような良い価格は提示しないだろうし、仮に安い値段をベットしてきたとしても、あなたのハンドの価値はフロップ時よりも低いので、十分な価格とは言えないだろう。

ポットのために戦い続ける義務はない。おそらくそうすべきではない。4:1のオッズでコールした場合、ほとんどの場合負けるのが正しい。悪いランアウトで損切りをしなければ、すぐにフロップコールの価値を覆してしてしまう。

例えば、ターンが8♦の場合、53のダイヤなしをチェックし、相手がベットしたらフォールドすべきである。GTOウィザードは33%のポットベットに対してもフォールドすることを推奨している。

ダイヤのある53はこのスモールベットにはフォールドしないことに注意。特に5♦の場合はブラフに適している。このターンはドンクベットの候補にさえなるが、めったに使われないラインである。5♦ 3のこのブラフを見つけられなかった場合、フロップコールのエクイティをすべて実現することはできない。

リバーでブラフを行う

フォールドするつもりでチェックしても、相手がベットするという保証には程遠いので、「あきらめる」ことにはならない。GTOウィザードでは、BTNは56%の確率でこのターンをチェックバックしている。つまり、相手がベットした場合、それは相手のレンジを強化し、自分の弱いハンドの魅力を低下させる、と言う重要な新しい情報となる。

相手がターンでベットしなければ、ブラフを考える合図である。その場合でも、特にバリューの高いブラフではない。Q♥のリバーでは、ダイヤのない53はブラフにインディファレントであり、ダイヤのある53はかろうじて利益を生むブラフになる。

ブラフの候補はこれだけではないからだ。フロップコールの段階で直感に反すると感じたK♦9は、より多くのフラッシュとリバーストレートをブロックするので、より確実に利益を生むブラフとなる。

薄いドローがヒットしたとき

時々、星が一直線に並ぶことがある:ターンで相手がチェックし、リバーでガットショットを決める。最終的なボードはJ♦ 6♦ 2♣ 8♦ 4♥。ポットは10.1bb、スタックは35.7。あなたの53でどうアクションをするべきか?

いくつかの選択肢がある。GTO Wizardはチェック、スモールベット(レイズを誘うことを期待して)、そしてポットの353%のオールインさえもを織り交ぜている。

ストレートを決めるだけでは不十分で、フロップコールのEVをフルに発揮するには、あなたがドローを完成させた時に大きくペイオフされる必要があるということである。チェックやブロックベットをする場合は、相手がフラッシュを持っていることを恐れてコールするのではなく、ベットやレイズに対してオールインするつもりで行うべきである。ヒットしたときの自分のハンドのバリューを理解しないのであれば、追う価値はない。

ペアがヒットした時

ターンでヒットしたサードペアはたいしたことがないように見えるかもしれないが、実は53のEVにとっては大きな恩恵である。フロップのCbetに直面したとき、ダイヤのない53の価値は1bb程度であった。3♥のターンを見ると、その価値は4倍の4bb以上になる。

ガットショットもついている事はバリューの大きな要因であり、ダイアモンドのない86は上位ペアであるにもかかわらず2bbの価値しかない。

つまり、フロップコールのバリューの多くは、弱いペアを作るランアウトによって包まれている。しかし、弱いペアは最もプレーしにくいハンドの一つなので、そのエクイティを理解するのは難しいかもしれない。

例えば、J♦ 6♦ 2♣ 3♥のボードをチェックし、125%のポットベットに直面したらどうするか、 GTOウィザードがBTNのレンジの23%で行うそのアクションに直面したときの対応が以下である

53はピュアコールであり、コールとフォールドの間でインディファレントなミドルペアよりも価値がある。リバーに到達する前では、ナッティのドローを持つ弱いペアの方が、大きなリドローのない強いペアよりもブラフキャッチャーとして優れているのが普通である。

8♥のターンでアクションがチェックスルーし、3♥をリバーでヒットした場合はどうだろう?

あなたのハンドにはショーダウン・バリューがあるので、チェックかポットの10%サイズのブロックベットから始めるべきである。しかし、もしベットやレイズに直面したら、自分のペアをブラフに変えてオールインすべきである。以下はBTNで最もよく使われるサイズである84%ポットベットへの対応である。

53がブラフとして魅力的なのはなぜか。一つは、BTNがベットした時点でショーダウンバリューがほとんどなくなることだ。コールのEVは1bbの10分の1程度である。さらに重要なのは、ナッツだけでなく、セットやツーペアといった重要なハンドをブロックすることである。BTNのターンチェックはほとんどのナッツクラスのハンドをレンジから外す。今持っている可能性が高いナッツクラスのハンドは、リバーで向上したセットや2ペアが多い。あなたのハンドはそのようなハンドをブロックしているため、すばらしいブラフ候補だと言える。

結論

フロップのギリギリのコールから起こりうるターンとリバーのシナリオをすべて研究する方法はない。ここでは、一つのシナリオの表面をかすめたに過ぎない。しかし、あなたにできること、いくつかの重要なシナリオにおいてあなたのハンドがどのようにプレーするかを考えることである。

  • あなたがミスした場合、あなたのハンドはどのような条件でブラフに適しているのか?

  • ヒットした場合、どれくらいのバリューが得られるのか?

  • ギリギリのところまで改善するようなトリッキーな場面ではどう対処すべきか?

ソルバーがこのようなスポットをどのように扱うかを研究することは、他の多くの状況で役に立つヒューリスティクスを開発するのに役立つ。そのようなヒューリスティクスを身につけることで、あなたは「直感的に」これらの直感に反するコールを見分ける事で、それを価値あるものにするのに十分なエクイティを実現する方法や、そしてその収益性を損ないかねない失態を避ける方法を学ぶことができる。

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