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【翻訳】ペアフロップBBチェックレイズへのディフェンスについて【MTT】GTOWブログ.82


これは「BBからペアフロップを攻撃する」の関連記事なので、先にそちらの記事を読んでおくと、より理解が深まるだろう。その記事では、ペアフロップでの小さなCbetに対するBBの最適な反応は、平均的なフロップよりもチェックレイズが多いことが分かった。この記事では、オリジナルレイザーがこれらのレイズにどのように対応すべきかを検討する。

バランスの取れたチェックレイズレンジは、ブラフとバリューを適切な頻度で混ぜることで、ベッターがペアやドローなどの「明らかな」ハンドだけでなく、フロップとの関連性が低い多くのハンドでもコンティニューすることを強要する。多くの場合、バランスの取れたレイズレンジは、ベッターがコールを好む、ナッティなハンドと弱いブラフをミックスしたポラライズドレンジと、ベッターが3ベットを好むような、より高いエクイティを持つセミブラフと薄いバリューベットをミックスしたリニアレンジの両方を含む。したがって、BBのチェックレイズは、フォールドするかどうかだけでなく、レイズするかどうかについても難しい判断を迫る。




Cbetの注意点


厳しい決断に対処する一つの方法は、それを避けることである。フロップでベットしなければ、BBはチェックレイズできない。これは魅力的な論理であるが、BBがペアフロップを積極的にチェックレイズするとしても、レイズはほとんどの状況で最も可能性の低い反応であることを覚えておくことが重要である。レイズを恐れて、BBコーラーに対するCbetの多くの利点を見逃してはならない。一般的には、ベットしてからレイズに対処する方が良い。この記事はそのための道具を提供する。

とはいえ、チェックは多くのペアフロップ、特にBBがトリップスをヒットする可能性が高いフロップにおいて、プリフロップレイザーの戦略の重要な一部である。チェックの恩恵を最も受けるハンドは、通常ペアになっていない2オーバーカードであり、これはレイズされた時に最も厳しい決断を迫られるハンドである。BBに対してCbetをするかどうかについての詳細は、以下の記事で詳しく説明している。


ディープスタックの例


次の図は、有効スタック100bbで33%ポットCbetに対して55%ポットチェックレイズを受けたときのプリフロップレイザーの反応を示している。比較の一貫性を保つために、全ての状況でこれらのサイズを使用したが、これは必ずしもソルバーが主に使用するサイズとは限らないが、この事は結果を無効にはしない。なぜなら対戦相手が常にソルバーと同じサイズを使うとは限らないし、GTO戦略はすべての対戦相手の戦略に対して堅牢であるからだ。ただし、小さいレイズに対してはレイズとコールの頻度をやや多くし、大きいレイズに対しては頻度をやや少なくするべきだということを知っておいてほしい。

まず、どのボードでも、どのスタックの深さでも、IPベッターのフォールド頻度は40%前後であることに注目しよう。これはMDFである。この結果は、IPベッターのコールやレイズの多くが、快適でも明瞭でもないことを意味している。良いペアやドローを持っている時だけコンティニューすることは、全ての状況において正確なMDFを達成する事は出来ない。

BBのブラフのEVを0にするためには、ペアでもドローもない時にもコンティニューすることが必要なこともある。そのタイミングは直感的に理解出来ないかもしれないが、後述するように恣意的なものではない。ペアボードを研究し、よりよく理解することで、この直感を養い、テーブルでよりよい判断を下すことができる。

次に、ベッターが3ベットするよりもコールする方が圧倒的に多いことに注目しよう。これはチェックレイズに直面した時に一般的に言えることで、ペアボードでは特にそうである。このようなボードではトリップスがチェックレイズのレンジの大部分を占め、そのようなハンドは3betされた時に厳しい決断を迫られることはない。

あなた自身がトリップスを持っている場合でも、レイズする必要はほとんどない。ポットはすでに大きくなっており、あなたはポジションを持っていて、あなたのハンドはほとんど逆転される事は無い。相手がブラフをしているのであれば、ブラフを続ける余地を与えるリスクはほとんどない。相手がターンをチェックしても、あなたにはその時点からポットを大きくするという選択肢がある。


3ベット


一般的に、レイズ(3ベット)がベッターのチェックレイズに対する反応のごく一部に過ぎないように見えるかもしれないが、実際には特定のボードでは比較的広いレイズレンジを持ち、他のボードでは非常に小さいか存在しないかのどちらかである。以下は、すべてのX22フロップにおける55%ポットのチェックレイズに対するUTGの反応である。


BTNの反応も似ているが、Xが高いフロップでのレイズが少ない:

あるフロップでは、IPベッターは自分のレンジの25%をも3betする一方で、全く3betしないフロップもある。
3betが多いのは、ローカードのレインボーフロップである。このようなボードでは、BBの中程度のエクイティを持つブラフのほとんどは3betに抵抗する事が難しい。例えばT22rのフロップでは、BBの軽いチェックレイズのほとんどはバックドアフラッシュドローを持つKJsのようなオーバーカードである。UTGがブラフで3betしているにせよ、シンバリューとプロテクションのためにトップペアを3betしているにせよ、これらのオーバーカードにエクイティをフォールドアウトさせることに満足する。

以下はT22rの55%ポットチェックレイズに対するUTGの反応である:


T22ttでは、BBはより強力なセミブラフを持っており、簡単にエクイティを放棄させられることはない。このためUTGはブラフが難しくなり、フラッシュドローからの4betに直面する可能性もあるため、トップペアの3betは好ましくない。また、UTGは自分のフラッシュドローを3betしたくない。フラッシュドローはBBのレイズレンジの一番下に対してはエクイティが高いが、一番上に対してはエクイティが低いからである。
以下はT22ttの55%ポットチェックレイズに対するUTGの反応である:

もしフロップのペアになっていないカードがもっと高かったら、UTGは自分のペアを3betするインセンティブが減るだろう。なぜならプロテクトすべきオーバーカードがほとんどないからである。これがK22rやA22rで3betをしない理由である。これらのパターンはフロップのペアが何であろうと変わらない。プリフロップレイザーがトリップスを持っている可能性が高ければ高いほど、3betする可能性は高くなる。


MDFを達成する


上述したように、ベッターはUTGであろうとBTNであろうと、あるいはその中間であろうと、多くのペアでは無いハンドでチェックレイズに対してコンティニューしなければならない。そうでなければ、相手がどんな2枚のカードでチェックレイズしても利益的になってしまう。前述のT22rのシミュレーションに見られるように、レインボーボードではバックドアドローを持つ2オーバーカードが理想的な候補となる。ツートーンボードでは、フラッシュドローはより自然なコンティニュー候補となるため、良形のバックドアドローの多くがコンティニューされる一方で、UTGのレイザーは発展性がない2オーバーカードをフォールドする。

レイトポジションのレイザーは、より広いレンジを持っているため、より多くのハンドでコンティニューしなければならない。BTNはTT2rで2枚のオーバーカードをフォールドすることはなく、1枚のオーバーカードと複数のバックドアドローがあるほとんどのハンドをコンティニューする。実際、彼らはバックドアの無いエースハイやキングハイのハンドのほとんどをコールする。

これらは均衡状態において特に利益のあるコールではなく、改善されなければターンのベットにフォールドするが、ターンベットが必ずしも来るとは限らないことを覚えておくことが重要である。相手がまだしていないターンベットを恐れてフロップでオーバーフォールドすると、フロップで積極的にチェックレイズし、コールされたら諦めるプレイヤーにエクスプロイトされることになる。また、同時にフロップでほとんどチェックレイズをしないプレイヤーや、ターンで必ずベットをしてしまうプレイヤーを(無意識的に)エクスプロイトすることになる。どんなエクスプロイト戦略でもそうであるように、必ずしも間違いではないが、意図的に行うべきものであり、その逆のアクションよりも相手をエクスプロイトする可能性が高いと確信している場合にのみ行うべきものである。


ミドルスタック


UTGであろうとBTNであろうと、40bbでの55%ポットのチェックレイズに対するプリフロップレイザーの反応は、100bbでの反応とよく似ている:


有効スタックが40bbの場合、両プレイヤーとも中程度のポケットペアでスタックの全てをポットに入れている。
最も顕著な違いは、フロップにスモールペアが含まれるときとAAxのフロップで3betが増えることである。ベッターはまた、オープンエンドストレートドローが可能なボードで3betをするインセンティブが強くなっている。以下のグラフは、ペアフロップでの20%のCbetに対するBBの反応を示している:


これらは関連した現象である。有効スタックが40bbの場合、レンジが最も強いUTG vs BBの対決でも、両プレイヤーは中程度のポケットペアでスタックを入れている。このようなハンドでスタックを全てポットに入れるすることに気乗りしないかもしれないが、このようなハンドは非常に脆弱であり、相手が実際にプロテクションのためにより低いペアをレイズしている可能性がある為、レイズする動機が強くなる。あなたが88で3betしたとき、あなたはフォールドを望むかもしれないが、もし相手がオールインをした場合、ポットにはチップが沢山あり、まだベストハンドである可能性がある為、フォールドする事は無いだろう。

以下は533rでのUTGの3betレンジである:

薄いバリュー/プロテクションに重きを置いており、AKとAQでさえこのカテゴリーに入る、なぜならBBがオールインすればコールするからである(BBは自分のオールインレンジにミドルペアとこれらのハンドにドミネイトされているセミブラフハンドを持っており、AK/AQはトリップスの最も多いコンボをブロックしている)。UTGがレイズする強いハンドでさえ、純粋なバリューではなく、フォールドエクイティからかなりの利益を得ているため、ブラフは非常に少ない。

これが、コネクテッドボードで3betが増える理由である: AK、AQ、A5のようなハンドはBBの76をポットから押し出すことに喜びを感じる。76は彼らに対してライブアウツを持っているからだ。またミディアムペアは64sや42sに対してかなり有利なため、喜んでより多くの資金をポットに投入する。これらのミディアムペアはモンスターのようには感じられないかもしれないが、このフロップではスタックを全て投入するのに十分な強さを持っている。しかし、これ以上強くなることはなく、プロテクションの恩恵を受けているので、両プレイヤーともフロップから積極的にプレイし、いざとなったらスタックオフする動機がある。

AAxボードで3betも、ドローに対してエクイティをチャージおよび/または否定する為に行われる。UTGは、フラッシュドローやブロードウェイストレートドローがあるボードで3betを多く行う。


実際、GTOウィザードはAAxのフロップはどちらのプレイヤーもトリップスを多く持つためベットサイズを小さくすることを好む。しかし、3betの戦略は似ている。これは33%ポットのCbetと33%ポットのレイズに対してのUTGの反応であり、通常小さいレイズはややアグレッシブな反応を引き起こすという注意点がある:


ショートスタック


スタックが浅い場合、両プレイヤーはよりアグレッシブにプレーする。オールインするのに十分な強さを持つハンドが多く、エクイティのプロテクトと否定することが非常に重要になる。以下のチャートは、20bbのスタックで33%ポットのCbetと55%ポットのチェックレイズに対するUTGとBTNの反応を示している。


上述の表は、比較のためにベットとレイズのサイズは前のチャートと同じにした。しかし、GTO Wizardはスタックが浅い時に、より小さいサイズのベットやレイズを好む。UTG対BBの対決では、UTGは20%のCbet、BBは33%のレイズを使うことが多く、これは他のスタックの深さに見られる反応と同じである:

小さなベットサイズは、BBがより頻繁にレイズし、BTNがよりフォールドしなくなるという結果をもたらすが、3betの頻度は先のシミュレーションと一致していrる。スタックが20bbの場合、UTGがはるかに多くのハンドでスタックの全てを賭けることが出来ることと、ペアボードではこれらのハンドがプロテクションの恩恵を受けることが多いという2つの事実はどう整合するのだろうか?なぜUTGは、他のシミュレーションで見られたように、T22rのボードで全ての中程度のペアをファストプレイしないのだろうか?

ここで働いている要因は3つだ:

  1. UTGは小さなベットと小さなレイズに対しより多くコールする必要がある。コールするハンドの多くはかなり弱いため、BBにターンをベットし続ける動機を与える。その結果、UTGはペアでトラップを仕掛け、ベットを誘発する動機が高まる。

  2. このような浅いスタックでは、もしUTGがより良いペアでBBをクーラーすることに成功すれば、コール後に悪いランアウトが落ちた後でもスタックを全て投入出来ることが多い。例えば、BBがT22rでT6をチェックレイズし、ターンでKが出た場合、彼らはベットを続けることはしないが、チェックしてベットをコールするだろう。UTGはJJやATをバリューベットし、3betで得られるはずだったバリューのほとんどを得ることができる。そして、これは最悪のシナリオである。より安全なターンでは、BBはベットを続け、またレイズをコールする。

  3. UTGは、BBがフォールドするか、BBが3betをオールインしたりして、フロップでハンドが終了した場合、ポジションの価値を失う。深いスタックの場合、3betはBBがコールしてターンとリバーでポジションをない状態でのプレイを強制させるが、20bbではレイトストリートをプレイする余地はあまり残されていない。従って、IPのプレイヤーは、BBに次のストリートをOOPでプレイさせる為にコールすることを好む。

BBは即座にハンドを終わらせるインセンティブが強く、インポジションのプレイヤーは今後のストリートでプレイさせるインセンティブが強い。
この最後の要素は、BBが20bbのスタックでUTGよりも積極的にフロップをレイズする理由の大きな部分である。同じように、OOPのBBには即座にハンドを終わらせる動機があり、インポジションのプレイヤーにはレイトストリートでプレイを続ける動機がある。33%のベットと55%のレイズでは、いずれにせよプレイする余地はあまりなく、それがUTGがよりアグレッシブに反応した理由である。しかし、20%のベットと33%のレイズなら、コールしてターンでポーカーをプレイする余地があり、この事はしばしばUTGにとっての利益になる。


まとめ


ペアフロップは、他のフロップとは異なるハンドの評価を必要とするため、どのようなスタックサイズでもプレイするのが難しい。フロップに結びつくことが難しいため、両プレイヤーはどんなに弱いペアでも、また多くのペアでないハンドでもポットを争う動機がある。通常レイズレンジはマージされ、両プレイヤーとも、セミブラフ、脆弱なハンドのプロテクト、そして相手がブラフで利益を上げすぎないようにするために必要であれば発展性のあるペアでないハンドでレイズにコールもする。

ディープスタックの場合、プリフロップのレイザーのレンジにトリップの多さにより3betの頻度が決定する。その制限の中で、彼らの3bet戦略は、いかに効果的に相手のエクイティを否定出来るかが重要になる。

ミドルスタックになると、戦略はさらにアグレッシブになり、IPベッターは薄いバリューとプロテクションのために、どんなペアや最高のアンペアハンド(AK、AQ)でも3betすることが多くなる。BBのチェックレイズレンジにストレートドローがある場合、3betはより魅力的になる。
浅いスタックでは、プリフロップレイザーはCbetサイズを小さくし、将来のストリートでのポジションの価値を保つ為に3betを控える動機がある。一見控えめで脆弱なワンペアのハンドでも、トラップとして機能することがある。それが不可能な場合は、エクイティのプロテクトと否定の為に、フロップではよりアグレッシブにプレイする事になる。



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