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【翻訳】BBからペアフロップを攻撃する【MTT】GTOWブログ.80


ペアボードは、プリフロップのレイザーとBBのコーラーの両方に独特の課題を提示する。ペアやドローをヒットすることの難しさから、両プレイヤーはボードとの明確な関連性がない手でベット、レイズ、コールする事を強いられるのである。このようなプレーは、他のボードタイプでのCbetやチェックレイズ戦略ではあまり見られないものだ。

しかし、「ペアボード」という広範な分類には多くのニュアンスが隠されている。スタックの深さ、プリフロップレイザーのポジション、ペアの大きさ、さらにはフロップの3枚目のカードの大きさまでもが、最適な戦略に重要な影響を与える。




全体像


以下のグラフは、ペアフロップで33%のCbetに対するBBの反応を、ペアの大きさに応じて示したものである。下の2行はそれぞれ、すべてのペアフロップと、基準比較のためのすべてのフロップの平均的な反応を示している。



いくつかの傾向がすぐに観察出来る:

  • ランダムフロップと比較して、ペアボードではBBのコールが減り、レイズが増え、フォールドも増える。これは、プリフロップレイザーのポジションに関係なく、またスタックの深さに関係なく当てはまる。ペアやドローがない状態でディフェンスが非常に難しいため、BBはフォールドすることが多くなるが、同時に相手に同じジレンマを抱かせるためにレイズすることも多くなる。

  • ミディアムペアが含まれるボードは、レイズに最適である。一方で、大きなペア、特にエースが含まれるボードはレイズには不向きである。これは、BBのレンジに7、6、5が多く含まれている一方で、プリフロップレイザーのレンジにはブロードウェイカードが多く含まれているためである。どちらのプレイヤーも最小のカードをあまり持っていないため、これらのペアボードは大きなペアほどBBにとって悪くはないが、ミディアムペアほど良くもない。

  • BBは、レイトポジションからのレイザーに対してわずかに多くレイズし、はるかに多くコールをする。これは、レイトポジションからのレイザーのレンジが広いためであり、それに対してBBの多くのペアのないハンドが後のストリートでヒットさせた時に有効である可能性が高いことを反映している。


より浅いスタックのとき


40bbのシナリオと比較すると、下の図に示すように、似たような傾向といくつかの重要な違いがあることがわかる:


40bbではBBはペアのフロップで全体的にアグレッシブにチェックレイズを行う。特に100bbではチェックレイズには不向きであった低いカードのフロップに対してその傾向が強く現れ、AAxのフロップではBTNに対するチェックレイズは劇的に少なくなる。これはBBのプリフロップのコールレンジの違いを反映している。スタックが浅いほど、OOPでのエクイティリアライゼーションが向上するため、BBはプリフロップでやや弱いハンドでコール出来る、よってローカードボードではトリップスをヒットすることが多くなる。しかし、BBはBTNのオープンに対してAxをスリーベットする可能性が高く、AAxのフロップでトリップスをヒットすることが難しくなる。

有効スタックがさらに低くなり20bbになると劇的に戦略は変わる。BBの戦略ではレイズが非常に多くなる。SPRが低いと、どのペアでも、またペアでない手でもスタックオフするのに十分な強さがあるため、どちらがより多くのトリップスを持っているかという問題はあまり意味を持たなくなる。

BBは浅いスタックではフォールドすることも多いが、これはプリフロップのアクションにおける重要な違いを表しているに過ぎない。40bbや100bbの時とは違い、20bbの時のBTNのプリフロップのレイズサイズはわずか2bbである。従って、フロップでフォールドする弱いハンドが増える。



どんなハンドでチェックレイズするのか


上記のチャートでは、あらゆるサイズのレイズをひとまとめにしている。レイズのサイズ別に戦略を分解すると、いくつかの新しいパターンが現れ、どのようなハンドがなぜレイズするのかがわかる。以下は、X22フロップ、100bbでのUTGの33%ポットCbetに対するBBの戦略である。Xの数字は3枚目のカードを表しており、左端の列は222フロップ、次の列は322と続き、右端がA22となる。


3枚目のカードが5からTの場合、BBは小さいレイズを好む。最も低いカードと最も高いカードでは、BBは大きなレイズを好む。これは3枚目のカードがペアになった時のチェックレイズが望ましさを反映している。
T22のフロップでは、BBはT9のような控えめなキッカーでもチェックレイズすることが出来、オーバーカードのエクイティを否定すると同時に、低いポケットペアからバリューを得ることができる。しかし、322のフロップで93でチェックレイズをすると、同じポケットペアに対して自らのハンドのバリューを失うことになる。また、K22のフロップでは、2枚のオーバーカードを持つUTGをポットから追い出す機会がないため、エクイティを否定することはあまり重要ではない。

T22rの33%ポットのCbetに対応するための完全な戦略は以下の通りである。BBがTのペアをコールするよりもチェックレイズする方が多いことに注意しよう:


T9のようなハンドはフォールドから利益を得ることができ、コールされた場合でもUTGのコールレンジには低いポケットペアがあるため、それなりのエクイティがある。彼らが唯一恐れるのは3betであるが、 幸いなことに、BBがほとんど常にチェックレイズするトリップスに遭遇するリスクは、UTGの3betを抑制させる。

BBは2オーバーカードとバックドアフラッシュドローでチェックレイズレンジを補完する。コネクトしないレインボーフロップの場合、これらは最もエクイティの高いドローであり、Tやポケットペアからコールされた時に逆転する可能性の最も高いハンドである。下位のブロードウェイカードは純粋なチェックレイズであり、上位のカードはほとんどコールであることに注意する。AKとAQはすでに優位であることも多く、QJよりもフォールドエクイティが低い。QJはより良いハンドやドミネイトされたハンドをフォールドさせることができ、ターンでペアになった時のエクイティをクリアにすることが出来る。

このレンジには小さいサイズがよく似合う。プロテクションレイズは小さなレイズでもほとんどの望むハンドにフォールドをさせることができ、スモールレイズが誘う軽いコールを歓迎する。QJやKJのようなハンドはフォールドを好むが、逆転する可能性も高いので、コールを誘うことは気にしない。また、UTGの最も強いレンジにぶつかったとき、リスクを低く抑えられるというメリットもある。BBが大きくレイズすればするほど、UTGのコーリングレンジはこれらの弱いブロードウェイカードをドミネイトするハンドに集中することになり、レイズ後にターンでペアになった時の価値が減る。

BBの戦略は322rでは全く異なる:


BBは3xをほとんどコールし、バックドアストレートドローや最強のキッカーを持つ場合のみ例外としてレイズする。レイズする際には、主にトリップスをバリューとした、よりポラライズドレンジを使用し、単一の大きなカードと複数のバックドアドローなどの多くの弱いブラフ候補がレイズレンジに含まれる。トリップスはもちろん、できるだけポットを大きくすることを望み、弱いブラフはできるだけ多くのフォールドを得ることを望む。なぜなら、それらの弱いブラフハンドはUTGのレンジのトップに対するエクイティは、中間のハンドに対するエクイティとそれほど大きく変わらないからである。

この最たる例がA22rで、小さなチェックレイズが完全に消え、BBのレイズレンジはほとんどトリップスとガットショットやバックドアドローのような低エクイティのブラフのみになる。


同じフロップでのBBのレイズはBTNに対しても同様だが、サイズは少し小さい。これは、BTNのレンジにはUTGよりもトリップスが多いため、BBがBTNのワンペアを狙うには少し小さめにレイズしなければならないからである。


BBのBTNに対する対応とUTGに対する対応の最大の違いは、コールの頻度が高いことである。BTNのオープンに対しては、KハイやQハイでコールすることも可能になる。

これらのパターンは、ボードのペアが低いときに最も明確に現れる。どちらのプレイヤーも特にトリップスを持っている可能性は低いが(BBの方がやや高い)。すでに見たように、ボードのペアが高い場合、BBは一般的にレイズを控える。また、プリフロップレイザーがトリップスを持っているリスクが高いため、平均的にレイズのサイズも小さくなる。

しかし、同じ原則は高いペアのボードでも当てはまる。ここでは、QQ7rのボードで、100bbのスタックを持つBBがUTGからの33%ポットベットに対する対応を示している。BBはT22rのときよりも少しレイズの頻度が低いが、同じ種類のハンドでレイズをする:トリップス、7x、時折の低いポケットペア、およびバックドアドローを持つ2枚の大きなカードである。


ミディアムスタック


スタックが40bbになると、322rでのBBの対UTGの戦略はT22rに似てくる。小さいサイズの薄いバリューレイズが増えるのである。トリップスを使った小さなレイズは、リバーまでにスタックが入り切る可能性があるため、犠牲になることは少ない。トップペアは依然としてほとんどコールするが、中位のポケットペアをチェックレイズする余地が増える:


100bbから40bbになっても、BBのA22r戦略が劇的には変わらない。レイズサイズは小さくなるが、それはトリップスでスタックを入れ切るためにそれほど大きくレイズする必要がなくなったことが主な理由である。トップペアからのレイズは少し増えるが、彼らのレンジは依然としてトリップとローエクイティのブラフにポラライズドしている:



ショートスタック


20bbの場合、BBはUTGに対してでさえ、より薄いバリュー/プロテクションのレイズを行う。SPRが低いため、322rのフロップで彼らはバッドキッカーの3でもナッツとして扱うことが出来る。このフロップでの彼らの戦略は、スタックの深い722rとほとんど同じで、ペアの多いレンジからのスモールレイズが多い。BBはもはやポットを作る心配がないため、トリップスをスロープレーすることさえある:


しかし、A22rのUTGに対するBBの戦略はほとんど変わっていない:

同じボードでBTNレイザーと対戦するのは別の話である。BBのレイズレンジはずっと広いとはいえ、実際にはまだポラーである:

BTNの広いレンジと、BBがプリフロップでAxやポケットペアをオールインする強い動機があったことから、BBはすべてのAxをバリューのためにレイズすることができ、そのレイズを多くのブラフでバランスさせる。実際、BBにはコールするのに適した候補が無い!すべてのハンドがバリューとしてレイズするのに十分強いか、フォールドエクイティに頼らざるを得ないほど弱いかのどちらかになる。


結論


ペアフロップでのCbetに対するBBの対応は、スタックの深さ、プリフロップレイザーのポジション、ボード上のペアのランク、及びペアでないカードのランクによって変わる。平均的なフロップよりも常にレイズとフォールドが多いが、そのレイズレンジの構成は状況によって劇的に変化する。

極端な例としては、プリフロップレイザー側が特に大きなレンジアドバンテージを享受している状況があり、これは通常、レイザーがアーリーポジションで、片方または両方のボードカードのランクが高い場合に発生する。このような場合、BBはトリップスや低いエクイティのブラフで大きくレイズすることが多い。

スタックが浅くなるにつれ、BBは薄いバリューチェックレイズをしやすくなる。SPRが低いほど、トリップスをスロープレイすることも魅力的になる。

もう一方の極端な例として、プリフロップレイザーのレンジが多くのペアになっていないハンドと、ペアになっていないボードカードより下のポケットペアを含む場合がある。これは、レイザーがレイトポジションにいる場合により一般的だが、T22rのような特にドライなフロップでは、UTGのレイザーに対しても発生することがある。このような場合、BBは高いエクイティのブラフや中程度のペアからなる薄いバリュー/プロテクションを含む、よりポラライズされていないレンジでレイズを行う。この際トリップスのほとんどをレイズレンジに含めることで、対戦相手が3betを仕掛けにくくさせる。




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