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【翻訳】チェックダウンされたポットでのシンバリューベットをマスターする【MTT】GTOWブログ.100


自分のハンドの価値を適切に評価すること、つまりバリューベット出来るほど強いのか、それともブラフを考えるほど弱いのかを判断するためには、表向きのコミュニティカードと、他のプレイヤーのアクションという、2つの情報源からの情報を総合する必要がある。

ほとんどのプレイヤーは後者よりも前者に慣れているため、フロップとターンでベットがなかったポットでは大きなミスを犯してしまう事が多い。このようなシナリオでは、すべてのプレイヤーがかなり弱いレンジを持っている可能性が高いため、かなり薄くバリューベットすることができる。また、ブラフをかけるべきかどうかを決めるには、アンペアのハンドのランクが関係してくる。

チェックダウンポットでの正しいリバー戦略を推測するには、3つの要素を評価する必要がある:

  1. フロップでのエクイティ分布はどうだったのか?どちらのプレイヤーがナッツハンドを持っている可能性が高かったのか?

  2. フロップとターンのチェックはこの分布にどう影響したか?

  3. ターンとリバーのカードはこの分布にどう影響したのか?

この記事では、よくある2つのヘッズアップシナリオを検証する:コールドコーラーに対してアウトオブポジションであるプリフロップレイザーのた場合と、プリフロップレイザーがBBに対してインポジションであった場合である。これらの例から、他のシナリオでも役立つヒューリスティクスを導き出す。例えば、オープンレイザーに対してインポジションでヘッズアップする3ベッターは、BBに対してヘッズアップするプリフロップレイザーと共通点が多い。

しかし、その前に、上に列挙した要素をもっと詳しく見てみよう。




フロップでのエクイティ分布


フロップでのエクイティ分布の基礎はプリフロップで決まる。どの程度強いかはフロップのカードによるが、プリフロップのレンジが強いプレイヤーはフロップのレンジも強いのが普通である。また、プリフロップでエクイティが接近していれば、一般的にフロップでも接近している。エクイティの分布はプリフロップから始まっている。

プリフロップレイザーはBBコーラーよりはるかに強いレンジを持っており、BBにとって最高のフロップでも同等にしかならない。このアドバンテージはフロップとターンをチェックした後も消えない。プリフロップのアグレッサーは、ほとんどのリバーでも依然として強いレンジを持っているので、多くのカードで引き続き利益を上げるブラフができるはずである一方、BBはブラフをする際により選択的でなければならない。
オープンレイザーとインポジションのコールドコーラーはプリフロップのエクイティ分布においてはるかに接近しているので、レンジのアドバンテージはフロップのテクスチャにより大きく左右される。


チェックダウンされた後のエクイティ分布


一般的な意見に反して、チェックは「弱い」ものではない。チェックはどちらかと言えば「中程度」の凝縮されていることを表す。非常に強いハンドの可能性は低くなるが、非常に弱いハンドの可能性も低くなる。チェックをする動機が最も強いハンドは中程度の強さのハンドであり、ブラフをするにはショーダウンバリューがありすぎるが、ポットを大きくしたいほどの価値はないハンドである。

これはどちらのプレイヤーにも言えることだが、IPのプレイヤーにはより当てはまる。OOPのプレイヤーは、チェックをしても現在のストリートのアクションを閉じる事が出来ないため、強いハンドをチェックするインセンティブが高い。従って、早いストリートのOOPのチェックはチェックレイズの機会を逃したトラップである可能性が高く、IPのチェックは中程度の強さのハンドである可能性が高い。

とはいえ、リバーカードがボードのテクスチャを劇的に変えない限り、フロップとターンのチェックスルーの後に強いハンドが存在する可能性は両プレイヤーとも少ない。つまり、以前のストリートではバリューベットするほど強くなかったハンドが、リバーでは良いバリューベットになる可能性があるということだ。基本的に、以前のストリートのチェックがそれらのハンドの価値を「昇格」させたという事である。


エクイティ分布を変化させるリバー


どちらのプレイヤーも強いハンドをチェックする動機はあまりない。従って、新しいコミュニティカードが出たときに問うべきことは、前のストリートでマージナルだった(つまりチェックに適した)ハンドが、この新しいカードによってどれだけ改善されたかということである。もちろん、ほとんどすべてのカードがセットやツーペアに向上する可能性はあるが、ここで話しているのはそういうことではない。

注目すべきなのは、目立つカード、つまり多くの新しい強いハンドを生み出す機能がある例外的なカードである。特にAはその代表例である。フラッシュカードや時にはストレートカードもその一例となる。

ここでの主な関心事は、リバーカードが以前のレンジダイナミクスをどれだけ乱すかである。ターンカードによって強いハンドが出現したとしても、ターンでのチェックスルーによって両プレイヤーのレンジは再び縮小されるからである。両プレイヤーがターンをチェックした後では、インポジションのプレイヤーの方がよりコンデンスドレンジを持っているため、通常、以前はマージナルだったハンドを多く改善するリバーカードから通常最も利益を得る。


ヘッズアップでのBB


BBがフロップとターンをチェックし、プリフロップレイザーが2回チェックビハインドをした後のリバーのシナリオは、両者がフロップをチェックした後のターンのシナリオによく似ている。プリフロップレイザーは一般的にまだ強いレンジを持っているが、レンジにcapがあるため、BBは極端なベットやレイズをする動機がある。

例えば、以下はMTTでT♦8♠5♣のフロップで40bbスタックのシングルレイズポットにおけるCO対BBのエクイティ分布グラフである:

COは57%のエクイティを持っているだけでなく、そのレンジは全体的に強い。彼らのベストハンドはBBのベストハンドより強く、彼らのミドルハンドはBBのミドルハンドより強く、彼らのワーストハンドはBBのワーストハンドより強い。

両者がフロップと2♣のターンをチェックした場合、6♥のリバーでのエクイティ分布は以下のようになる:

COは依然として53.5%のエクイティアドバンテージを持っている。彼らの最も弱いハンドでもBBの最も弱いハンドよりもはるかに強くなっているが、これはBTNが早いストリートでブラフをするインセンティブが少なかったことを反映している。しかし、トップエンドではBBがアドバンテージを持っており、これは早いストリートでCOがより多くの強いハンドをチェックするインセンティブがあった事を反映している。

この結果、BBは多くのチェックをすることになる-彼らは弱いハンドが多すぎて全部をブラフすることはできない。そして、彼らの最も良いハンドの約40%といくつかのブラフからの大きな、ポラーなベットが多く見られる。

ボードは T♦8♠5♣2♣6♥ である

これだけの多くのチェックした後では、「トップ40%のベストハンド」には53のような弱いペアも含まれている。16%ポットのブロックベットサイズでは、BBは2のペアでさえバリューベットすることもできる!COはリバーまでチェックするレンジにペアをほとんど持っていないので、BBのブラフをインディファレントにさせるように、ペアのないハンドのいくつかでコールしなければならないのだ。

このグラフから、BBにとってどんな2枚のカードでもブラフするのは利益的ではない事がわかる。なぜなら、BBの最も弱いハンドでさえベットとチェックが混在しているからだ。もしブラフが利益を生むのであれば、BBは常に最悪のハンドをベットするだろう。

また、BBが非常に強いハンドをトラップとしてチェックし、チェックレイズを狙っていることもわかる。「非常に強い」とは必ずしもナッツを意味しない。実際、T2や62のようなマージナルなツーペアでさえ、バリューレイズするのに十分である。

これだけ多くのチェックが続いた後、COはかなり薄いバリューベットを行うことが予想出来る。BBのブラフをインディファレントにするためには、多くのワンペアハンドでチェックレイズをコールする必要がある。

逆に、BBが3回目のチェックを行った場合、COは有益なブラフを仕掛けることができる。下のグラフを見ると、COは最悪のハンドを全くチェックしないことがわかる。

実際、COはA4のような強い手でもブラフをかける。A4はチェックすることでポットを約半分の確率で獲得できると予想されるが、スートによっては、ブラフで少なくともチェック以上に稼ぐことができる。

これはBBのチェックに依るものではなく、むしろCOがプリフロップにオープンレイズするというリスクを取った為である。3betを回避してBBとヘッズアップになった後、COは大きなエクイティアドバンテージを持っており、それを一度だけ活用出来る。つまり、どの時点でベットしても、BBが十分な頻度でフォールドしてくれることを期待できるので、どの2枚のカードでも利益を得ることができる。プリフロップレイザーは、BBコーラーに対して価値のないハンドをショーダウンまでチェックすべきではない。

この有益なブラフはしばしばCbetという形でフロップで現れるが、必ずしもそうする必要はない。COはフロップをチェックしてターンでブラフしたり、両方のストリートをチェックしてリバーでブラフすることもできる。だから、価値のないハンドをショーダウンまでチェックすることはない。ハンドのどの時点でも、1回のブラフ(ただし1回だけ。どんな2枚のカードでもバレルを続けるのは、コールされたときに利益にならない)は利益が出るはずである。

COのバリューベットは実際BBより野心的でない。これは、チェックレイズの脅威と、これは広いバリューベットレンジのバランスを取るのに適したブラフ候補がいないためである。BBと違い、COは2のペアや弱い5ではバリューベットをしない。勝っているハンドにコールされることもあるが、チェックレイズによってハンドの価値が0になることもあるので、無料でショーダウンする方が魅力的である。

BBはアクションを締めくくる力がないため、薄いバリューベットを行う。チェックすると結局ポラライズドレンジからのベットに直面する可能性があり、さらにプリフロップのレンジが広いのでブラフ候補のハンドも多いからだ。


オープナーvsコールドコーラー


プリフロップレイザーがコールドコーラーとヘッズアップしている場合、プリフロップのエクイティ格差はそれほど劇的ではなく、ほとんどのフロップで両者のエクイティは拮抗する。この例では、COが40bbのスタックからレイズし、BTNからコールされた。両者はA♠T♦5♣のフロップと4♠のターンをチェックし、9♦のリバーが落ちた。

AT5rはオープナーに有利なフロップと思われがちであるが、この図から、両者のレンジは実はよく似ていることがわかる:

先に見たように、アーリーストリートのチェックは両プレイヤーのレンジをコンデンスさせたが、その効果はインポジションのプレイヤー(CO)の方がより顕著であった。従って、あまり影響無いランアウトの後でリバーに到達したとき、COのレンジはわずかに強く、よりポラライズされている。COの最悪のハンドはBTNの最悪のハンドより弱く、COの最高のハンドはBTNの最高のハンドより強い。

この結果、COは選択的にベットすることになる-まだチェックレンジに強いハンドを残しておく必要があるのだ。COのベットは2つの明確な領域に分割される。BTNのTxをターゲットにした77%ポットのベットと、弱いペアをターゲットにした21%ポットのベットである。ほとんどのブラフは最も弱いハンドの中から任意に選ばれたもので、どちらのレンジでも同じように機能する。JJ以上のハンドは大きなベッティングレンジに入り、小さなベッティングレンジのバリューの部分は主にTxといくつかのトラップで構成されている。T9は小さいベットに対してバリューレイズをするAxをブロックしていないためトラップとして特によく機能する。

この2つのベットレンジは、エクイティ分布グラフでCOが有利な場所、つまりハンドの25%~50%の部分とハンドの70%~90%の部分に対応している。残りの50~70%とトップエンドの部分では、エクイティ分布がより均等になるため、COによるミディアムベットやオーバーベットはあまり見られない。

T9と99は、ベットしてチェックレイズをもコールできる強力なAxハンドをブロックしていない為、チェックレイズ候補として最適である。チェックレイズのブラフとして、COは9を使うことを好むが、これには理由が2つある:

  1. 9をチェックすることは、チェック・チェックのシナリオにおいてショーダウンバリューがあるため、最初は理にかなっている。BTNがベットして初めて、9のペアはショーダウンバリューを失いブラフの候補になる。

  2. 大きなブラフを狙う場合、9をブロックすることは非常に価値がある(オールインのチェックレイズは250%近いポットである)。モンスターハンドを持つためには、BTNはリバーでハンドが改善するか、フロップとターンでチェックする必要があった。BTNには後者を行う動機がほとんどないため、レイズを喜んでコール出来るようなハンドはT9と99だけで、どちらもリバーで改善されたハンドである。9を持っていれば、BTNがリバーで改善する可能性はかなり低くなり、したがってコールされる可能性もかなり低くなる。

前のシナリオと同様、IPのプレイヤーはCOほど薄くベットしない。COがQ9とJ9をベットするかチェックするかインディファレントなのに対し、BTNはピュアチェックする。


ダイナミックなリバーのプレイ


今までの例はすべて比較的ブランクなリバーを想定している。例えば、J♠のリバーはBTNにとってはるかに有利である:

その結果、COはポットに入れる金額を少なくする。彼らはほとんどチェックかブロックベットを行い、ポットの半分以上をベットすることはほぼない。

BTNは平均して、より頻繁に、より大きくベットする。下のグラフを見れば、シンバリューベットは小さいベットを好み、強いハンドは主に大きいベットを好み、非常に強いハンドはCOのチェックレイズをブロックしないため、小さいベットをトラップとして行うことがわかる。

ここでのもう一つの興味深いパターンは、ブラフがこれらのベッティングレンジにどのように入るかということである。BTNの最も弱いハンドは小さいサイズでブラフをする。COは小さなベットに対して最も弱いハンドしかフォールドしないので、そのフォールドから利益を得ることができるハンドは、それ自体が非常に弱いハンドだけである。BTNが少し強いハンドにブラフをかけるときは、大きいサイズを使う。ショーダウンバリューのあるハンドでブラフをする場合、一般的には大きくベットをするかギブアップするかが理にかなっている。弱いハンドの場合とは異なり、ブラフは、より強いハンドからフォールドを得ることができた場合にのみ行う価値が出るからだ。そして、この場合、それらは比較的良いハンドであり、より多くのプレッシャーが必要となる。


まとめ


ハンドの強さは、コミュニティカードによって可能な組み合わせだけでなく、全てのプレイヤーのアクションを考慮した場合の可能性からも決まる。フロップやターンで誰もベットしていない場合、ベットやレイズに必要なハンドの強さの閾値はぐっと下がるべきである。

これは特に、リバーカードがボードのテクスチャをほとんど変えず、新しい強いハンドを生み出したりすることが無い場合に当てはまる。チェックダウンされたポットにおけるバリューの基準値は、フロップやターンでベットが入ったポットよりも低くなる。ボトムペアのような弱いハンドでも、少なくとも小さなバリューベットには十分かもしれないし、トップペアを上回るようなハンドであれば、チェックレイズの良い候補になる。

ブラフの面でも同じようなことが言える:自分の最も弱いハンドが何であるかを見極めることが必要である。誰も強さを見せていない場合、最高のアンペアハンドはショーダウンバリューが大きいことが多く、良いブラフの候補にはならない。一方、最も悪いアンペアのハンドは、相手の最も悪いハンドをフォールドさせるだけで目的を達成できるため、ポットのほんのわずかな金額でもブラフで利益を上げることができるかもしれない。もし強いハンドでブラフをかけるのであれば、中程度かそれ以上のサイズであるべきで、相手よりも自分のレンジの方がよりキャップされていないのであれば、それは正しいかもしれない。


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