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【翻訳】初心者のためのコンビナトリクス入門【セオリー】GTOWブログ.24

コンビナトリクスとは、任意のハンドの可能な「組み合わせ」(コンボ)の数を評価するための架空の用語である。これにより、特定の場所で何種類のAKを持つことができるか、ブラフキャッチャーに適したハンドは何か、などの疑問に答えを出す事ができるようになる。


コンボ数を数える方法の基礎

ハンドマトリクス

テキサスホールデムでは、1326通りの手札の組み合わせがある。一般的にハンドマトリックスと呼ばれるグリッドで表されることが多い。
ハンドマトリックスを見るだけでは、ポケットペアが13/169の可能性を持ち、スーツとオフスーツがそれぞれ78/169の可能性を持つと勘違いしやすい。グリッドを見て、各ハンドクラスに対応するマスを合計すれば、前述の答えになる。しかし、これはすべてのマスが互いに等しいことを前提としている。幾何学的にはそうなのだが、組み合わせ的にはそうではない。

これが真実である:

各ポケットペアは6通り
A♠A♥, A♠A♦, A♠A♣, A♥A♦, A♥A♣, A♦A♣
各スーテッドハンドは4通り
A♠K♠, A♥K♥, A♦K♦, A♣K♣
ペアでは無いオフスートハンドは各12通り
A♠K♥, A♠K♦, A♠K♣, A♥K♠, A♥K♦, A♥K♣, A♦K♠, A♦K♥, A♦K♣, A♣K♠, A♣K♥, A♣K♦
このことから、ポケットペアは78コンボ(6コンボ×13マス)、スーテッドハンドは312コンボ(4コンボ×78マス)、ペアではないオフスートハンドは936コンボ(12コンボ×78マス)という結論になる。

カードマトリクス

デッドカード

上記の比率はプリフロップでは適用できるが、「デッドカード」がある場合には適用できない。デッドカードとは、プレイヤーの手札にないことが分かっているカードのことである。最も一般的な例は、フロップが配られた時である。フロップのカードはどのプレイヤーも持つことが不可能であるため、デッドカードとなる。
組み合わせを数える最も簡単な方法は、見えていないカードの数を掛けることである。いくつかの例を挙げて説明しよう:
BTNがオープン、BBがコール、フロップはAK2:

Q1.BTNにはAQの組み合わせがいくつあるか?





A.12通り

このうち3/12がAQsで、9/12がAQoであることに注意。

スーテッド: A♦Q♦A♥Q♥A♣Q♣A♠Q♠。
オフスーツ: A♦Q♥ A♦Q♣A♦Q♠ A♥Q♦ A♥Q♣A♥Q♠A♣Q♦ A♣Q♥A♣Q♠ A♠Q♦ A♠Q♣ A♠Q♥


Q2.BTNのAAの組み合わせは?





A.3通り

ポケットペアは少し違った方式を使う。AAの全6コンボから始める。フロップがA♠K♥2♦の場合、A♠は我々のレンジにはない。

ポケット・ペアの使用可能なコンボ数は以下の式で計算できる:

ここで a = ポケットペアのランクのカードの枚数。このシナリオでは、使用可能なエースが3枚(A♥、A♦、A♣)あるので、a = 3と入力する。(3 * (3-1))/2 = 残りAAの組み合わせは3通り。
別の言い方をすれば「3つのものから2つを選ぶ」ということになる。

Q3.BTNのAKsのコンビネーションはいくつあるか?






A.2通り

スーテッドハンドは直感的に数えることができ、計算式は必要ない。A♠K♥2♦の場合、A♠とK♥がボードにあるため、AKのコンボ数は4から2に減る:

全てのAKのコンボ数は以下の式で計算できる:

ここで、a = 1枚のカードのランクで使用可能なカードの枚数、b = もう1枚のカードのランクで使用可能なカードの枚数となる。

A♠K♥2♦の場合、3枚のエース(A♥, A♦, A♣)と3枚のキング(K♥, K♦, K♣)がある。したがって、a = 3 と b = 3 を入力することになり、結果は 9 となる。これらのコンボのうち 2 つはス ーテッドであることが分かっているので、AKo のコンボが 7 つ残る。

その他のカードリムーバル(除去)効果の例

デッドカードは、公開された情報が特定のハンドを不可能にする場合に存在する。しかし、カードリムーバルにはもっと繊細なものもある。そのひとつがブロッカーである。これは、あるプレイヤーが自分のハンドから得られるプライベートな情報、その本人にしかわからないプライベートなデッドカードを使って、組み合わせ的に相手のレンジを狭められることである。

単純なブロッカーの例

ブロッカーはポーカー戦略において、接戦のシチュエーションを左右する重要な要素である。プレイヤーのレンジから特定のコンボを除外することで、アクションにおけるブラフ対バリューの比率の頻度を調整することができる。
この効果を利用できる簡単な例を見てみよう:

🎲 [6Max Cash, 500NL, 100BB].

BTNは2.5BBにオープンし、BBはディフェンスする。BBは33%のフロップCベットと、125%のターンCベットをコールして、J♠5♥2♠K♦8♠のリバーにおいて85%サイズのCベットに直面する。次のうちコールして利益を得られるのはどのハンドか?

K♠9♥
K♥9♠
K♣T♣.
A♥5♦








答・K♠9♥

BBがコールして利益を得る為には少なくとも31.5%のエクイティが必要である(ポットオッズを計算する)。バリューハンドを「ブロック」することで、K♠9♥は他の選択肢のハンドよりもBTNのレンジに対してより多くのエクイティを持っており、利益的なコールをすることができる。BTNはこのリバーでツーペア以上をバリューベットし、エースハイ以下をブラフするので、選択肢のハンドはすべてブラフキャッチャーである。相手のレンジにおけるバリューとブラフの比率は、こちらが持っているカードによって変わるという事だ!

唯一K♠9♥を持っているときのBBのエクイティはBTNのレンジに対して31.5%以上あり、利益的な(+EV)コールとなる。

GTOウィザードでこのスポットを見てみよう。

戦略的な頻度と実際の頻度の乖離

ブロッカーがレンジ内のアクションの頻度を変えるにもかかわらず、ソルバー(GTOウィザードを含む)は戦略的頻度にこの効果の影響を反映させない。このため、戦略的頻度と実際の頻度には乖離が発生する。
この事は、以下に提示するフラッシュボードで明確に示されている:

[6Max Cash, 500NL, 200BB].
HJが2.5BBにオープンし、BBがディフェンス。BBは130%のCベットをチェックコールし、ターンはチェックスルー、BBはQ♠J♠4♥7♦2♠のボードで61%のリバーベットに対してチェックレイズオールイン(407%サイズ)したとする。

戦略的頻度においてHJは19.8%の確率でコールしている(合計5.51コンボのうち1.07コンボ)にもかかわらず、実際には13.8%しかコールしていない(合計3.78コンボのうち0.52コンボ)。
この19.8%という数字にはゴースト(実際には存在しないハンドの)コンボも含まれているからである。

BBはA♠を含むハンドでしかオールインしないが、HJの19.8%のコール頻度にはA♠のハンドが多く含まれている。A♠が含まれるコンボを除くと、コール頻度は13.8%になる。
これは戦略が正しくないという意味ではない。EVの計算にはこの影響を考慮されている。データの解釈と表示の問題である。戦略上の頻度を調べるのか、実際の頻度を調べるのか。いくつかのソルバーには、両方の表示を交互に切り替えられるスイッチがある。

カードバンチング

最後のカードリムーバル効果は、カードバンチングである。プレイヤーはプリフロップでハイカードよりローカードを多くフォールドする傾向がある。そのため、多くのプレイヤーがフォールドすると、残りのプレイヤーとデッキのカードはハイカードに偏る。
3人のテーブルでは、BTNが最初にアクションし、彼らのレンジにある全てのコンボが等しく存在する可能性がある。しかし、6人のテーブルでは、数人のプレイヤーがすでにフォールドしているため、そうはならない。このカードリムーバル効果は、全てのプレイヤーのレンジと戦略、頻度やのちのストリートのランアウトに影響する。

6人のテーブルでUTGがRFIするハンドレンジ

すなわち6人テーブルにおいてBTNのプレイヤーは、そのプレイヤーまでフォールドでまわってきた時に、よりハイカードを持っている可能性が高い事を意味する。このことは、戦略的なオープン頻度を変えなくても、BTNの実際のオープン頻度を変える可能性がある。
この効果を視覚化してみよう。以下のアニメーションは,x人のプレイヤーがフォールドした後の,デック内の2からAまでのカードの密度を示している.ローカードをフォールドする可能性が高いので、デッキに残っているカード(とまだアクションしていないプレイヤーのレンジ)はトップヘビーになることを覚えておいてほしい。

一般的に言って、バンチングによるカードリムーバル効果は、スポットにもよるが、それほど大きなものではない。今回は初心者向けの記事なので、この効果について詳しく説明することはしない。バンチング効果について詳しく知りたい方はこのHRCの記事を見てほしい。

結論

テキサスホールデムでは、78組のポケットペア、312組のスーテッドハンド、936組のペアでは無いオフスーツハンドから成る、1326通りのスタートハンドの組み合わせが存在する。これらの組み合わせのいくつかは、ボードやプレイヤーのハンドやレンジによってブロックされることがあり、利用可能な組み合わせの数はさらに減少する。戦略を立てる際には、このことを考慮し、最適化する必要がある。
カード除去には、デッドカード、ブロッカー、カードバンチングの3つの効果があり、それぞれにユニークな特性がある。
このコンビナトニクス・ポーカー・パズルに挑戦してみよう!
この記事から得られるものがあるとすれば、自分のハンドを直線的に考えるのではなく、直面している相手のレンジとブロッカーの使い方を関連付けて考えることである。テーブルでの幸運を祈る!

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