見出し画像

Renofa Yamaguchi FC 2019 Season Story vol.2「噛み合わない歯車」

あけましておめでとうございます。

昨年はたくさんの方に記事を読んでいただき、私にとっては非常に充実した1年となりました。今年もレノファ山口の話題を中心に記事を書いていこうと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。

さて、全4巻での完結を目指しているこの記事ですが、vol.1を書いてから3週間以上も時間が経ち、気付けば年まで越してしまいました。本日、新チームも始動しましたね。なんということだ。前回の内容なんてものは、きっと皆様の記憶からとっくに忘れ去られている頃かと思いますので、vol.1の記事を以下に貼っておきます。お時間のある方はこちらで復習をなさってから本記事を読み進めていただくと、より楽しめるかと思いますので、是非ご覧になってくださいね。

では、最後までどうぞお楽しみください。



――「2019シーズンのワーストゲームは?」

みなさんはこの質問をされたらどう答えるだろうか。おそらく、第2節の甲府戦を挙げる方が多いのではないだろうか。私も同様だ。そんな試合が、これからチームの完成度をどんどん高めていこうというタイミングで来てしまった。前回の記事で書いたように、プレシーズンのチーム編成の段階からPSMまでかなり順調で、それなりに手ごたえも掴んできた。開幕戦となった強豪・柏レイソルとの一戦では、惜しくも1‐2で敗れたものの、優勝候補相手にチャンスを多く作り出し、その後のシーズンに向けてのポジティブな要素な多く見つかった。そんな中で迎えたのがこの試合。結果論になるかもしれないが、私はこの試合がこの後のシーズンの戦い方を左右する内容になってしまったような気がしてならない。

これから2019シーズンの苦しい時期の振り返りをすることになる。一応先に断っておくが、私は自分の書く記事において、選手や監督を責めるつもりはない。あくまでも彼らのことは尊敬しているし、1人のファンとして大好きだ。特定の選手が嫌いとか、そういうのもない。その上で、ピッチ上やその周辺で起こったことについて自分なりに考察しているに過ぎない。それを踏まえた上で、ちょっと苦しかった第2節から第12節までを一緒に振り返っていただけると大変嬉しい。

第2節 vs甲府(HOME)「残酷なサッカーの神様」

開幕戦に続いてホームでの試合となった甲府戦。スタメンは以下の通りとなった。前節からメンバーを2人入れ替え、並びも変えてきた。

第2節甲府戦スタメン

佐々木を最前列に起用し、ゼロトップのような形に。三幸を一列上げて、アンカーには小野原を起用。中盤は柏戦に比べると守備力を重視した構成だだ。さらに負傷離脱したGK吉満に代わり、山田元気が久しぶりにスタメン起用された。

これまで幾度となくレノファのゴールマウスを守ってくれた山田。しかし2018年は怪我に苦しんだ。年が変わって2019年、ようやく怪我が癒えての公式戦復帰だ。しかし、試合開始早々、彼に試練が訪れることになる。

前半3分、キャンプから取り組んで来ていたというキーパーを含めてのビルドアップを試みるレノファ。攻撃のチャンスを伺いつつ、ボールはDFラインからいったんGK山田元気に戻された。ここで、猛然とプレッシャーをかけてきた甲府FWウタカにそのボールをゴールへ押し込まれて失点。普段はそこまで守備に走らない印象のウタカだが、このプレッシャーについては一瞬スピードを上げて意表を突いてきた素晴らしいものだった。しかし、復帰戦でいきなりミスが失点に繋がってしまった山田の心中を察すると、非常になんとも言えない気持ちになる。しかし、試練はこれだけでは終わらなかった。直後の前半4分、今度はカウンターから縦パスに抜け出したウタカ。キーパーも冷静に抜き去り、ゴールネットを揺らした。その後も守備のミス、特にビルドアップに失敗して自滅というパターンで何度もピンチを招き、終わってみれば2‐5。山下の2ゴールで若干の兆しは見えたものの、あまりにも一方的な試合となってしまい、多くのサポーターがうなだれた。しかし、一番辛かったのは言うまでもなく、復帰戦がこのような形になってしまった山田元気だろう。しかし、霜田監督は試合後に次節も山田の起用を明言。素晴らしいメンタルケアだった。


第3節 vs千葉(AWAY)「手にした初勝利、残った課題」

第3節はアウェイでの千葉戦。レノファにとって待望の初勝利を手にした試合だった。それも5ゴールを挙げて。しかし、手放しに喜べる内容ではなかった。前半5分に瀬川のクロスからオウンゴールで幸先よく先制したレノファ。さらに14分にはジェフの攻撃を支える堀米が一発レッドで退場。正直これが無ければスコアが逆になってもおかしくなかった気がする。レノファは1人多いの中、DFラインの乱れ等も見えたジェフ相手に容赦なく得点を重ねたものの、逆に攻め込まれる場面も目立って2失点。まあ、ジェフが1人少ない中でも得点が必要だったため、失点覚悟で攻めてきたってのもあるが、決して後味が良い試合ではなかった。


第4節 vs愛媛FC(AWAY)

ちょっと振り返りたく無いような試合が続くので、ここからは短めに行くことにする。とにかく、この辺りから攻守の歯車みたいなものが少しずつ噛み合わなくなってくる。タイトルの通りの感想を持った人がそこそこいたと思われる試合。序盤から愛媛にPKを献上して失点、その後不運な形で2点目を与えてしまう。一方レノファも相手DFからボールを奪った工藤がゴールを奪い前半のうちに1点を返す。後半に入ると、この試合で目を覚ましてしまった愛媛の神谷優太が大暴れでチャンスを演出。山口も何度もゴールに迫るが、こういう動きそうな試合に限って、案外動かないもので。結局、両チームとも相手を崩し切らずに得た得点のみで試合終了。なんだか先行きが怪しくなってくるような気がした。


第5節 vs栃木(HOME)

ドストンが代表で離脱。その影響もあってか、菊池・坪井が今シーズン初スタメンとなった。前半早々に元レノファの大崎淳矢をエリア内で倒してPKを献上して失点。一瞬、「淳矢やってくれたな!」と思ったけど全然ダイブじゃなかった。しっかりと倒してました。ごめんなさい。攻撃ではセットプレーを中心にチャンスを作るも無得点。収穫は菊池の武器を再確認できたことか。意外?にもこの日披露されたミドルシュートは強烈で、そのあたりもダビド=ルイス感があった。


第6節 vs琉球(AWAY)

J2初昇格からのスタートダッシュに成功した琉球と対戦。その勢いの前にレノファは先制を許すが、後半、工藤のプレスがキーパーのミスを誘い同点。この人の献身性は本当に助かる。立て続けに佐々木のゴールで逆転に成功。ゴール後は菊池がものまねを披露した例のセレブレーションが飛び出した。このまま首位相手に勝利かと思われた89分、レノファキラー・鈴木孝司のゴールで同点。いや、ライバルの復活はすごくうれしいんだけど、この場面じゃなくていいのよ鈴木さん。サポーターのそんな声が聞こえてきそうな、そして今年の勝ち切れない感じがまた現れてしまった試合となった。個人的には年度末の忙しい時期で行けなかったけど、次こそは沖縄行きたいなあ。


第7節 vs徳島(HOME)

平日のナイトゲーム。なんだか久しぶりに失点もせず、いい感じで試合に入れたなと思ったらパウロのゴールで前半終了間際に先制。小野原のアシストが見事すぎたし、前半は結構攻撃の起点になってた。しかし、久しぶりにいい感じで先制したと思ったら、後半怒涛の反撃に遭い、早々に逆転を許す。その後は逆転のチャンスも作れずにそのまま敗戦。念願の先制点を取りつつ、勝ち切れない。この辺から2017年がフラッシュバックし始める人が出てきたんじゃないでしょうか。


第8節 vs長崎(AWAY)

長崎戦では、ここまで色々と試してきた中盤の構成を開幕戦と同様の形に。前半10分、中盤での見事な連携からインナーラップでゴール前に飛び出した前貴之が角度のないところから沈める。ビューティフル。直後の12分、今後は最終ライン付近でボールを奪ったところから繋いで中盤からのスルーパスに抜け出した高井がワンタッチでゴールへ。このあたりから高井さんに変態ループ癖があることが発覚する。(最大級の褒め言葉)その後のレノファは何度かチャンス作るものの決めきれず。とはいうものの「さすがに2点取ったら大丈夫やろ!(フラグ)」と思ってたら、玉田に2発喰らって無事に追いつかれる。勝ち点1は得たものの、前半の攻撃が見事だっただけに3が獲れなかったことが悔やまれる。


第9節 vs鹿児島(HOME)「持ってる男」

ここまで苦しんでいるレノファ。この日は同様になかなか勝ち点を伸ばせていない鹿児島をホームに迎える。ただ、序盤の鹿児島の攻撃は、ここまで苦しんできているという気配を感じさせるものではなかった。攻守の切り替えが早く、レノファのプレスも見事に剥がされていた。さらに米澤令衣の抜け出しは脅威で、後ろ向きのボールもめっちゃトラップしてた。山田元気のセーブに助けられる場面が目立った序盤だったが、山口も徐々にチャンスを作り出し、後半は攻勢に出る。しかしこちらも決め手を欠き、枠外・ポスト・アン=ジュンスに阻まれる展開。さらにここまで好調だった山下敬大が負傷交代。シーズン開幕からの流れが流れだったため、スタジアムには微妙な空気が流れ始める。しかし終了間際の90分、鹿児島のコーナーキックのボールを掴んだ山田から前線に長いボールが蹴られると、競り合いのこぼれ球を拾った佐々木がゴール前までボールを運び、完璧なスルーパス。しかし、雨の影響もあってかトラップが流れてしまう。雨のバカヤローである。と思いきやこれまた雨の影響か、ボールがキーパーの手からスルり。恵みの雨である。これを押し込んだのはCBの菊池流帆。「なぜそこにCBが?」と思ってしまうが、是が非でも1点が欲しい場面であり、ほとんどの選手が自陣にいる中、相手ゴール前に走れる選手が行くべき場面でもあった。そこに自陣から全力で駆け上がった菊池の判断は素晴らしいと思うし、何よりそのスタミナとスプリント力があってこそ。こぼれ球も予測してきちんと詰めていた。偶然ではなく、彼の素晴らしい能力・判断・プレーの賜物であり、評価すべきところはたくさんある。その上で、そこにボールがしっかりとこぼれてくるあたり、彼は何か持っている男なのかもしれない。神戸サポのみなさん、よろしくお願いしますね。


第10節 vs山形(AWAY)

前節の鹿児島戦、苦しみながらも最後の最後に菊池のゴールで何となく嫌な雰囲気を払拭できた感のあるレノファ。この試合ではついに、「安心・安全」でおなじみのベテラン佐藤健太郎をスタメン起用。三幸とダブルボランチを組む形となった。41分に見せたファール覚悟(?)のタックルという判断・場所なんかはさすがであった。こういう計算できる選手がチームにいるというのは本当に助かる。安心保証付きである。そんな佐藤の働きもあり、無失点で迎えた82分、高井のスルーパスを受けた佐々木がPA内へ持ち込んだところを倒されPKを獲得。これを佐々木自ら決め、試合は1‐0で勝利。自慢の攻撃力発揮とはいかなかったものの、このチーム状態で一番必要な勝利という結果を掴んだ。連勝だ。


第11節 vs金沢(HOME)

ここまで2連勝、3試合負けなしのレノファ。ここからエンジンをかけて、自慢の得点力も発揮して上昇気流に乗っていきたいところ。しかし金沢戦はそんな想いとは裏腹に、完封負けを喫してしまう。序盤から互いに相手ゴールへと迫るものの、決め手を欠く。レノファとしては、結構相手のミスに助けられた。0‐0で迎えた後半開始早々、金沢は右サイドからクロスを入れる。ワンバウンドしたボールをクリアしようとした菊池だったが、目測を誤る。このボールを背後で待っていたフリーのクルーニーに押し込まれる。あのクロスの処理は見た目以上に難しい。気持ちはなんとなく察することができる。しかし、レノファにとって痛恨のミスだったことには違いない。その後、レノファは1点を返せないでいると76分には金沢の前線からのプレッシャーによってボールを奪われ、ゴール前にてショートパスを用いた見事な崩しから追加点を奪われる。試合はこのまま終了し、山口の連勝は2でストップ。上昇気流に乗るのはそんなに容易くなかった。


第12節 vs新潟(AWAY)

佐藤ではなく小野原を中盤で先発起用するも、前半に2点を先制される苦しい展開。レノファもサイドで起用されることの多い高木を真ん中で使ったり、池上を前線で起用したりと工夫を凝らしながら新潟ゴールへ迫るも、2試合連続での完封負け。ここから昇って行きたいというところでの2連続完封負けはなかなかしんどいものであった。


ここまで、vol.1と合わせて第12節までを振り返ってみた。この間の成績は以下の通り。

成績(第1節~第12節)

ここまで振り返った12試合で3勝2分7敗。この結果を見て様々な感想を持たれたと思うが、個人的には「思ってたより勝ち点取れてたんだな」というのが正直な印象。この表だけ見れば、まだまだこれからという感じもする。しかし、こうして一つ一つの試合内容を振り返ってみると、2年目の霜田レノファに掛かる大きな期待とは裏腹に、シーズン序盤ながら早くも「もったいない」と感じる試合が結構見えてきており、チームがイマイチ乗ってこない。スタートダッシュに失敗し、未だにもがき苦しんでいるという状況だ。上昇気流に乗るために、なにかきっかけが欲しいレノファ。なかなか振り返るのも辛いような時期が続いたが、これからシーズンが進むにつれて少しずつ上昇の兆しが見えはじめ、みんな大好きなあの男も登場するぞ。

次回のvol.3では第13節〜第27節「見えた兆し」を配信予定です。今度こそ、読者の皆様の記憶が新鮮なうちに次の記事をお届けしたいと思います。No more 塩漬け。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。







いつもサポートをしてくださる皆様、本当にありがとうございます。