お勧めの聖書アプリについて（アンドロイドの方向け）
今は本当に良い時代だと思う。自分が大学生の時はアマゾンで洋書を買うことも海外のサイトを経由してしかできなかったし、それほどタブレットやスマホのアプリも充実していなかった。今は学ぶのにやる気だけが必要なのだと言えるほど、かつては高価で学生には手がなかなか出なかったものの大半が公開されているのである。その筆頭は何といっても聖書アプリであろう。
まずお勧めしたい聖書アプリはその名も「聖書」というアプリで、各国語の聖書をダウンロードすることができる。無料のものしか使っていないのだが、日本語訳は「口語訳」と「新共同訳」が公開されており、「新共同訳」は音声データもダウンロードして聞くことができる。そのほか学問的に定評のある英訳のNRSV（New Revised Standard Version）もダウンロードしてオフラインで読むことができる。新共同訳に馴染みのある人が多いかもしれないが、口語訳やNRSVはストレートな表現になっていてストンと理解できることが多く、参考になる。このアプリではヘブライ語聖書（WLC）とギリシア語新約聖書（SBL）が公開されており、原語でどんな言葉が使われているのかを確認するのにも有益である。ギリシア語訳旧約聖書（GRCBRENT）やウルガタ訳も見ることができるのは魅力である。ただ、辞書機能は付いていないため、続けて原語を知りたい人のためのアプリを紹介する。
まずは新約聖書のアプリを紹介したい。GNT Readerというアプリで直観的に使うことのできる優れたアプリである。単語をタップすると意味と語形に続いて、新約聖書でその言葉がどのように使われているのかの用例が事細かに引用された一覧を見ることができる。ある程度読めるようになると非常に重宝する機能と言えよう。（そして気になる再生ボタンを押すと現代ギリシア語読みなのであろうか、少し癖のあるかつものすごく速い朗読を聞くことができるのだが、自分でちゃんと読めるようになることが目標なので、あまり聞かない。）とりあえず聖書の原語に興味がある読者は入れておくことをお勧めする。（現在何らかの事情により公開が中止されているようなので、消しておきます。）
次にヘブライ語聖書アプリを紹介する。先に紹介したギリシア語新約聖書アプリと同じ開発者が公開しているもので、こちらは音声データはない。単語をタップすると原型と意味が出てくる。文字に慣れて少し読み始めようと思ったときに手許にテクストと辞書があるようなもので、隙間時間に読むこともでき、気になった箇所を調べるのにも入れておくことをお勧めする。
ヘブライ語聖書とギリシア語新約聖書をインターリニアーに翻訳と読み方と語形と意味とをひとまとめにしたアプリがある。これは学習する段階で読み方が分からないという学習者にとって大きな助けとなるアプリであろう。
単純に新約聖書を英訳と一緒に眺めながら読み進めたいという人のためのインターリニアー新約聖書アプリもある。これは先に紹介したギリシア語聖書アプリのように単語をタップすると詳しい意味の候補を提示してくれるもので、先のものよりもより踏み込んで原文を理解する手掛かりを与えてくれるものである。
ただ単にギリシア語聖書を読みたいという方に薦めたいアプリが一つある。Faith Comes by Hearingという開発者で公開されているGreek Bibleというアプリで、今日の聖句的な機能で一文が毎朝通知されるのだが、その通知される一章をひとまず読むということを通してギリシア語聖書に親しもうという作戦を筆者は取っている。ただしこちらも最初のアプリ同様、辞書機能は付いていない。
以上のアプリで聖書を原語で学ぶための主要なテクストが無料でスマホに入れられ、辞書も付いているわけだが、それ以上にきちんと学問的に研究をされたい方には蛇足になるかとは思うが有料のアコーダンスをお勧めしたい。アコーダンスは語形分析はもちろんのこと聖書辞典や初期教父文書など、必要な文献を適宜追加購入してパソコンとアプリとで見ることができる。学生最後の年に聖書原文パックを400ドルほどで買った覚えがあるが、Eerdman's Dictionary of the Bibleなどはスマホで今でもよく読んでいる。セプトゥアギンタで気になった単語を調べるのにもよく使っている。紙の本を揃えるよりはるかに廉価に手許に信頼のおけるテクストが得られるので、一生使えるものであり、深掘りしたい方には検討を勧めたい。ときどきものすごいセールをしているので、気になる方はチェックをお勧めしたい。
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