繁華街まで歩く

最寄り駅から、商業施設が多くある繁華街まで歩いた。
電車で4駅。
日曜日に体を動かしたくなるときは、散歩代わりにこうしている。
ジムにでも通えればいいが、お金がないから仕方ない。
最寄り駅から少し離れると左手には木々が生い茂り、小さい神社が現れる。
いつも気になって通りすぎるのだか、未だ境内に入ったことはない。
なんなく得体の知れない不気味さがあり、足を止めずに通り過ぎる。
道は住宅地に移行していく。
流れていく景色には、公園や、保育園、産婦人科。そして、わんこ蕎麦屋。
首都圏某所に突如としてわんこ蕎麦が現れる不思議にも、私は足と止めずに通り過ぎる。
隣駅には、10分ほどで着いた。
ここで線路は大きな県道と交差する。
私は横断歩道を渡って緑道に入る。
平行して走る線路が途中で地下に潜り、緑道の下を電車が走る形になるのだ。
犬の散歩させている人がいた。
ゴールデンレトリバーとタイニープードルを連れいている。
犬たちが足元や道脇に生える植物に気を取られ、歩みは遅い。
大型犬と小型犬。
なかなか見ない組み合わせだな、と思いながらタイニープードルの横を通り過ぎる。
緑道を進むとトンネルが見えてくる。
歩行者用に整備されたトンネルで、そこを抜けると繁華街のはずれに出る。
繁華街をまだ飽き足らずに新しい商業施設のビル建設や、改装工事を続けていた。
私が知る限り、この辺り一帯は工事中でなかったことがない。
いつか終わるものと思っていたが、永久に終わらないのかもしれない。
きっとあのビルが完成しても、どこかのビルが取り壊されたり、残り少ない空き地に新たな施設の建設が始まるのだろう。
私はもう十二分だと思っていることを、心の中の誰かに伝えた。

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