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賃金が上がっても豊かにならない理由

こちらは、年収が3%アップしたときに、手取り額がどのくらい増えるかを、独自に年収別に試算した表です。
(40代、扶養家族なし、協会けんぽ・東京)

年収別、名目賃金(年収)3%アップ時の手取り額増加率

年収400万円までは、手取り額が3%以上アップしますが、年収500万円を超えると、手取り額は2%台しかアップしません。
2023年のインフレ率は3.27%ですので、実質賃金はマイナスです。

年収が3%アップしても、なぜ手取り額が3%アップしないかというと、年収が高くなればなるほど、所得税率が高くなるからです。
手取り額も3%以上アップさせるためには、所得税率を変える必要があります。

実は、バブル以前、日本経済が成長していた頃は、数年に1回、多いときは毎年、所得税法が改正され、ある税率を課税する給与額の範囲を上方にシフトしていました。

たとえば、1970年では、税率21%となるのは年収150万~200万円の範囲でしたが、1971年では、税率21%となるのは年収200万~260万円の範囲にシフトしました。

そのほか、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などの金額も増やしていました。

ところが、1997年をピークに日本の平均給与額は減少し、税率はほぼ固定化されました。
1995年に現在の税率に近いものとなり、1999年、2007年と改正されて一部の税率が変更されたものの、その後はずっと同じままです。

日本では給料が増えない時代が30年近く続きましたので、皆がそれに慣れきってしまい、所得税率を変更するという概念すらなくなってしまいました。

この点について、ほとんどのサラリーマンは認識していませんし、企業もメディアもおそらく気づいていません。選挙で論点になることもありません。

財務省はおそらく把握しているはずですが、所得税率を変更したら税収を減らすことになるので、知らないフリをして黙っているのでしょう。

結果的に、インフレが続き名目賃金が上がって一番得をするのは、税収が増える政府です。

これに気づかない限り、すべての日本国民は、頑張って働いて収入(所得)を増やせば増やすほど、手取り額が増えず、貧しくなるでしょう。


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