観戦記者:八木⑰  #指す将順位戦7th B級2組 やきそばさんvsしまのばさん戦観戦記(06/06公開06/07追記)

本日は6月4日(土)20:00に行われた指す将順位戦B級2組の様子をお届けする。

悩ましい戦型予想

 とりあえず戦型予想としては、中飛車とそれの対抗系とした。記者の思惑について説明しよう。まず第一に、お互いラジオ配信をしたり定期的なVSをするのであるので、いろいろな戦型を試しに指してみることもあるだろう。そこで、その新しい戦法については本格的な”勝負”という意味では採用しない二人である。これが例えば第七戦あたりで戦うことになっていたのであれば相振り飛車の可能性は大いにあったことだろうと思う。ただやはり指す将順位戦、戦場であるならば、勝ちたいという気持ちと、相手のメタは使ってなるものか、という意思はあってもおかしくないだろう。
 チームポラリスでご一緒したやきそばさんは、中飛車党であるイメージである。隠し玉がほかに数多くあれども、知った仲が相手てあるならば、”メタ情報なし”に”悔いなく戦う”という時の戦法は中飛車であろうと思っていた。
これであれば勝っても負けてもきよきよしい、いや、清々しい。

 一方でしまのばさん(島ノ葉尚さん)は対局前に”声かけ”のツイートをした。エラーの時こそ声を出す。

これは指す将ドラフト団体戦についての本人のnoteに詳しいのであるけれども、これもまた、やれることがどう転ぶかわからないけれども、すべての球をキャッチしてやるぞという意気込みが見受けられる。

さて、本人が宣言している通り、対抗系党である。相振りであったり相矢倉であったりは教養として手を出すものの、本質は対抗系党なのである。
 上記の理由から、事前のTwitter上での情報戦があったものの、”中飛車とそれの対抗系”と予想することとした。

 実際は、しまのばさんの光速の振り返りを参照いただきたいのであるけれども、実際には中飛車に動揺が走っていたらしい。当たっているやらいないやら。

そんなときに、記者は何をしていたかご紹介しよう。

対局開始

 先手は焼きそばさん、後手はしまのばさんで対局は開始した。一時期は観戦者数が26人となるくらい注目される対局となった。初めて参加される方の中にはこの観戦者数の力をどのように生かすのかがわからないままである場合も多い。記者も上級タブの対局時に観戦者数が増えるの何とかしてほしい。

待ってました!伝家の宝刀!

 この時点では相振りがワンチャンあるのだけれども、こうなった以上シマノバさんは対抗系党であるので、居飛車である。あまり苦手な形とは思っていなかった。(本人談)対局の内容については各人それぞれ自戦記を書かれるようであるのでそこまで気合を入れないようにしたい。

つっかけていった

 お互いに十分に組み合って先手からつっかけていった。単純に△同歩では銀をさばかれるので不満そうである。そのためどうやって待つのかが悩ましい所である。本譜以外では△4二角とかかなぁ。△3三桂馬の活用も考えられるところ。この前段階で、先手の歩が55にいる間に角の転換もあったかというのは控室の談。
 本譜は△8六歩と飛車先を軽くしていたのだけれども…先手は歩をなってあらためて8六歩を角で取って手を戻す。

ここで後手に後悔の手が出てしまったようだ。無難に△5四歩や、△5二歩なのであろうが、先手の形の分先手が調子良さそうである。後悔の△6四歩。これには▲5四歩がカウンターの一発。

6五の銀はとれず、同銀とも取れないので、撤退するしかない。しまのばさんの「いやー」が2回聞こえた気がした。

 さて、とは言っても後手の固さはいまだ健在、そう簡単には崩れない。先手はこの有利をもってどこまで進めるか。局面進んで以下の図である。

後手は角をさばきに行って少し戦える形となってきたか、しかし今宵のやきそばは固ゆででござった。先手からのわかりやすい攻めはあるので、ここではなんとか辛抱と見たようである。有利の時は慌てない。

 先手が有利に進めてきたところ。さらなる堅さを求めるのであればと控室では▲5二歩という指摘もあり、この場合は、後手が端攻めの手段に出るところなのかもしれない。ただ、2枚飛車も怖い所であるので、この方が着実か。後手は馬を使いたかったかもしれない。局面進んで下の図である。

 後手はこういう時の手段として△2四桂馬を設置しておき、これは△1六桂馬が有事の際に王手になるのでそれに期待をかける。もちろんここが勝負どころと、△1六桂馬。先手も落ち着いて対処するのだと同香車。△1五歩からの一連の流れの後、先手が1七歩として。下の図。

ここから感心したのが相手へ間違えたらあきまへんで、とプレッシャーをかける手で、すなわち、△3六歩▲3一成銀△1八歩。

『間違えたらどうなるかわかってますよね?』という声が聞こえた気がした。一方でこういうときに先手も間違えない。金をとっておき、2枚飛車の攻めを決行する。

 ここでの先手の指し手について控室では意見が分かれた。▲3五銀か、▲1二金である。記者が発した▲1二金ではあるが、逃げられてどうなのか、という評判であった。すなわち、△2四玉の時、抑えが効かないのではないか、ということなのであるけれども、飛車をなっておいて受けて龍を切ってどうか。ここから先は本譜に寄せるならば、△4四香車と馬を頼りに中空に槍を放つ。ただ▲1三銀もあるので、なかなか悩ましいところのような気がしている。

本譜は、▲1二金であった。若干違ったのは王様の逃げ場が安定しそうな△1四玉であることであった。ただ、3五の地点が開いているため、先手も飛車成り後しっかり▲3五銀と縛ることができた。ここで後手の持ち駒に金があればということなので、馬の道を生かして△2二金などの手も挙げられた。盤面は狭いように見えて海のように広い。

以下、△4二角と利かすも▲3二龍が決め手級。控室がざわついた。終局の時は近づいている。

後手の最後の頑張りとして、相手陣を乱し、△1三銀と埋めるも、▲同金~▲2二銀として後手の投了となった。

 一局を振り返って後手の馬がなかなか働けなかった部分に戦力差があるものの、先手が後手の面倒を見たうえで、ただ着実に気持ちの上ではリードを広げた部分が最後まであったように思える。ただ、相手を簡単に楽に指せない後手の粘りも、それに対応してプレッシャーに打ち勝った先手もそれぞれ死闘を尽くしたように思える。対局お疲れさまでした。

追記

 さて、以上までが土曜日阿部間トーナメントを見ながら、対局後の流れで書いたものなのであるが、自戦記が出そろいそうな雰囲気を感じたため、それを待つこととした。下記urlを参照されたい。

 (以下島ノ葉さんと表記)、に何か愛情を感じてしまうのは記者だけでしょうか。やきそばさんの戦型選択は自身の持ちうるベストな選択肢を選んで戦いに挑んだ部分があり、もしかしたら相三間飛車になる可能性があったかもしれない(深読み)また、記者の観戦記依頼がモチベーション向上につながったことはうれしく思うと同時に稚拙な文章で恥ずかしく思い、ただ、こちらこそ感謝の念をこの場でお送りいたします。これら両対局者の自戦記が出そろってからの観戦記は初めてのことではあり、それらの内容を見たうえで書くことも考えたのだけれども、やはり記者の文は記者の感じたままで、この段落を追記することにより触れて本記事を閉じようと思う。(了)

追記(06/07)

 アンサーが来ていたので折角であるから追記させていただく(勝手にだけどごめんね)

 ちなみに中飛車党のイメージが強くなったのは指す将ドラフト団体戦での練習将棋で勝てた記憶がなかったためであるね。なるほどなぁ。(了了)

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