観戦記者:八木⑲ #指す将順位戦7th B級2組 のののさんvsやきそばさん戦観戦記

 B級2組将棋ラジオパーソナリティ3すくみ最終戦は8/15(火)20時より開催された。その時の観戦記をお送りしたい。
 以前の記事は下記を参照されたい

https://note.com/lowpong1230/n/n3453ec64bd64

 しまのばさんは思った通りの力が発揮されず1勝同士での戦いとなっており、これがある意味決勝戦?である。B級2組での戦績としてはのののさんは無傷の4勝。やきそばさんは2勝2敗としており、のののさんの全勝を止めるかどうかという点でもB級2組にとっては注目の一局となった。
 20時対局での本戦はとくにおおかたのお盆休みの合間ということもあって瞬間最大観戦者数23名(ヤギうろ覚え)であり、これは大にぎわいの部類に入る。対局者によっては、この観戦者数の多さがプレッシャーと感じるか否かも指す将順位戦の勝負の行方を左右する要素の一つであると思っている。

ゴキゲン中飛車超急戦のようです

対局開始

 定刻となり対局が始まった。先手やきそばさんで、後手のののさんである。

つっかけていく

 先手三間vs右四間エルモの立ち上がりである。このつっかけの前の8八飛車を見てなのか、後手ののののさんが仕掛ける。後手の△6一金は5一まで動かすかどうかはその時その時による。個人的には飛車を寄っている部分についてはよくわからなかったのであるが、▲同歩△同銀からそのまま進んでいく。そして下記局面。

飛車を寄った手はあたりをさけるため

 この角に期待したのかもしれない。ただやはり客観的に見てなんとなく嫌な予感がする。後手は自然に銀を引き、玉頭の歩はとられるものの自然に指していく。

 後手が角銀交換を約束されて調子がよさそうである。△5六銀▲同歩△5二金とすすむ。

 △5二金は好調のしるしに見えた。相手の攻めが遅いことを見て陣形整備に手が届くのはさすがといえる。ゆっくりしていくと形勢をそこねる先手はこれからどのように攻めの体勢を整えていくかが注目ポイントである。一方で後手は2枚の角でどのように攻めていくか、歩を持っていないので相手の体勢を崩すことが簡単ではないので、大駒持ったもののすぐに早い攻めはないのである。
 こういうときに地力が出てきそうな気がしている。先手は堂々と飛車先を突いていく。

思ったより同歩としづらい

△6四飛車と浮いた局面で▲8四歩と突くが、流れとしては後手はちょっと嫌なのではないだろうか。△同歩で先手が何もできなければいいのかもしれないのだけれども、▲8二歩が効いてしまうため、同歩はよろしくない。放置しているとしても落ちている桂馬や香車を先制してとられるため、これは思ったより良くない、ということになろう。しかたなく(予定通りかもしれないけれども)△同飛車▲同飛車で、先手は飛車を先手でとることに成功した。この時思ったよりも形勢の差は開いていないように思える。

先手は飛車を下す。▲8二飛車。8一の桂馬を飛車成りでとりたい、というような風景である。後手は△7八角と、どう見ても簡単にとられそうに見える角である。自分だけ小駒をとれればベストなので、▲8四飛車成りとするも、この後の窮屈な△7九飛車が見かけよりもよい感触であった。

小駒がとられる運命だと駒得が生きそう

その後お互いに駒を取り合う。

後手は美濃の急所に桂馬を設置して、歩で攻める。これは十分にきつい。取ると最終的に飛車を切るなど一気呵成の攻めが来そうであるので格言よろしく桂頭に銀を打ち込んだのだが、これは龍の位置が悪かった。▲4五銀に△6三角である。これはいうなればギャーである。

ギャー

 先手も▲3一龍から▲4四銀として抵抗を試みるも後手はこういうときに落ち着いているのが強さである。

この後も後手の相手を確実に追い詰める手を続けていくのでダイジェスト版で振り返りさせていただく。

ちょっと鬼
すごい鬼

 対局者のことを鬼といっていいのか、という点もあるのだろうけれども、こういう時に勝利を焦って観戦者の前でかっこいいところを見せようと欲張って切りあっていくと大抵逆転という事故が起きるので、むしろ対局者を鬼と変えられるくらいまだお互いに闘志はみなぎっている、ということである。観戦記者が対局者のことを鬼といっていいのか、という点についてはだって鬼だもん、というほかない。だって鬼だもん。ちなみに、記者がマネして鬼をしようとすると逆転してしまうので、鬼になるのも一苦労である。ヤギだし。

先手が決めに行く
自身の詰み筋を読んで打ちたいところに打て!

この金打ちでご飯3杯イケルは観戦者の言葉。闘志いまだ消えず!

その闘志にこたえていく!!

これはすごいよね。同歩としないで相手の勢いに勢いで返していく。改めてみても積極的に介錯しにいったことがうかがえてもしかしたら対局者の口の端があがっていたかもわからん。記者はちょっとテンション上がった。本譜はその後▲同銀△1五香車として▲同玉としてしまったので、幕切れとなった。
 結果としてのののさんが勝ちを手中に収めた。途中優勢になってからそのままの勢いで倒しきるかと思われたところ、やきそばさんの必死の抵抗にあって、かつ、それをまた冷静に寄せていくことに切り替えていく両者とも熱のこもった将棋であった。対局お疲れさまでした。指す将ラジオパーソナリティ戦はのののさんの優勝である。指す将順位戦であればのののさん無傷の5連勝、やきそばさん2-3となった。やきそばさんはこれまた全勝のおちりすさんと戦うこととなっており、これまた大変な将棋である。一方でのののさんの星の数にそろそろプレッシャーがかかってくる頃である。今後の展開に期待したい。(了)

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