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初心者がティラノスクリプトでノベルゲーを作ってみた話(全体の流れ編)
pixivでウマ娘やブルアカのSSを書いてる人間がノベルゲーを初めて作ってみたので自分なりにどのように作ったのかを書き残しておこうと思います。
完全初心者向けの記事です。効率がいいかは知りません。「ここはもっといい方法があるぜ!」とかあったら是非教えてください。
(拙作「硝子の孤島~glass island~」はこちら↓↓↓)
以下には本作品のネタバレを含みますので気になる方は先にプレイしてください。(本記事自体は未プレイでも読めるものになっています)
ゲーム制作に至った理由(余談)
私は元々二次創作メインの人間ですが偶に一次創作を書いてpixivの公式企画に参加しており、今回の「硝子の孤島」も元はたしかカクヨムの「学園×ミステリー」の小説コンテストに参加するために設定を練っていました。
しかしミステリーなぞロクに書いたこともない人間が本格ミステリを書こうとすれば失敗するのは目に見えており、その方面で面白さを生み出すことは難しいと思い、ではどう捻るかと考えた時に思いついたのが「記憶が消えるミステリ」というものでした。
(ちょうどこの少し前に「シロナガス島への帰還」というノベルゲームをプレイしており、その流れで作者の鬼虫兵庫先生がカクヨムで公開しているミステリ小説を読んだりしていました。その中に『一人、或いは六人の容疑者』という多重人格を題材にした作品を読みました。その設定が一風変わりながらもちゃんとしたミステリが展開できるようなものであり、こういう捻り方ならアイデア次第で差別化できるなと思ったため前述の「記憶が消えるミステリ」というものを思いつくきっかけになりました)
そこで大体の流れを考えているうちに段々と記憶喪失が題材なら小説よりもゲーム形式の方が面白いものが作れると気づき、以前から前述の「シロナガス島への帰還」の影響でノベルゲーを作りたいと思っていたことや、ちょうど「TyranoGameFes」という同人ノベルゲーのお祭り的なものがやっていたのでそれに参加しようと思ったというのがゲーム制作に至った理由です。
ただ制作中に「記憶が消えるミステリ」(以下「消えミス」)の方は設定が膨らみ過ぎてフェス期間内に投稿できそうになかったので、初めてのゲーム制作ということも考えて肩慣らしとしてその物語の前日譚として書き始めたものが「硝子の孤島」のプロトタイプとなっています。
全体の作業工程
ここからは全体の作業工程を紹介したうえでそれぞれの作業の所感を述べていきます。同時並行で行った作業には☆や★をつけています。
企画書(プロットの前段階)
スケジュール計画表
キャラシート
箱書き(仮)※プロットの代わり
フローチャート
☆箱書き(本)
☆背景素材選定
☆パワーポイント
★シナリオ本文
★BGM・SE・その他素材選定
★ゲーム実装
★テストプレイ
投稿
1. 企画書
企画書と書くと固い感じがしますが、ざっくり言うとプロットの前段階のアイデアを書き連ねたものです。以下に「消えミス」「硝子の孤島」の企画書の一部を掲載します。
![](https://assets.st-note.com/img/1694240913721-HnxfclOZyL.png)
![](https://assets.st-note.com/img/1694241071675-f1OHfDhldy.png)
前述の通り、「硝子の孤島」は「消えミス」の前日譚として書いたので企画書もかなり大雑把なものとなっており、ゲーム内で試したい動作を使うことが主になっていました(が実際は大きく変わっています)。
この企画書は主にキャラシート、箱書き(仮)の作成時に使いました。物語の大まかな方向性を形作るものではありますが、最初から全て決めるというよりは細かい部分は随時書き足すという感じになりました。
ジャンル
テーマ
ゲーム内でやりたいこと
企画概要
作品規模
キャラ設定
舞台設定
全体的なあらすじ
キャラ同士の関係
このあたりを大雑把に決めました。キャラや物語に関してはこの後のキャラシートや箱書きで作っていくのでここでは大体の人数や性格の方向性、核となる設定(実は黒幕など)しか決めていません。あくまでも作りたいものを想像して、それが行き詰まるまで一旦自由に考えて案出しする感じです。
2. スケジュール計画表
これが一番重要だと言ってもいいと思います。
というのもゲーム制作は小説と比べて必要な作業が山ほどあります。そのためモチベーションの維持が完成するためには最重要なのですが、そのモチベを打ち砕く最たるものが作業の終わりが見えない絶望感です。私は今回初めてゲームを制作したため各種作業の必要時間、特にゲーム実装の部分が読めず、実際後で見積もりをかなり修正することになったのですが、それでも今何をすべきか、どれだけ終わらせたか、いつまでにすべきかを纏めた表を作ることはモチベの維持に相当役立ちました。なので適当でいいのでexcel、スプシ等でスケジュール計画表を作ることはオススメです。
![](https://assets.st-note.com/img/1694245485067-mh7AOLO7H0.png)
紫が予定、水色が実際にやった記録。予定/実績の欄はいらなかった。
ちなみに自分の場合は日数的には、
シナリオ本文:ゲーム実装:その他=3:2:2
くらいでした。ただシナリオ以外は動画見ながらできたりしたので体感だともっとシナリオの比率が大きいです。5:2:2くらいかも。
3. キャラシート
キャラシートとはキャラの詳細を書き記したものです。ここで企画書を参照しながらキャラの肉付けを行います。ただし物語との兼ね合いで決まる部分も多いので体感6割決めるイメージです。
![](https://assets.st-note.com/img/1694246406341-2mcyNhkbNL.png)
作中のニナと比べると若干異なる設定がある。
またここで立ち絵を決めました。特に自分で絵が描けない人は立ち絵の雰囲気や表情差分の種類によってシナリオに影響が出るため、主要キャラについてはなるべく早めに立ち絵を決定する方がいいと思います。また立ち絵が決まるとモチベが上がったり、立ち絵から話が生まれてきたりもします。ただ人によっては最後に決める人もいるらしいのでお好みで。
4. 箱書き(仮)
箱書きとはシーン毎に大まかな話の流れを書いたものです。主に映画の脚本などで使われるらしいです。ノベルゲーは分岐があってややこしくなるので今回はプロット代わりに採用しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1694247593738-QFE7Xgao8H.png?width=800)
この頃は「悪性度・好感度」によって分岐を発生させようとしていた。
ここで物語の筋や分岐、選択肢やフラグなどをおおまかに決めます。またここでキャラの性格、行動理念などが段々と固まってくるのでキャラシートと仮箱を行ったり来たりすることになります。
5. フローチャート
フローチャートとは仮箱を視覚化したものです。仮箱から情報量は大して増えませんが物語全体を俯瞰して見れるので各章の規模感やどのフラグをどこに配置するかの調整がしやすく、それによりアイデアも生まれやすくなるので物語が複雑になればなるほど作ることをおすすめします。
あとこれに関してはExcelで作ったほうがいいです。スプシは図形の挿入が面倒臭すぎる。
![](https://assets.st-note.com/img/1694248567068-2NWqFIFIDY.png?width=800)
ひし形は分岐開始、緑四角は選択肢、赤平行四辺形はフラグ獲得など。
6. ☆箱書き(本)
フローチャートを元に箱書きを清書します。この時点でシナリオの方向性が8割くらい完成します。
![](https://assets.st-note.com/img/1694249140697-A4Y5AW3G9I.png?width=800)
ここで分岐の処理もおおまかに決めておく。
仮箱の上位互換というより、仮箱はエモーショナルな部分を、本箱はシステマチックな部分を任せるイメージです。またこの後にシナリオ本文を書きますが、書いている途中に話が変わってくることがあるのでその際は適宜作り直します。
![](https://assets.st-note.com/img/1694250277012-aMC8JiDRqZ.png?width=800)
左にチェック欄を設けて進捗管理も行っている。便利。一番使う。
7. ☆背景素材選定
このあたりから背景素材を探し始めます。また素材の管理が大変なので素材管理表を作っておくと楽です。
![](https://assets.st-note.com/img/1694251423978-s9BPca3urv.png?width=800)
8. ☆パワーポイント
これも一番重要だといっても過言ではありません。
作業が一気に楽しくなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1694251863963-taWhXWNgJA.png?width=800)
ゲーム画面のイメージ把握だけでなく背景素材・シーン管理にも使えて便利。
それまで文字と図形だけだったものが一気に視覚化して尽きかけたモチベが一気に復活します。
この後の作業は主にこのパワポと2つの箱書きを見ながら行います。特にクリッカブルマップ(画面をクリックして探索する機能)の実装などではパワポを重宝します。
9. ★シナリオ本文
ついにシナリオを書き始めます。気合いです。
![](https://assets.st-note.com/img/1694253673915-Fl2RI1zNLt.png)
使用ソフトはGoogle Document。
ここで分岐等も最終決定します。
またティラノスクリプトで制作する場合はここでキャラ名を#(name)としておくと後で実装するときに楽です。自分はいちいち半角全角キー押すの面倒なので一旦全部漢字で書いてからDocsのctrl+hで英字に変えてました。
あと上ではSEや暗転指示を[]で囲っていますがタグと混同するので#か;にした方がいいです。
10. ★BGM・SE・その他素材選定
oggファイルへの変換でごちゃごちゃになるので大変です。
変換はティラノ公式で紹介されているOnline Audio Converterで行いました。
11. ★ゲーム実装
ついに実装です。ksファイルにシナリオを書きこんでいきます。
このときよく使うタグをコピペ用に纏めておくと便利です。この他にもBGMや効果音も同様に纏めると便利でした。ちなみに初心者なのでマクロとかは使ってないです。多分使えばこの辺がもっと綺麗になると思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1694257049201-BaWxVCT7FQ.png?width=800)
使用エディタはVScode。日本語化とティラノスクリプト用の拡張機能を利用してます。
12. ★テストプレイ
自分はまとめてやるとどこがエラー吐いてるのか分からなくなりそうだったので1シーン実装→テストプレイ→改善を繰り返していました。そして最後に一通りチェックする感じ。
13. 投稿
後は配信サイトで投稿したり配布したりします。ティラノスクリプトの場合は「ノベルゲームコレクション」というサイトに出すのが一番楽です。
投稿自体は楽で数分で出来ると思いますが投稿にあたって不要ファイルの削除が必要になるのでその際に間違えて使うファイルを消してしまうことがないようにしましょう(自分はそれで一回エラーが発生した)。
終わり
以上で終わりです。再三言いますが適当でいいのでスケジュール計画表だけは作ってください。SSと違って道のりが長いので作業状況を俯瞰できるようにするのがモチベの面でも楽です。
暇なときに使ったサイト紹介編を出すかも。
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