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若かりし頃を思い出した夜

全然仕事終わらなくて今日やっと会えたんですよ。

翔太くんに。

〝別れたよ″

なんでもない風に色々話してくれたけど
やっぱり少し元気がなくて寂しそうに見えた。

そりゃいつも一緒にいた人がいなくなったら寂しいよ。

私の方が泣いてしまいそう。

理由は詳しく聞かなかったけど

「翔太くん、浮気バレたんじゃないの?笑」

と言ってみたら

〝てか、aoiさんとしてんじゃん笑″

笑ってくれて良かった。


そんな会話をして思い出したのは昔々のこと。

結婚する前、今の旦那と私はお互い2股で付き合っていた。

昔はかなりモテて遊んでいた、今はすっかり面白いおじさんになった私の旦那。笑

どんな女の子と遊んでも必ずその人の元へ帰る、長い付き合いの同棲している彼女がいた。

自分だって彼氏がいるクセに、当時は2股されているのがすごく悲しかった。

会った後寂しくて電話したら家にいて、もちろん彼女もいるから男友達と話すフリされたりとかしてさ、よく泣いてた可愛い時代もあったのよね。

そんなある日、急に彼女と別れたって聞いて、その時の旦那もすごく元気がなかったのをよく覚えている。

私の事も好きでいてくれたとは思うけれど、それとはまた違う部分で長く一緒にいた恋人とのサヨナラが寂しくないわけがない。

男と女って恋愛以前に、人間同士でもあるからね。

人の気持ちってそんな簡単じゃないし。


だから、今の翔太くんもきっとそうなんだと思うんだ。

今日は抱かれていてもちょっと上の空のようなそんな風に感じていたけど、

女は誰かを想いながら別の人に抱かれる事はよくある話だし、男の子だってそんな時があっても良いと思った。

〝aoiさんて俺のことどう思ってるの?″


「好きだよ」


今夜は誰かに好きだと言ってもらいたい気分なのであろう翔太くんを抱き締めた。

そして、自分自身の寂しさを紛らわすように

ずっと一緒にいてね、

と私に向かって言う翔太くんに

どこにも行かないでね

と返しながら

とても儚い言葉遊びに涙が流れた。


お互いの身体に隙間が出来ないくらい

ぎゅぅって抱き合って少しでも動くと

どこ行くのって腕の力を強くする。


そういうとこは相変わらずで

やっぱり好きだなと思ってしまうんだよね。


早く元気になれるといいね。

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