見出し画像


わたしが彼女を初めて出会ったのは、大学受験の時だった。受験会場の最寄駅での出会いが、初めてだった。

出会った瞬間、その空間、そしてその周りのもの全てが煌めいて見えた。

それは、一目惚れだった。

進学と同時に親元を離れ、いわゆる都会生活が始まった。

慣れない一人暮らし、慣れない街中、慣れない環境。全てに戸惑い、そして、その全てが楽しかった。

そんななか、わたしは彼女と再会したのだ。

再会には少し時間がかかったが、彼女は相変わらず煌めいていた。田舎育ちのわたしにはない、輝き。それでいて、穏やかなその雰囲気は、わたしの心を一気に魅力した。

彼女には、近づかずにはいられない、そんな魅力が溢れていた。

当時のわたしは、かなりの人見知り体質で、あがり症(これは今も変わらずだが)であり、自分から踏み込みなんていう行動は、それこそ清水の舞台から飛び降りるくらいのことに感じた。

そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、彼女は優しく微笑みかけ、わたしに手を差し伸べてくれた。

これがわたしと彼女の繋がりの始まりだった。

彼女との出会いは、わたしの人生に、大きな安らぎをと、時には新しい刺激を与えてくれた。

新しい生活の中で出会う楽しみの中でも、初めての彼との別れの辛い時でも、思いもしないハプニングが起こった時でも、いつもそばにいて、穏やかな時間を一緒に過ごすことができた。

学生の間はもちろん、社会人になってからも、彼女との付き合いは続いた。それだけ、わたしにとって安らげる存在だった。

ところが、とある理由から、わたしは地元に帰省せざるおえない事になった。と同時に、それは長年支えてくれた彼女との別れの時だった。

旅立ちの時まで、時間を見つけては彼女と時間を過ごした。

彼女との別れは、もちろん寂しかった。それだけ彼女の存在は、わたしの中で大きかった。大切だと思える存在との別れは、どんな理由であれ辛いものだ。

わたしは、いずれまた再会できるだろうという期待を抱きながら、新幹線へと、1人乗り込んだのだった。

帰省してからの数年間は、以前のように頻繁にではなかったが、それでも、たまに会うことができる貴重な時間を大切に過ごした。もっと会うことができればいいのに。という気持ちがあったのは言うまでもない。

そして、それはなんの前触れもなく、突然起こった。

そう。待ち望んだその時がやってきたのだ。

そう。この地で、また彼女と過ごすことができるようになるのだ。

その知らせがあまりにも嬉しくて、心底待ち遠しくて、現実になる日を、あと何日、あと何日と指折り数えて過ごした。

そして、ようやくその日が来た。

その日は仕事中も、ずっと気持ちが落ち着かず、何度も時計を見て過ごした。

ようやくきた仕事の終了と同時に、慌ただしく職場を後にし、車に飛び乗った。

ほんの十数分の距離が、永遠のように感じた。それほど待ち遠しかったのだ。

もどかしい赤信号を何度も繰り返し、ようやくわたしは、彼女のいるその地にたどり着いたのだ。

そこで再開した彼女は、いつも通り穏やかな笑顔でわたしを迎えてくれた。

あれは、夏の暑さの残る9月の事だった。

その時から、わたしと彼女の時間は、再び動き出したのだった。

あれから数年。いまも変わらず穏やかな時間を過ごすことができている。

いまは、こんな時期だから、頻度が減ってはいるが、また落ち着いたら、ゆっくり過ごそうと思っている。

その時を、また楽しみに待とう。

画像1

✴︎大好きなスターバックスを女性に見立ててかいた内容です笑

最後までお付き合いいただきありがとうございます♡

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?